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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第2章 ダンジョン試験 頼れる相棒は素っ頓狂な犬 救うは囚われ令嬢
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第87話 6000点?!

「金貨……4枚……弱?」

「はい。今の相場ですと……ここにある分では——それぐらいかと思いますよ?」



 き、き、き、金貨4枚だとぉお!!


 は、は、は、話が違うッ——話が違うじゃないかよぉおおおお!!



 と——僕が、顔を真っ青と豹変させる真実を知る。



 なんでも……



 事前に配られた冊子に書かれた素材、そしてその隣のポイントとは必ずしも値段との繋がりはないそうだ。

 確かに、ポイントの高いものの方が高価で売れるそうだが、あのポイントとは採取難易度も関与してるらしい。

 青魔法石は非常に硬い鉱物である為、それを持って帰ってくるだけでも一流の冒険者でも手を焼くそうだ。

 1500ポインという破格の数字とは、純粋に青魔法石の採取難易度の表れだった。高くは買い取ってもらえるが、僕が想像していた莫大な価値はなかったのだよ。

 結局……金貨4枚は、ヴェルテと山分けして取り分が金貨2枚とちょっとに……つまり寮費1ヶ月分ほどにしかならない。

 挙句、ヴェルテにご飯を奢ることで、財布の中身はすっからかんになってしまった。泣かせたことに対してのせめてもの罪滅ぼしだ。


 まったく……こんなはずでは……



「——嘘だぁああ!! そんなことぉおお!!」

「——ッ!? ど、どうしたのウィリア君!?」



 夢想ゲート前で床に手をついて項垂れる僕——フェル先生には酷く心配されてしまったとさ。



 めでたし、めでたし……はい、めでたし……






 それと……





 もう1つ——僕にとって不足の事態があった。






「おい。なんだよこれ?」

「採点ミスじゃねぇ〜の?」

「誰だ? このウィリアってやつは……」

「確か前に令嬢との噂が……」



 後日——廊下に張り出された、とある結果発表に生徒が釘付けになってたむろした。




     ♢冒険科試験結果♢


 1位 ウィリア ヴェルテ 6000点

 2位 ーーーー ーーーー   85点

 3位 ーーーー ーーーー   74点

 4位 ーーーー ーーーー   73点

 5位 ーーーー ーーーー   71点

 6位 ーーーー ーーーー   69点

 7位 ーーーー ーーーー   69点

 ……

 ……


 

 


 この晒し首ならぬ、晒し結果に……僕はもう脱帽するしかなかった。

 今すぐデカデカと張り出されたこの紙をビリビリに引きちぎってやろうかと思うほどに……


 そして……呆れはてて、この張り出された数字を眺めて居るとだ。



「ねぇ……あの人!」

「え? あの人がウィリア?!」

「パッとしねぇ奴! 絶対、不正だろ」

「うわ。最低〜〜」



 おい。何故だ——


 どうして僕は、いつも謂れもない言葉をぶつける対象になっているんだ? 

 そんなに不正に走るような悪い顔してるのか? 僕は!?


 それに……学園は馬鹿なのかね? 


 こんな紙を張り出してくれちゃって……


 なんだよ6000点て——この試験100点満点と違うのか!? こんなの見たらモブ多数が『不正』だって思うのもしかたないだろう。


 ふざけやがって……



 ……ん?




 ……

 ……

 ……



 ランク外 アイリス   0点

      アルフレッド 0点




 結果の羅列を眺めていると、生徒の名前の末に『ランク外』の文字。

 そこにはアイリスの名前と、もう1人の生徒の名前があった。


 まぁ〜〜アイリスは、行方不明だったから試験を受けてない。だから0点なのも分かる。


 で、もう1人……


 アルフレッド……


 ()()()()()



「アルフレッド様。どうして0点なの?!」

「あぁ……なんでも行方不明のアイリス様を探して連日連夜駆け回っていたそうよ」

「——え!? なんて健気な方なの!?」

「アイリス様も無事見つかったようで良かったわよね!」



 ほう。ご都合主義で僕の耳は欲しい情報を拾った。

 なるほど、アルフレッドとはアイリスのファンか何かか? そんな学業を放り捨ててまで探すとは殊勝な奴じゃないかぁ〜〜! 

 愛を感じるぜ。

 僕なんかが見つけてしまって、なんだか罪悪感を感じるな。

 てか……アルフレッド? そんな奴、冒険科にいたかな? 記憶の片隅にチクチクと刺さるものがあるんだけど……


 アルフレッド……?


 あるふれっど…………?


 ……うん……あぁ……ダメだ思い出せん。


 まぁ、野郎の話はどうでもいいや。


 それと、アイリスは無事だったようだね。生徒が噂するほど、彼女にまつわる吉報はしっかりと伝わってる。

 ならつまり、無事に助けられたってことか——僕も、らしくもなく頑張ってしまったからね。頑張ったかいがあったてもんだよ。



 


 でだ——その彼女だけど……






「——っちょっと……そこのチンチクリン?」



 ホームルーム前の教室。


 僕の近くで悪口が飛んだ。


 一体誰だよ? 悪口を吐き捨ててるのは……?

 


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