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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第2章 ダンジョン試験 頼れる相棒は素っ頓狂な犬 救うは囚われ令嬢
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第72話 ウィリア戦闘突入と同時刻 アグレッシブな令嬢はというと?

「ここよね? ウィルが言っていた場所って……」



 壁の亀裂の袂までやってきた私は、柱の壁を背もたれにしてウィルの示してくれた地点をゆっくりと顔だけを覗かせて確認をする。

 すると、石のゲートらしきモノが見えた。



「あれは……学園の夢境で見た石のゲートとそっくりね。あそこが出口なのかしら?」



 おそらく、あれは転移装置のようなものね。

 「転移」……それは、ラストダンジョンにも使われている神の作り出した装置だと言われているわ。人類の持つ魔力に反応して、こことは違う別の場所に瞬間的に移動させてくれる装置のこと。

 きっとあれが……ウィルの言っていた脱出口なんでしょう。



「そして……あれは、見張りね。パッとしない男が2人……」



 ゲートの周囲を良く観察する。

 そこには2人の男が居た。武器は、1人が2本のダガーを……そして、もう1人が私と同じロングソードを帯刀しているのがわかる。

 まず、あの2人をどうにかしないとここからの脱出は難しそう。

 と、言うのも……ゲートって、起動までに少しのタイムラグがあるのよ。

 大体5秒ぐらい?

 『それだけ?』って思うかもしれないけど、剣での打ち合いで“5秒”と言うのは短いようでとても長いものなの。多分、隙を見たとしても起動には間に合わないでしょうね。賭けに近い選択肢は最終手段であるべきよ。

 そして、例え近くで物音を発して1人を引き寄せたとしても、もう1人は絶対にゲートから離れることはないと思う。それがツーマンセルの強みですもの。そこはしっかりとしてると思う。


 だから結局は……私の次の行動は決まってるのよ。


 まずはこの2人を倒す。


 それから余裕をもってゲートを潜るの。これしかない。





 ——カツン!





「……ん? なんだ。今の音? 聞こえたか?」

「あぁ……なんか音がしたな」

「ここで待ってろ。ちょっと見てくる」

「あぁ……頼んだ」








「……う〜〜ん? これは……ローブ? 外套か?」



 男は、外套を拾う。



「なんで、こんなところに——」



 そして、それを観察する。両手で広げて、裏返したりしてこれを見ている


 この隙を……私は逃さない。



「——ッ!? グボォ……ッ?」



 私はウィルから借りたロングソードを背後から男の首に刺した。魔力の防御、回復なんて間に合わない。即死に繋がる一撃よ。



「……あ…ん…えおあ、え……あ(なんでお前が)?」



 ——バタン!!



 一瞬、死の直前に何か呻いていたけど、声帯はズタボロのはずだから何を言ってるか分からなかった。

 男は、数秒で脱力して崩れ落ち、石畳に血を撒き散らして絶命した。



 これで1人は片付いた。あとはもう1人。



 と、その時——



「——ッ!?」



 やばい!? 足音が近づいてくる!?


 声を上げられないように首を狙ったのだけれど……倒れた時の物音を聞かれたのかも?

 すぐに私は影に身を潜めた。


 そして……



「——ッオイ!? どうした!!」

「——ハァアアッ!!」

「——ッ!?」



 もう1人の男が角を曲がってくるタイミングでロングソードを突き出して強襲。


 だけど……



「——ック!? オラァア!!」

「——ッチ!!」



 男は身をそって剣を避けると、がむしゃらに足を突き出し蹴りを入れてきた。

 それは運の悪いことに私の鳩尾みぞおちに当たってしまった。数メートルに渡り蹴り飛ばされてしまう。



「——このクソ女!? オマエ……逃げ出してたのか? あぁ……殺してくれやがって……見張りが減って仕事増えんだろうが? どうしてくれるんだよ!! あん!!」


 ——ック!? 痛い! 


 直ぐに体勢を立て直して男を睨んだ。

 左脇腹がジクジクと痛む。とりあえず、左手で脇腹を抑え、右手はロングソードの切先を男に向けて静止させる。



「あん?! 何睨んでるんだよ? 生意気な!! ボコボコにして逃げ出したことを後悔させてやるよ!!」



 男は怒りを露わにして剣を引き抜いた。



 これはもう……正面切ってこの男と戦うしかないわ。



 ここからが正念場よ!




「やってみなさいよ! 雑魚剣士!!」

「ムカつく女だ! ひん剥いて、惨めな姿晒してやろうか?」



 こんなところで時間の無駄にはできない。


 ウィルのためにも……早くこの男を倒さないと!



 


 


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