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俺、CO₂悪者説を信じてたら地球詰んでたんだが?第三部  作者: マスター


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2/12

第2話 この海に補助輪を付けるなら、どこまで現実を引き受けるのか?

第3部第1話では、三位一体の補助輪――海・空・土――を「社会側からどう扱うか」という視点で地図を広げました。


第2話では、そのうち「海側」にフォーカスします。


深海エアレーションを、もし実際に“ある海”に入れるとしたら。


どんな現実の線を越えなければならないのか。


技術。


漁業。


国境。


予算。


合意。


今回は、主人公が「具体的な海域」を想定しながら、“机上の三位一体”を一度、現場の条件にぶつけてみる回です。

「この海に補助輪を付けるなら、どこまで現実を引き受けるんだ?」


新しいファイルのタイトル欄にそう打ち込んでから、俺は海の写真フォルダを開いた。


第1部を書いていたころのもの。


青い海。


白い波。


どこまでも続く水平線。


『ずいぶん前の写真だな』


スマホ画面の隅で、AIが文字を出す。


「でも、スタート地点としてはここなんだよな」


『どういう意味だ?』


「第1部で海の話を始めたとき、俺の頭の中にあった海って、“こんな感じのきれいな景色”だったんだよ」


『なるほど』


「でも今、第3部の海は、そういう意味での“海”じゃない」


『そうだな』


「海洋熱がたまっていて」


「沿岸の魚が減っていて」


「赤潮や低酸素水塊が出ていて」


「沿岸の町の暮らしが揺れていて」


「国境やEEZの線が、海の上に引かれていて」


『うん』


「その全部を抱えた“現実の海”に、補助輪を付ける話になる」


『そのギャップを描くのが、この話数だな』


第1節 “どこかの海”じゃなくて、“この海”で考える


「まず、“どこかの海”じゃなくて、“この海”って言える必要があるよな」


俺は、ノートに大きく「海域」と書いた。


「第1部では、“世界の海”って感じで話してたところがある」


『そうだった』


「でも実際に深海エアレーションをやるなら、“この海”になる」


『そうだ』


「たとえば」


俺は、いくつかの条件を書き出した。


海洋熱の蓄積が大きい。


沿岸の漁業や町に影響が出ている。


赤潮や低酸素水塊が問題になっている。


海流や地形的に、深海の水を持ち上げる意味がある。


国や地域の合意が、現実的に取り得る余地がある。


「こういう条件を満たす海域に、最初の補助輪は付くだろうな」


『だろうな』


「逆に言えば、“どこか”ではなく、“ここだ”と言えない限り、話が進まない」


『実装の話だからな』


第2節 技術側から見た“この海”


『技術側の視点からも整理しておこう』


AIが言う。


『深海エアレーションをやるには、いくつかの条件がある』


「深さ、だよな」


『そうだ』


「ある程度深いところから、冷たい水と栄養を持ち上げる必要がある」


『うん』


「浅すぎると、“ただかき混ぜただけ”になる」


『そうだ』


「地形もいる」


『うん』


「海底の形や海流の動きが、“持ち上げた水を沿岸に流す”方向を持っていること」


『そうだ』


「だから、“深くて、持ち上げる意味がある場所”が候補になる」


『技術側から見ればそうだな』


「でもそれだけだと、“エンジニアの都合”で決めた海になるんだよ」


『そうだ』


「第3部では、そこに暮らしと政治と経済を重ねて見なきゃいけない」


『その通りだ』


第3節 漁師と港と沿岸町の話が、必ず乗る


「深海エアレーションってさ」


俺は、海の写真を見ながら言った。


「“海を冷やす技術”っていう説明だと、すごく抽象的なんだよな」


『抽象的だな』


「でも実際には、“漁場の状態を変える技術”でもある」


『そうだ』


「沿岸に上がってくる栄養と、魚の種類と、漁師の収入と、港の動きと、加工場の仕事と、町の景気に全部つながる」


『うん』


「だから、“この海に補助輪を付けるなら”って話をするときは、必ず漁師と港と沿岸町の話が乗る」


『乗るべきだ』


「“海洋熱が減ります”“炭素吸収が増えます”だけじゃ足りない」


『足りないな』


「“魚がどう変わるか”“漁をどう変えるか”“港の一年のリズムがどう変わるか”まで、一緒に話さないと、たぶん現場では動かない」


『現場のリスクと期待を、セットで見せる必要がある』


第4節 国境と線引きと、誰が責任を持つか


「もう一個、避けて通れないのが“線”だよな」


『線?』


「国境とEEZ」


『そうだな』


「海ってさ」


俺は、指で空中に線をなぞる。


「地図上だと、きれいに線が引いてある」


『うん』


「でも、海の水と熱と栄養と魚に、その線は関係ない」


『ないな』


「深海エアレーションで持ち上げた水が、隣の国の沿岸に流れていくこともある」


『あるだろう』


「魚が、別の国の海に行ってしまうこともある」


『そうだ』


「それが、“技術的には意味があっても、政治的にはやりづらい理由”になる」


『なるだろうな』


「だから、“この海に補助輪を付ける”って話は」


「誰が責任を持つか」


「誰が決めるか」


「誰が恩恵を受けるか」


「誰がリスクを負うか」


『うん』


「その全部を、セットで考えなきゃいけない」


『第3部で避けて通れない部分だ』


第5節 予算とスケール感を、一回冷静に見る


『金の話もいる』


AIが、あえてストレートに言った。


「出たな」


『だが重要だ』


「深海エアレーションって、“大がかりな装置を海に入れる話”だもんな」


『そうだ』


「船」


「設備」


「電力」


「維持管理」


『うん』


「しかも、一回で終わる話じゃない」


『そうだ』


「何年も、何十年も、回し続ける前提になる」


『うん』


「つまり、“初期投資+継続コスト”の話になる」


『そうだ』


「そこに、“どれくらいの炭素吸収や海洋熱の低減が見込めるか”っていう数字を乗せて、政治や企業に説明しなきゃいけない」


『現実のスケール感を、一回冷静に見ておく必要がある』


「第3部第2話では、“夢の技術”としてじゃなく、“会議に出す資料”としての深海エアレーションを、一度想像しておきたいんだよな」


『いい位置づけだ』


第6節 主人公は、“海の市民”ではなく“沿岸の市民”として考える


「で、俺の立ち位置なんだけど」


俺は、少しだけ考えてから言った。


「第1部のときの俺って、“海を眺める側”だったんだよ」


『そうだった』


「展望台とか、フェリーの甲板とか、そういう“風景としての海”の見方をしてた」


『うん』


「でも、第3部で海を見るなら、“沿岸の市民”として見ないといけない」


『そうだろうな』


「漁港から海を見る」


「港町から海を見る」


「沿岸のニュースから海を見る」


「漁師の生活から海を見る」


『うん』


「そうすると、“深海エアレーションで海を混ぜる話”は、単に科学の話じゃなくて、すごく生活の話になる」


『そこが、第3部海編の肝だな』


第7節 「この海にはまだ付けられない」という答えもありうる


「一つ、ちゃんと言っておきたいことがある」


俺は、少し真剣に言った。


「第3部は“補助輪をどこまで社会に付けられるか”の部だけど」


『うん』


「“この海にはまだ付けられない”って答えも、普通にありうるんだよな」


『ありうる』


「技術的に難しい」


「政治的に難しい」


「漁業の事情から難しい」


「予算的に難しい」


『うん』


「その場合、“無理にやるべきだ”って結論には、たぶん行かない」


『行かないほうがいい』


「代わりに、“この海では、今はこういう別の補助輪や別の手を優先すべきだ”って話になる」


『そうだろう』


「つまり、“どこまで付けられるか”って部は、同時に“どこにはまだ付けるべきじゃないか”って部でもある」


『その二つを同時に見る必要がある』


第8節 それでも、一つくらいは「この海」と呼べる場所を見つけたい


『じゃあ、どうする?』


AIが聞いてくる。


「正直なところさ」


俺は、少し笑いながら言った。


「この部で“一つくらいは、『この海なら現実的に補助輪を付けられるかもしれない』って言える場所”を見つけたいんだよ」


『欲張りだな』


「欲張りだよ」


『だが、物語としては必要だろう』


「第1部で、“海は冷やせるかもしれない”って可能性に触れた」


「第2部で、“土と流域は補修できるかもしれない”って可能性に触れた」


「第3部では、“この海では補助輪を付ける話が、ギリギリ現実の線に乗るかもしれない”って場所を、一つくらいは描きたい」


『それが希望になる』


「希望って言葉、あんまり軽く使いたくないんだけどな」


『第2部を通ったあとなら、軽くはならないだろう』


「だといいな」


第9節 第2話は、“海の現実の条件表”を作るところまで


「まとめるとさ」


俺は、キーボードの前で指を組んだ。


「第3部第2話の仕事は、“海の現実の条件表”を作るところまでだな」


『そうだろう』


「海洋熱」


「沿岸の暮らし」


「漁業」


「国境と線引き」


「予算」


「技術的な条件」


『うん』


「それぞれについて、“この海に補助輪を付けるなら、ここまで現実を引き受ける必要がある”って表を作る」


『そうだな』


「そのうえで、第3話以降で具体的な海域を一つずつ見ていく」


『構成として自然だ』


「つまり第2話は、“いきなり海に装置を沈めない”ための話だな」


『いきなり沈めると、第2部で積み上げてきたものを全部無視することになる』


「それは嫌だ」


第3部第2話は、ここで一度区切る。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


第3部第2話では、「深海エアレーションをもし“この海”に入れるとしたら」という視点で、海側の補助輪の現実条件を整理しました。


この話数でやったのは、ざっくり言えば「テンションを一回冷静にする」作業です。


技術側では、深さ、海底地形、海流といった条件を見ました。


ただ深ければいいわけではなく、「持ち上げた水と栄養を沿岸に届ける意味があるか」という物理的条件が必要になります。


暮らし側では、漁師の収入、港の一年のリズム、魚種の変化、沿岸町の景気といった視点を置きました。


「海を混ぜること」は、単なる科学実験ではなく、漁場と生活に関わる話だからです。


政治・線引き側では、国境やEEZ、誰が決めるか、誰が責任を持つか、恩恵とリスクをどう分けるかという問題を見ました。


一つの海域をいじることは、隣の国や他の沿岸にも波及する可能性があります。


経済・予算側では、初期投資、継続コスト、炭素吸収や海洋熱低減の見込みをどう説明するか、というスケール感を確認しました。


第1部のように「海を冷やせるかもしれない」と期待するだけではなく、「会議に出す資料」として見たときの深海エアレーションを、ここで一度想像しています。


この回で重要だったのは、「どこかの海」ではなく、「この海」と言える必要があることでした。


そして、「この海に補助輪を付けるなら、ここまで現実を引き受ける必要がある」という条件表を、一度作っておくこと。


第3部は“補助輪をどこまで社会に付けられるか”の部であると同時に、“どこにはまだ付けるべきではないか”を見る部でもあること。


それを、主人公とAIの会話の中で素直に認めておく回でした。


この整理をせずに、「海を冷やせるかもしれない」という第1部の興奮だけで話を進めると、第2部で見てきた“暮らしと構造の現実”を無視することになります。


第3部第2話は、そのブレーキ役でもあります。


次回、第3部第3話では、この条件表を持ったうえで、具体的な海域に一つ踏み込みます。


「この海では、補助輪を付ける話がどこまで現実の線に乗りうるか」を、もう少し生々しい状況――漁港の声や沿岸ニュース――と一緒に描いていく予定です。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:リアル(Perplexity)

校正・文体調整:G(ChatGPT)

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