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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第3章 ダンジョン攻略は思いがけない出来事の連続
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第97話 私コレ使うの〜♪

 次に、新しい武器選び。


 アイリスに灰にされた哀れなロングソードの代わりを探す。


 学園の貸し出し武器庫でソレを探した。って言っても……僕の神器と似たようなモノを探し出すだけで、ものの数分で新しいモノを見つけて借りてきた。


 問題だったのは……



「あの……ヴェルテちゃん? ソレどうするつもり??」

「……へ?」



 この時——ヴェルテも同行して武器選びを手伝ってくれた。とは言いつつ、何も手伝いは受けてないが……。

 たまたま居合わせて「私も武器選ぶ〜♪」で、ついてきてしまったんだ。


 それで……


 僕が武器を選び終え、ふとヴェルテの姿がないことに気づく。そこでしばらく待っていると……ズルズルズル〜〜と、床を擦る音が近づいてきたんだ。

 ヴェルテは自分の体格よりも大きな大剣を嬉しそうに抱えて引っ張り出してきた。それの切先が床を擦っているのがよくわかる。

 だから、どういうつもりなのか彼女に尋ねたんだ。


 すると……



「大きい武器カッコいい〜〜! 私、これ使う!!」



 だそうです。


 これに、僕は速攻……



「今すぐ返してきなさい!」

「——ッえ!?」



 って言ってやった。


 何が「え!?」だよ……受け入れられるわけねぇ〜だろうが——!



「あのさ〜〜ヴェルテは獣人だろ? だったらさ。スピードを生かした戦いを心がけるべきだ。人よりは力持ちなんだろうけど、そんな引きずるような大剣でどうやって戦うんだよ」

「が、頑張る……」

「頑張っても無理だ。今直ぐ返してこい。おとなしくいつもの“ツインダガー”を使いなさい」

「——ッぇぇええ!?」

「ええッ〜〜じゃない!」



 まったく——コイツは……


 ヴェルテは本能のままにやりたい事をとことんやる奴だ。だからって、扱えない武器を引っ張り出してくるのかね?



「——ッ嫌だ! 嫌だぁあ! コレ使うのぉお!」

「——だぁあ! 我儘言うな! 駄々っ子か! 君、今 何歳いくつだよ!」



 武器選びはスムーズに終わったはずが……ヴェルテの癇癪を収めるのに無駄に時間を費やしてしまった。

 床を転がり周る彼女は、おもちゃをねだる子供を彷彿とさせる。

 本当に彼女は僕と同い年なのだろうか? いささか疑問だ。





 そして、試験当日——




 僕と、ヴェルテはチュートリアルダンジョンを目指して町中を並んで歩く。

目的地は目の前——道を聞かなくとも直ぐ分かる。

 雲を突き抜けるほど天高く伸びる摩天楼は、嫌でも見えてるんだ。道に迷う方が難しい。



「むむむ〜〜」

「ヴェルテ? まだ怒ってるのか?」

「むむむ〜〜!」

「たくよ。いい加減、大剣はあきらめろよ」



 僕のコンディションは良好——試験に挑む準備は万端だ。

 しかし……ヴェルテは違う。いつも笑顔な彼女にしては珍しく、彼女の可愛らしい唇は、これでもかっ〜〜てほどの尖を見せている。唸り声を上げて、明らかにいじめているのがよ〜く分かる。

 朝、学園での待ち合わせ場所には、涙目で大剣を抱きしめてたヴェルテの姿があった。

 僕は、視線が合うや否や……



「——ッ今直ぐ返して来なさい!」

「——ッ!? う、うわあ〜〜ん! ウィルの馬鹿ぁ〜〜あ!!」



 これである。

 美少女が涙目で懇願してこようが、馬鹿な行為は許容できないのだ。

 ヴェルテは大剣を奪われたことで、すっかりご立腹である。


 だけど、大丈夫!


 こんな時の対象法は——



「ほら、ヴェルテ。干し肉」



 これに限る。



「——ッ!! わぁ〜い! 干し肉!! ウィル、だ〜〜〜い好き!!」



 ほらね? ヴェルテは単純で助かるよ。




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