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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第3章 ダンジョン攻略は思いがけない出来事の連続
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第94話 たのもお〜♪ いざ尋常に勝負〜♪

「えっとここが……学長室?」



 ヴェルテを連れ、アイリスから逃げてきた僕だが、入学当初の学園案内の記憶を頼って学長室を目指した。

 試しにヴェルテに聞いたんだが「わかんない!」と即答。頼みの綱は僕の記憶のみとなってしまった。まぁ、はなからヴェルテの記憶なんて期待してなかった。だって彼女の頭の中は肉でいっぱいなんだからよ。

 それで……右へ〜左へ〜と、何とかたどり着いたのは大きな2枚扉の部屋だった。


 が……僕はここで思わず呆れてしまう。


 この扉はなんだ? ただの学園にあるには不釣り合いの尊大な作りだが? ここは魔王の部屋か?



「——たのもぉ〜〜♪」



 僕が扉の強大さに呆れていると、今まで沈黙でドッシリと鎮座していたはずの扉を、勢いよくヴェルテが打ち開く。


 ほほう〜〜扉の先にいるのが魔王なら、勇者はヴェルテだったか? 陳腐ちんぷな冒険譚が書けそうだ。


 てか、ヴェルテちゃん? 「たのもぉ〜♪」って何よ。道場破り?



「ほう。これはこれは、可愛い道場破りのご登場か? それと、何かと噂が絶えない少年は君だね?」



 バンッ——とヴェルテの突撃音が止むと、部屋の中の静寂から男性の声が聞こえた。

 赤い絨毯が引かれた部屋。その中央にある大きな書斎机に、手を組んでこちらを見つめてくるイケおじの姿がある。顎髭を蓄えた白髪の男。身体は筋骨累々や〜〜って感じの奴がいる。これが魔王である(嘘)。

 確か、入学時講堂で長々と挨拶してた人物だと記憶してる。名前までは覚えてないがな。自分が通う学園の長の名前ぐらい覚えておけよと思うだろうが、そこは僕だからね……興味のある人物の名前しか覚えないんだよ。 



「——ふむ! 我が名はヴェルテ! いざ尋常に勝負!!」



 時にヴェルテちゃん? 急にどうした? 大きな扉を打ち開いてテンションあがっちゃった感じ? 君、ここに何しにきたんだよ。本当に破りに来たのか?



「熱烈な自己紹介だね。私は学園長を任されているフェルスだ。君たち冒険科の魔法学を担当する教師……フェルナンドは、私の娘でね。君たちの話題はよく娘から聞いているよ。特にウィリア君。君は魔法の天稟てんぴんを持っているそうだと……」

「あぁ……いや、そんな事は……ないと思います」

「ほほう。若いのに謙虚なんだな。そう悲観することはない。娘は普段フワフワしているが、あれで人を見る目がある。滅多に人を褒めることがないんだ。君にはちゃんと才能があるんだよ」

「そう……っすか……」



 あぁ……そういうことか。「噂が絶えない」とはどういうこっちゃと思ったが、そんなことがぁ——まったく、擬音教師フェル先が余計なことをパパにチクってるってことだったか。

 余計なことを……。



「それで……僕たちは何で呼ばれたんですか? 言伝に僕とヴェルテを探してるって?」

「——ッ!? ——うんうん♪」



 過ぎたことを嘆いたってしょうがない。気を切り替えよう。


 今日、この時——なぜ、この場所に呼ばれたのか——是非、聞かせてもらおうじゃないか。

 ヴェルテも気になってか、縦に首を激しく振っている。笑顔でね。

 てか、彼女本当に気になってるのか? 僕に合わせて適当に首を振ってたりして……まぁ、いいやヴェルテが可愛いから。


 ——はい、ワシャワシャ〜〜っと……



「……ッ?!」



 とりあえず頭を撫でておいた。ヴェルテは不思議顔だ。



「——実はな。君たちに提案があるんだ」

「……ッ提案?」


 

 その時——学園長が語りを始め、すかさず僕の気を引いた。



「あぁ……実技試験満点合格——6000点を叩き出した。ウィリア、ヴェルテの2人にね」

「——ッ!?」



 おっと……これはどういうことだ? 一体、学園長殿は何を僕たちに提案するつもりだ? 

 嫌な予感……とまで言わんが、とんでも点数を叩き出した弊害が出てしまうのか?!


 それも……次の学園長の言葉次第だ。


 吉と出るか……凶と出るか……


 さて——彼は何の為に呼んだんだ。



「さ〜〜て、期待の学生諸君——2人とも……“仮冒険者試験”を受ける気はないかい?」

「「……仮冒険者試験?」」



 ん? かりぼうけんしゃしけん? 


 何だ〜〜それ?



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