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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第2章 ダンジョン試験 頼れる相棒は素っ頓狂な犬 救うは囚われ令嬢
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第69話 ムカつくんですけどぉ〜〜!?

「——おっッと……?!」



 男が一瞬驚くように声を漏らすと身体の周りに風が吹き荒れる。僕のレイピアの糸を乱し、隙間を縫うように距離をとってみせた。咄嗟の行動とは思えない完璧で流麗な動きを見せる。



「あれれ〜〜君は一体誰だい? いきなり危ないじゃないか〜〜まったく……」



 おいおい、よく言うよ。余裕な様子で対処しておいて、何が危ないって言うんだか。謙虚は時に嫌味となると聞いたことがあるが、このことか?

 だけど『ムッ』としたところで事実は無情だって分かってるんだ。憎たらしいことに流石であることには変わりないんだから。


 ——憎たらしいことにね!? 本当、憎たらしい!!


 大事なことなので2度言いました〜〜。これで僕がどれだけ『ッム』としてるか分かっていただけただろうか?

 不意をついたつもりだったんだけど、簡単に避けられた。僕の瞬間移動にも慌てることなく対応して見せた。

 ふむ。なかなかに悔しいなぁ……。

 僕はバトルジャンキーではないんだけど……それでも悔しいと思ってしまうよ。ついね。



「面白い武器を使うんだね〜〜奇妙な糸が繋がった2本のレイピア……ははは……面白いね。その輝く糸は魔法の類かな? 君——何者だい?」



 男は、舐め回すように僕を見つめてくる。

 突然の乱入者を観察をしているようだ。

 興味津々に屈託なく笑いながら語ってくる。

 非常に気持ちわるい感覚が僕を襲った。だが、注目を浴びるのは成功した。

 アイリスを追わせるわけにはいかないから。これでちょうどいいのである。



「さっきの少年の仲間なのかな? このタイミングってことは……お嬢様(アイリス)を追わせない気かな?」



 さて……ここで1つ疑問に思うことはないだろうか?

 さっきから、男は僕の正体を聞き出そうと言葉を口にしているが……


 ——あれ? さっき会ってたでしょう? 

 

 と思うところだろう。


 実は、部屋から【影移動】で脱出した時に思わず近くに落ちてた黒い外套を掴んでたんだ。いかにも〜な悪者さんが着てそうなコートみたいなヤツ。たぶん盗賊さんの私物かな?

 まぁ、ちょうどいいやって思って着たわけよ。僕の姿を隠す意味でもね。

 だってバレたくないでしょう? 

 ここから逃げた後に報復とかあったら怖いじゃん。だから、是が非でも僕の正体は知られたくないんだ。

 男の発言から察するに、吹き飛ばした僕が完全に死んだものだと疑ってはいないみたい。

 勘違いしてる。ここまでは狙い通りだ。


 時に、このコート……


 たぶん、普通のコートなんだろうけど、僕が着たらぶかぶかロングコートになってる感じだな。僕って身体小さいから……。


 ……ん!? おい?!


 今、『馬子にも衣装』って言葉を思い浮かべた奴いるだろ! 

 僕は育ち盛りなんだ。きっと数年後にはスラ〜ッとした身長のイケてるクソガキになってるはずさ。

 うん! そうに違いない。

 ここから脱出したら、寮のおばちゃんから大量の牛乳をもらってガブ飲みしてやる! クソ!!



「あれ〜〜黙り? もしくは喋れないとか……」


「いや。喋れるよ」


「——ッお!? はは……やっと口を開いてくれた〜〜嬉しいね〜〜」


「僕……いや……私は嬉しくないかな? あなたとお喋りに興じるつもりは微塵もないからね」


「……あらら〜〜俺、嫌われてる〜〜?」



 この時の僕は、アグレッシブ盗賊さんの成長を促した時の“殺し屋”を演じた時の声を真似てる。僕の正体を知られたくないからね。人畜無害しみったれたクソガキのウィリアに実力があるのを晒せないのである。



「ちょっと時間稼ぎに付き合ってもらうよ。ボス」


「んあ? 俺のこと知ってるの〜〜? あっちゃ〜〜アウトローである俺としたことが。しくったな? どこでバレたんだろ? やっぱり、オーラ??」



 ちょっと、かまをかけてみる。この反応は、遺跡を根城にする盗賊の『ボス』で間違いなさそうだ。



「あぁ〜〜なら、仕方ないな…………ッと!!」



 ——ッガキッキッキ——ン!!



「……ん? あらら……弾かれた??」



 男がポケットから手を出す。そして、2、3度タクトを降るような挙動で腕を動かす。それに合わせて僕は高速で剣を振るう。すると、何もない空間にも関わらず金属を打ちつけるような音を奏で、残響は周囲にこだまする。



「いや〜〜驚いた。君——僕の魔法が見えてるね? こんな簡単に攻撃が弾かれたのなんて久しぶりだよ〜〜」



 そう。僕には見えていたんだ。男が発動させた風魔法。その魔力の揺らめきが……





 魔防  Lv.5>Level up!>Lv.7




 

 ——魔防の値がLv.7になりました。

 >>>新スキル【魔力感知】を覚えました。





 神器【虚と影】Lv.28>Level up!>Lv.30





 ………Level MAX………


 >>>これ以上レベルは上がりません。


 >>>上限を開放してください。



 


 


ウィリアの活躍を期待してた皆様——

これよりバトルパート開幕です。

バトル描写は苦手ですが……頑張って執筆させていただきましたので……アグレッシブ盗賊さんの首領とのバトルをお楽しみくださいませ!

え? ウィリアの活躍は、あまり期待してませんか?

でしたら……暖かい目で見守って、口を噤んでください。

ウィリアが聞いたら、泣いちゃいますんで……

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