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第12話 悪魔

ここからちょっとグロかったり、残酷なので15禁とさせていただきます。

しなくてもいいだろうと思う方はコメントに書きこんでもらうと助かります。

「見張り以外は体育館へ集合せよ!繰り返す、見張り以外は体育館へ至急集合せよ!」


突然、放送が流れたので皆びっくりした。


「何かあったのかなぁ。」拓也はつぶやくように言った。


「食事の時間じゃねぇのか?」


「それ言っちゃだめじゃないですか!」


拓也はすばやく松尾の口を塞ぎ、こそこそっと、強く言った。


「いいよ。別に気を使わなくて。どうせ違うから。」


「何で分かるんですか!?」


「奴らさっき食ったばかりなのにまた食わないだろう。それでなくても食料不足じゃないか。」


なるほど〜と、拓也と松尾は首を縦に振っている。


「お前、頭いいな。俺とは住む世界がちがうぜ。」


みんな当然だろ、という顔をしている。

やっと皆の顔に笑みがこぼれた。松尾は馬鹿で短気で悪い面があっても、ムードメーカーといういい面がある。

会って7,8時間でもう互いの性格が分かってきた。

しかしそれは、10秒もたつことも無いまま消滅した。


「うっ・・・」


多田さん、山口さんは戦闘モードに入った、顔色が変わる。

木製の壁にもたれながら倒れこむ音がした。どうやら誰かやられたようだ。


「山口!窓から外を確認しろ!」


多田さんが小声で命令すると、物音を立てず、すばやく倉庫にある唯一の窓から外を見渡す。


「何も異常、うわぁあああ!!!!」


すると突然、上から人が落ちてきて、思わず山口さんは叫んでしまった。

松尾が口を塞ぐがもう遅い。

倉庫の入口で必死に扉の鍵を開けようとする音がしだした。


「くそ!バレたか。山口、こい!」


多田さんと山口さんは扉の両脇で低い姿勢で構える。


「カチャ・・・」


鍵が開いた。皆に緊張が走る。いったい誰なのだろうか。殺されたのは見張りか?それとも助けに来てくれた人か?前者の方を望み祈った。


「大丈夫か!?!?」


「お仕舞いだ〜〜!!!!!?!?!?」


多田さん、山口さんは蹴りをかます直前で静止。一方、制服姿の警察官は多田さん、山口さんに銃を突きつけている。


「中山!野上!大口!何でここに!?殺されたんじゃ・・・」


一斉にみんなは倉澤をものすごい目つきで見た。


「おい・・・やめてくれよ。怖いだろ・・・。心配すんな仲間だ。」


一気に緊張が解けた。


「中山です!野上です!大口です!よろしくお願いします!」


警察官らしい凛々しい態度で挨拶をした。


「それにしても、なんでここに来たんだ?」


「放送聞いて、チャンスだと思って来たんだよ。ちっとは見張りがいなくなるからな。」


「・・・大口ってこんな頭良かったっけ???」


中山さんと、野上さんは横に首を振った。


「君たち失礼だな〜。俺はこう見えても2番なんだぞ〜!!」


「後ろからだろ。」


「そうだけど何か・・・?」


みんなに笑顔が戻った。


「ありがとう。本当に・・・・。」


「仲間なら当然のことさ。礼なんていら」


急に話が止まった。なんと横から一本の矢が突き刺さっていた。


「ぶはっ!」


大口さんの口からは言葉ではなく、赤黒い血が飛び出てきた。


「大口!!!!」


倒れた大口さんをみんなが囲んだ。血を大量に吐きながら、何か必死に言おうとしていた。

倉澤さんが耳を近づける。


「・・・・・・が・・・ん・・・・・・ば・・れ・・・・・・よ。」


そう言い残すと、一気に力が抜け首を倒した。


大口巡査(18)12月31日午後5時35分 死亡


「おおぐち〜〜〜!!!!!」


「なんで死ぬんだよ〜!」


同僚たちは大口の周りに集まった。倉澤さんは大口を抱きしめて泣いている。

衝撃的だった。さっきまで笑って、喋っていた人が、今はもう、目を閉じたまま何も語らない。死んでしまった。まるで滝上巡査の時みたいに・・・。あの時の滝ノ下さんの叫び声がよみがえってきた。


つらいことを回想していると、横から土を踏む音が聞こえてきた。・・・滝ノ下だった!


「ふふふっ、感動、感動!」


何人かが声の方へ顔を向けて、唖然とする。


「お前、まさか!?!?」


「そうさ、山口。俺が殺ったんだよ。なんか文句ある?ふふっ。」


山口さんはキレた。


「コノヤロォ〜!!!」


怒り狂った山口さんは、滝ノ下に殴りかかろうとした。


「無駄だよ。」


その一言と同時に矢が山口さんの左目を貫いた!


「うわぁぁああ!!!目がぁあああ!!!!」


激しい痛みが山口さんを襲う。あまりの痛さに地面に倒れのた打ち回っている。


「山口〜!!!」


多田さんが駆け寄る。すると滝ノ下が近づいてきた。


「大丈夫さ。脳にまでは達していない。死にはしないよ。まっ、失明してしまうけど。ふふっ。」


人、二人を死傷させて不気味に笑っている容貌は、もはや人間ではなく、悪魔に見えた。


「君たちも俺に歯向かわないのが身のためだよ。次は頭討っちゃうからね。ふふふっ。」


「山口・・・俺もうだめだわ。後はこいつらとがんばってくれや。」


そう言い残すと多田さんは立ち上がって、滝ノ下をものすごい目力で睨んだ。


「ただ・・さん・・・やめ・・・てください・・・。」


もう遅かった。野上さんの持っていた拳銃を取り上げ、滝ノ下に・・・


「パァーン!」


見事、左胸に命中した。しかし死んでいない。普通にニヤリと笑ってこっちを見ている。


「だぁからぁ〜意味ないから。さようなら自衛隊のおじさん。」


「グサッ・・・」


矢は左足に刺さった!

多田さんは刺さったところを、ものすごい力で、手で押さえて痛みをごまかそうとしている。見ているだけで痛さが伝わってきた。


すると滝ノ下は体育館の上にいた狙撃隊員に怒りをあらわにした。


「おい、コラァアア!!頭狙え!弓道で全国大会2位っていうのは、嘘か!?!?次ちゃんとやらねぇとお前の頭ぶち抜くぞ、多田!!」


多田さんは痛みをこらえながら、体育館の上にいる人影に視線を移した。


「全国大会2位・・・??多田・・・??まさか・・・あいつは・・?」


「そうさ。あれはお前の息子、多田祥平巡査だよ。」





感想いただけると嬉しいです。

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