第2話 人間
外に出ると目の前には片側二車線の道路が広がっていた。
これからどこに行くべきか。親戚のうちは隣町だし、友人の家はこの近くにない。
突然、頭に一つの逃げ場が浮かんだ・
「・・・交番だ!ここを右に行けば交番がある。確か歩いて5分くらいの距離だ。走っていけば1,2分で着く」
「うぅううううう・・・」
「ま、まさか!?!?」
俺は急いで声がしたほうを振り返った。思った通り、口から血をたらした化け物がこっちに来ていた。
「くそ〜!!なんでここにいるのがわかるんだよ〜!!」
泣きそうになりながら、表の国道に急いで出た。
あたりを見渡し人がいないか探す。
「いた!!」
俺はその男がいるところへ全力で走った。
「すいませ〜ん!!助けてください!!」
やっとたどり着き、男の手をつかむ。
「俺、化け物に追われているんです。」
下を向いてはぁはぁいいながらその男に話した。
「化け物はどこだ!」
「あ、あっちです。」
「こい!!」
全力疾走してヘトヘトな拓也を男は引っ張った。よく見るとこの人は警察官だ。
なおも化け物は追ってくる。
「もうちょっと・・はぁはぁ・・ゆっくりいきませんか?・・はぁはぁ・・」
「お前もあいつらの仲間になりて〜か?」
「えっ!?」
その時、前方の角から人が出てきた。
「あっ、人だ!!・・・・ち、ちがう!!」
俺が一瞬、人だと思ったのは、家で見た化け物より、化け物らしく、皮膚が腐って垂れさがり、どう見ても人間の姿ではなかった。
「おまわりさん!交番へ・・・」
「・・・あそこだ!!」
そのおまわりさんが指を指した方向に目をやると、交番が在った。
急いで拓也たちは斜め前に方向転換する。
しかし、どう見ても距離的に化け物と接触してしまう。でも、男は止まらない。
「ちょ、ちょっと!!!このまま行ったら、奴らに捕まっちゃいますよ!!」
「・・・・」
おまわりさんは答えない。
「ちょっと!!聞いてるんですか!?このまま行ったら・・・・」
「うるせ!!」
おまわりさんは怒鳴った。
「なにもしないでやられるより、行動してやられたほうが断然いいだろ!!」
「だからって何で!?・・・後ろに一旦逃げれば・・・・」
俺は一瞬顔が固まった。さっきまで自分たちが走っていたところが、
化け物で埋まっていた。
「いったいどこから・・・?」
顔を元に戻すと、さっき角から出てきたが化け物が自分達の目の前にいた。
「覚悟しろよ。」
そういうと男は60kgはある俺の体を軽々しく持ち上げ、投げ飛ばした。
俺は化け物の頭上を舞った。
「ドンッ」
拓也は地面に叩きつけられた。
「痛って〜・・・あっ!!」
後ろを振り返ると、さっきまでいっしょにいたおまわりさんは銃で戦っていた。
拓也は悩んだ。
どうしよう。やつらのところに俺がいっても戦えない。かといって、このまま自分だけ
逃げるわけのもいかない。
「行けー!!!・・・俺は後から行く!!・・」
「・・・・はい!!!」
俺が叫んだ瞬間、何人かの化け物がこっちに体を向け、拓也の方に向かってきた!
急いで体を起こして交番の方へ走る。
しかし、さっきまで全力疾走していたせいで早く走れない。
「後・・もう少し・・・」
そして交番に辿り着きドアの取っ手に手をかけ開けようとする。
が、開かない。どれだけ力を込めても開かない。
その間、化け物は人間だった頃の様子がわからないような顔で向かってくる。
「くそ〜!!開け、開いてくれ〜!!!」
次の瞬間。鍵が開き、拓也は交番の中に引きずり込まれた!!!
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