表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/54

第7話 帰 還(その1)

 星下の氷原にイートンの絶叫が響く。

 充駆はただそれを聞くことしかできない。

 おとなしく引っ込み思案なイートンから出るとは思えない血涙を絞るような慟哭を。

 そこへ背後からかけられた声。

「どうやってオレたちより先に……いや、それよりなにがあった」

 目を向けるとセーラーとワンピが立っていた。

 少し離れた所では、ブレザーが血まみれ状態であおむけのスクールセーターを見下ろしている。

 充駆は口を開くも――

「え……いや……」

 ――言葉が出ない。

 黙ってセーラーに鍵をかざしてみせる。

 奪還した鍵、イートンの慟哭、姿のないボレロ――状況を察したセーラーが無言で充駆の身体を抱きしめる。

 正確にはイートンの姿を、そして、まだ哭き止まないイートンの意識を抱きしめる。

 ようやくイートンが落ち着いてきた頃、頭上で静かに揺らめいていた制服評議会がささやいた。

「その鍵は色を見たらわかる通り、まだ制服廃止論者の意思に染まったままです。クレバスの底、集合無意識の海へ落とす前に漂白をしてイートンの意思で染め直す必要があります。学校の中庭へ持ち帰ってください。そこで漂白します。では、よろしくお願いしましたよ」

 それだけ伝えると六つのレンズを表面に張り付けたスライムはゆらゆらと高度を上げて、やがて星空にまぎれて見えなくなった。

 その消えた先に目を凝らしながら、充駆は怒りにも似た感情を覚える。

「どーした、充駆?」

 全身から漏れる怒気を感じたのかワンピが充駆を見上げる。

「いや。ボレロがいなくなったのに……無反応あんなもんなのかなって」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ