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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第2章 ダンジョン試験 頼れる相棒は素っ頓狂な犬 救うは囚われ令嬢
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第76話 変態の意表を突け? え? 無理じゃね?!

 僕は、この男より弱い。


 この事実を踏まえて……僕はどうするべきか?


 こと、この戦闘において僕の命を繋いでいるのは、男の戦闘に対する態度、そしてモチベーションである。

 僕のトリッキーな技を好奇と見て、手加減をしてくれてるからこそ、僕は均衡してるような戦いっぷりを見せているのだが……


 もし——


 男が僕に興味を無くし、飽きてしまったら……?


 それは僕にとって死が訪れる瞬間さ。


 別に、それが怖いとは感じない。どうせ、人間誰しも必ず死ぬ。僕の死期がそこだっただけで……力及ばない僕が悪いんだから。そん時はそん時で仕方ないさ。


 そして……

 

 その瞬間とは僕の命運尽きた時でもあるのかな?


 まだ僕は運に恵まれている。男が僕に興味を持ってくれてるんだから……命は繋がっている。

 だとするなら……僕が取れる戦術は1つ——!

 男の興味がまだ僕に向いている内に、僕は男の意表を突いて奴に一撃をブチかます。これに限る。


 ……ん? 逃げないのか?


 まぁ……その選択も視野にはあるんだけど……アイリスの逃げる時間はもう少し稼いでおきたいんだ。

 僕も首を突っ込んでしまったてまえ、そこは責任もって殿しんがりを努めさせていただきますともさ。

 意外かもしれんけど、僕って面倒くさがりでも、途中で投げ出すのは嫌いな性分なんだよ。

 だからさ「ん?」って顔するなよ? 「意外」って部分に反応もするなよ? クスクス笑うなよ?? 僕、殺されかけてんだからな! 笑うなよ!!


 はあ……


 で——話を戻そうか?


 それでだ。


 結局——あの男から一本取るには、奴の裏を掻き意表を突かなくてはいけない。そのためには、相手を知り弱点を叩くのが最も好ましい選択だろうが……


 さてここで……そんな、男の特徴をあげてみるが……



・僕より強い。

・魔力は僕より多い。

・刀剣の扱いも上。

・奴の風魔法を喰らえば、ほぼ一撃死。

・風の音を聞き、瞬間移動や不意打ちを予見する。

・風を使って瞬間的に距離を詰めてくる。

・舐めプ野郎。故に力の底がしれない。

・変態。


 

 大方、こんなところだろう。



 で——僕はこれからこれの裏をかくの?



 え……えぇぇぇぇぇ〜〜〜〜?


 無理だって……だって、無理だよ。無理なんだもん。そりゃ〜無理さ。


 だって、変態だよ? コレ無理でしょう〜〜?


 もう逃げちゃおうかな?


 速攻、僕の信念をブチ曲げるほどヤバイ奴を相手にしてるんだ。これだけは分かってもらいたい。

 相手にはどんな不意打ちも通用しない。挙句、均衡を維持している戦闘を演じてるが、この男の剣撃、詰めのトップスピードはおそらくあんなもんじゃない。

 魔質『風』——っていうのは目で確認できないインビジブルな魔力。一撃殺傷の見えないナイフが高速で飛来する光景を思い浮かべろ。そう変態だ。

 僕は【魔力感知】があるから見えているが……それがあったとしても微かに色がついてる空間が高速飛来する事実は変わらない。あの色に触れた時点でゲームオーバーだ。

 そして『風』とは純粋にスピードの化身だ。あの離れた位置から詰める高速移動はヤバイのだが……あの呆気らかんとする様子から察するに、まだ加速する余力を持っていそうである。

 そしてオマケに『風を聞く』とか言う、不意打ちを無効化する変態チート能力だ。これのせいで僕の瞬間移動ともとれる魔技【虚影】は通用しない。

 そして、そんな【虚影】の戦闘を分析する頭脳まであるときたものだ。

 一体、コイツからどうやって意表を突くのかね? 僕にはそんな未来は想像つかないのだよ。

 なんで盗賊なんてやってるんだか……冒険者として一攫千金してろや。バカヤロウ!!



「さて——このまま黙りは〜〜お兄さん、本当につまらないなぁ〜〜? そこの瓦礫の後ろに隠れてるのは分かってんだ〜〜風が教えてくれてるからね。俺をもっと滾らせてくれないかなぁ〜〜アッハハ〜〜♪」



 と——男は変態的に笑う。そして、一歩、また一歩と近づいてくる。猶予はそうまっちゃくれない。


 僕には決断が迫られる。


 


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