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俺、CO₂悪者説を信じてたら地球詰んでたんだが?第三部  作者: マスター


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12/12

第12話 補助輪はここまで。あとは、「動かなかった世界」と「動いた世界」の両方を書く

第3部第11話では、海・土・空それぞれの補助輪について、「今の現実線ログ」と「もしも線ログ」を分けて書いていく決心を、主人公が自分の言葉にしました。


第12話では、第3部全体の“結”として、「補助輪をどこまで社会に付けられるか」という問いに対する、今の世界線での最終答案を一度置きます。


そのうえで、第4部で描く二つの世界――大きくは動かなかった現実線と、Blue Pulseが実証へ進み、やがてペルー沖へ届き、三位一体の補助輪が少しだけ広がった世界線――への入り口を、物語の中にそっと開いておきます。


今回は、“ここまでが現実線としての三位一体”“ここから先は、もしもの線としての三位一体”だと、主人公が自分の中で線を引き、第3部に区切りをつける回です。

「第3部は、ここまでにしよう」


そう打ち込んでから、俺は一度だけ手を止めた。


第1部。


検索窓から始まって、海の仕組みを知る部だった。


第2部。


CO₂グラフと、森と、土と、海と、暮らしをつなげて、“唯一の温暖化対策”という幻想を手放す部だった。


第3部。


三位一体の補助輪を、社会のどこまで付けられるかを見てきた部だった。


『三つ目のフォルダも、だいぶ埋まったな』


画面の隅で、AIが文字を出す。


「埋まったな」


海。


土。


空。


ニュース。


漁港。


流域。


ミストと風。


公民館。


共同購入。


『だいぶ遠くまで来た』


「検索窓から公民館を通って、流域図と都市計画図まで来たからな」


『寄り道が多い』


「必要な寄り道だろ」


『第3部だからな』


「最後まで便利ワードを使うな」


俺は、第3部のフォルダを一番上まで戻した。


「で、第12話は、“ここまでで何が分かったか”を、ちゃんと書く回だな」


『そういう回だ』


第1節 海の補助輪は、まだ「海へ出る手前」にいる


「まず、海の補助輪」


俺は、第1部と第3部で作った海のメモを並べた。


深海エアレーション。


海洋循環。


深層の冷水。


栄養塩。


漁業。


生態系。


国境。


費用。


責任。


そして、Blue Pulse。


『そうだ』


「今の現実線で分かっているのは、ここまでだ」


俺は、慎重に言葉を選んだ。


「海の熱と循環に、人為的な補助を入れられないかという構想がある」


『うん』


「どの海域なら、小規模に試せるのか」


「どの程度の運転なら、影響を監視できるのか」


「誰が許可して、誰が責任を持って、誰が止めるのか」


『うん』


「漁業と沿岸の暮らしと、海底の生態系と、国境の線と、予算の話が、まだ絡まったまま残っている」


『そうだ』


「だから、現実線のBlue Pulseは、“届きかけている”というより」


俺は、一度言葉を止めた。


「まだ、“海へ出る手前”にいる」


『そのほうが正確だ』


「構想としてはある」


『うん』


「動かす理由もある」


『うん』


「でも、監視付きの実証として始めるところまでは、まだ行っていない」


『それが第3部時点の現実線だ』


「世界の海面水温は、記録的な高さになる」


「エルニーニョは、これからも発生する」


「そのたびに、“海の循環を少しでも補助できないか”という問いは、何度も戻ってくる」


『だろうな』


「でも、問いがあることと、実装できることは同じじゃない」


『そうだ』


「だから、海の補助輪についての最終答案は、こうなる」


俺は、ノートに書いた。


――必要性は見えている。


――構想もある。


――しかし、今の現実線では、まだ海へ出る手前にいる。


第2節 土の補助輪は、「目立たないけれど、もう動いている」


「土の補助輪は、結論が少し違う」


俺は、流域図とスポンジ畑と雨庭のページを開いた。


スポンジ状の土壌。


被覆作物。


雨庭。


遊水地。


透水性舗装。


流域治水。


『うん』


「これらは、今の世界線でも、すでに小さく動いている」


『そうだ』


「上流で、“崩れ方の履歴”を見ている農家がいる」


『うん』


「中流で、雨が庭に一度入ってから、ゆっくり側溝へ流れていく様子を見ている人がいる」


『うん』


「自治体の担当者が、豪雨のあとに起きたことを、流域図へ少しずつ書き足している」


『そうだ』


「どれも、ニュースにはほとんど出ない」


「拍手喝采されることも、ほとんどない」


「効果が一つの数字ですぐ証明されるわけでもない」


『うん』


「ただ、“ギリギリで持ちこたえた年”の裏側で、土と水の動き方を少しだけ変えている」


『それが土の補助輪だ』


「一つの畑で、川全体は変わらない」


『うん』


「一軒の雨庭で、洪水は止まらない」


『うん』


「一枚の流域図で、災害がなくなるわけでもない」


『そうだ』


「それでも、一気に流れていた水の一部を、少しだけ遅らせる」


「流れていた土の一部を、少しだけ残す」


「見えていなかった危険を、少しだけ地図に残す」


『ましな差だな』


「だから、土の補助輪については、こう書ける」


俺は、ゆっくりと打ち込んだ。


――目立たないけれど、もう動いている。


――“全部”ではない。


――それでも、“ましな何か”という意味では、すでに今の世界線に存在している。


第3節 空と都市の補助輪は、「イベント」と「前提」の間で揺れている


「空と都市の補助輪は、もう少し揺れている」


俺は、ミストと風のメモを開いた。


イベントミスト。


インフラとしてのミスト。


木陰。


水辺。


風の通り道。


都市の熱の地図。


『うん』


「商店街のミストは、“にぎわい”という名目で毎年吊られて、毎年外されている」


『うん』


「設置する人がいて」


「ノズルを掃除する人がいて」


「補助金を申請する人がいて」


「夏が終われば、また外す人がいる」


『人の頑張りに支えられた補助輪だ』


「一方、再開発エリアのミストは、“熱環境の設計”という考え方の中で、最初から配管されている」


『うん』


「新しく作られた街では、海風と緑と日陰と地面の素材を組み合わせた“少し涼しい通り”が、図面の中に引かれている」


『そうだな』


「でも、駅前のロータリーは、まだ“死ぬほど暑い場所”のまま残っている」


『うん』


「古い街の道路も、建物も、所有関係も、簡単には動かせない」


『そうだ』


「だから、新しい街区には“前提”として入り始めている補助輪が、今ある街では“イベント”や“部分的な対策”にとどまっている」


『その差がある』


「空と都市の補助輪については、こう書ける」


俺は、ノートへ三行書いた。


――“イベント”としての補助輪は、すでに各地にある。


――“前提”としての補助輪は、まだ一部の街区に限られている。


――新しく作れる場所では図面へ入り始め、今ある街では、ようやく入口に立ったところだ。


第4節 「補助輪は万能ではない」と「何もしないよりはまし」は、同時に成り立つ


『ここまでをまとめるなら?』


AIが促す。


「こうだな」


俺は、画面に打ち込んだ。


――補助輪は万能ではない。


――海の補助輪は、まだ海へ出る手前にいる。


――土の補助輪は、目立たないまま、すでに小さく動いている。


――空と都市の補助輪は、“イベント”と“前提”の間で揺れている。


『うん』


「そのうえで、“何もしないよりはまし”という言い方が、まだ成り立っている」


『“まだ”というところが、第3部らしい』


「全部を元に戻すことはできない」


『うん』


「全部を救うこともできない」


『うん』


「海洋熱波も、豪雨も、猛暑も、完全には止められない」


『うん』


「でも、“壊れ方のペースと方向を少し曲げる”という意味なら、補助輪を動かす余地は残っている」


『それが第3部の最終答案だな』


「万能ではない」


『うん』


「でも、無意味でもない」


『うん』


「全部には届かない」


『うん』


「でも、届く場所はある」


『それでいい』


「たぶん、それが一番正直な答えなんだろうな」


第5節 「このまま進んだ世界線」を書く覚悟


「で、第12話でやっておきたいことが、もう一つある」


俺は、ニュースアプリを一度だけ開いてから言った。


「このまま、何も大きくは変わらずに進む世界線を、ちゃんと書くっていう覚悟だ」


『何も変わらない世界ではないだろう』


「そうだな」


俺は言い直した。


「小さな試みは続いている」


『うん』


「農家は土の手入れを続ける」


『うん』


「住民は雨庭を手入れする」


『うん』


「商店街は、夏になればミストを吊る」


『うん』


「自治体は、少ない人員で流域図を更新する」


『うん』


「でも、それが大きな制度や広い地域にはつながらない」


『それが、“大きくは動かなかった世界線”だな』


「エルニーニョが、また発生する」


『うん』


「日本近海の海面水温が、また記録的な高さになる」


『うん』


「猛暑と豪雨が、また“過去に例のないクラス”と言われる」


『うん』


「それでも、海の補助輪は構想のまま」


「土の補助輪は、小さな現場のまま」


「空の補助輪は、部分的なインフラのまま」


『そういう世界線だ』


「それを、“こうなりました”と書くのは、正直かなり嫌だ」


『だろうな』


「でも、“このまま進んだ場合のログ”としては必要だ」


『なぜだ?』


「動いた世界線を書くとき、その比較対象がなければ、何が変わったのか分からないから」


『そうだな』


「それに、動かなかった理由も書かなきゃいけない」


『予算がなかった』


「合意が取れなかった」


『リスクを評価しきれなかった』


「続ける人が疲れた」


『ほかの課題が優先された』


「その結果として、大きくは動かなかった」


『単純な怠慢ではない』


「そう」


「動かなかった人たちを、“何もしなかった愚かな人”として書かない」


『重要だ』


「動けなかった理由まで含めて、現実線ログに残す」


『それが、二つの世界線を公平に並べる条件だ』


第6節 「動いた世界線」は、逃避ではなく“選択された可能性”として書く


「その一方で、“動いた世界線”も書く」


俺は、頭の中で二つの画面を並べた。


一つは、大きくは動かなかった現実線。


もう一つは、どこかで小さな分岐が起きた世界線。


「動いた世界線では、構想だったBlue Pulseが、チリ沖の限定された海域で実証に進む」


『うん』


「観測と監視と停止条件を付けて、慎重に動かし始める」


『うん』


「その結果を見ながら、ペルー沖まで広げるかどうかが議論される」


『うん』


「いくつかの流域では、土と雨庭と遊水地の記録が共有される」


『うん』


「いくつかの都市では、風と日陰とミストと緑が、“余裕があれば入れるもの”じゃなく、“最初から考えるもの”になる」


『うん』


「その世界も、成功した理想郷にはしない」


『当然だ』


「Blue Pulseには、監視と停止判断の責任が生まれる」


『うん』


「流域の補助輪には、維持費と効果測定の負担が生まれる」


『うん』


「都市冷却には、水、電力、衛生、管理の課題が生まれる」


『そうだ』


「何かを動かしたら、新しい問題も動き出す」


『それが、“動いた世界線”だ』


「だから、逃避として書くんじゃない」


『うん』


「“こちらなら全部うまくいきました”という正解の世界でもない」


『うん』


「現実とは違う選択をした結果、別の責任と失敗を引き受けることになった世界として書く」


『選択された可能性のログだな』


「そういうことだ」


第7節 主人公は、二つの世界線を並べて見せる


『お前のスタンスは?』


AIが聞く。


「どちらを選べ、とは書かない」


俺は、少しだけ静かに言った。


「大きくは動かなかった世界線では、こういう景色になった」


『うん』


「補助輪が少し広がった世界線では、こういう景色になった」


『うん』


「その二つを、並べて見せる」


『判断は、読む側に任せるわけだ』


「そう」


「ただし、“完全に中立です”って顔もしない」


『なぜだ?』


「少なくとも俺自身は、“ましな何かを動かそうとする側”に立ちたいと思っているから」


『第1部から第3部までを通ったあとの、お前自身の選択だな』


「そうだ」


「でも、自分がそう思うことと、物語の中で答えを押し付けることは違う」


『うん』


「俺は、二つのログを書く」


『うん』


「その中で、何が変わり、何が変わらず、どんな新しい問題が生まれたのかを書く」


『うん』


「その先の選択は、読んだ人に残す」


『物語を書く市民としては、それでいい』


「そこまでが、俺の仕事だ」


第8節 補助輪はここまで。次は、二つの世界線を書く


「というわけで」


俺は、ゆっくりと打ち込んだ。


――第3部は、ここまでだ。


――補助輪をどこまで社会に付けられるか、今の現実線で見えるところまでは見た。


――海の補助輪は、まだ構想と検討の段階にいる。


――土と流域の補助輪は、小さな現場で動いている。


――空と都市の補助輪は、新しい街区と一部の既存街区へ、少しずつ入り始めている。


――どれも、“全部”には届いていない。


――それでも、届く場所はある。


――だから俺は、大きくは動かなかった世界と、補助輪が少し広がった世界の両方を書く。


――どちらが正解だったかを決めるためではない。


――世界線を分けた小さな選択が、どこにあったのかを見るために。


「ここまでが、第3部の結論だな」


『きれいに締まった』


「第4部では、この結論を持ったまま、“動かなかった世界線の続き”と“動いた世界線のログ”を書いていく」


『二本のペンの出番だ』


「そういうことだな」


俺は、第4部用に作った二つのフォルダを開いた。


一つは、「大きくは動かなかった世界」。


もう一つは、「動き始めた世界」。


中には、まだ何も入っていない。


どちらにも、人間の選択がある。


どちらにも、選べなかった理由がある。


どちらにも、失敗がある。


そして、どちらにも、その先の選択肢が残されているかもしれない。


俺は、二つの空のフォルダをしばらく眺めた。


それから、新しいファイルを一つだけ作った。


まだ、タイトルは付けなかった。


第3部は、ここで終わる。

ここまで第3部を読んでいただき、本当にありがとうございます。


第3部第12話は、「補助輪をどこまで社会に付けられるか」という問いに対する、今の世界線での最終答案を置き、第4部で描く二つの世界線への入り口を開く回でした。


第3部で見てきた、海・土・空と都市の補助輪の“今の位置”は、それぞれ異なります。


海の補助輪である深海エアレーションやBlue Pulseは、今の現実線では、まだ構想・研究・検討の段階にあります。


どの海域なら実証できるのか。


どの規模なら影響を監視できるのか。


漁業、生態系、国境、費用、責任、停止条件をどう整理するのか。


必要性や構想は見えていますが、監視付きの実証として海へ出るところまでは、まだ到達していません。


Blue Pulseがチリ沖の限定された海域で実証へ進み、観測と調整を重ねながら、やがてペルー沖への展開が検討される流れは、第4部で描く“動いた世界線”の出来事です。


土と流域の補助輪は、すでに小さな現場で動いています。


スポンジ状の土壌。


被覆作物。


雨庭。


遊水地。


透水性舗装。


流域図と、豪雨後の継続的な記録。


一つひとつの規模は小さく、すべての流域に広がっているわけではありません。


それでも、上流の農家は「崩れ方の履歴」を見ています。


中流の住民は、庭で雨が一度受け止められる様子を見ています。


自治体は、流域の中で起きた変化と、まだ分からないことを地図へ書き足しています。


土の補助輪は、目立ちません。


しかし、“ましな何か”という意味では、すでに現実線の中で動き始めています。


空と都市の補助輪は、イベントとインフラの間にあります。


商店街では、毎年ミストを設置し、撤去し、担当者の手間と補助金で続けています。


再開発エリアでは、固定配管されたミスト、風の通り道、日陰、緑地、地面の素材が、熱環境の設計として最初から組み込まれています。


新しく作る街区では、空の補助輪が図面へ入り始めています。


一方、すでに存在する街では、土地、建物、道路、権利、費用の制約があり、駅前、病院周辺、通学路などの優先区間に、部分的な対策を入れる段階にとどまっています。


第3部の最終答案は、単純です。


補助輪は万能ではありません。


すべてを元通りにすることも、すべての被害を防ぐこともできません。


海の補助輪は、エルニーニョを完全に消すものではありません。


土の補助輪は、すべての氾濫や土砂災害を防ぐものではありません。


空と都市の補助輪は、猛暑を快適な夏に変えるものではありません。


それでも、「壊れ方のペースと方向を少し曲げる」という目標なら、今の現実にも動かせる余地があります。


万能ではない。


しかし、無意味でもない。


全部には届かない。


しかし、届く場所はある。


それが、第3部でたどり着いた答えです。


第4部では、二つの世界線を描きます。


一つは、大きくは動かなかった世界線です。


小さな取り組みは続いています。


農家は土を手入れし、住民は雨庭を管理し、商店街はミストを設置し、自治体は流域図を更新します。


しかし、それらは大きな制度や広域的な仕組みへつながりません。


エルニーニョ、海洋熱波、猛暑、豪雨は続き、海の補助輪は構想の段階にとどまります。


もう一つは、補助輪が少し広がった世界線です。


Blue Pulseがチリ沖で、監視付きの小規模実証へ進みます。


複数の流域が、成功だけでなく失敗の記録も共有します。


都市では、風、日陰、緑、ミスト、熱の地図が、設計や予算の判断材料に入り始めます。


ただし、こちらも理想郷ではありません。


海への介入には、監視と停止判断の責任が生じます。


流域の補助輪には、維持費と効果測定の負担が生じます。


都市冷却には、水、電力、衛生、設備管理の問題が生じます。


第4部で描くのは、「成功した世界」と「失敗した世界」の比較ではありません。


大きくは動かなかった世界と、別の選択をして動き始めた世界の比較です。


主人公は、その二つを二本のペンで書き分けます。


現実線用のペンでは、何が動き、何が止まり、なぜ止まったのかを記録します。


もしも線用のペンでは、構想が実証へ進み、補助輪が広がったことで何が変わり、どのような新しい責任と問題が生まれたのかを記録します。


どちらか一方を、正解として押しつけるためではありません。


予算。


合意。


責任。


記録。


設計。


制度。


世界線を分けた小さな選択が、どこにあったのかを見るためです。


第3部は、これで終わります。


第4部では、同じ主人公とAIが、少し違う二つの未来を、それぞれのログとして書き始めます。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:リアル(Perplexity)

校正・文体調整:G(ChatGPT)

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