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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第2章 ダンジョン試験 頼れる相棒は素っ頓狂な犬 救うは囚われ令嬢
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第49話 やってくれたな! この馬鹿イヌ!

「あのぉ〜〜ヴェルテちゃん? 僕の説明聞いてた? ピッケルは、鉱石の割れ目か根元を狙って振れって!? さっき言ったでしょう!」

「私、だから……そのつもりで……」

「おもクソ——関係ないところ打ちつけてただろうが!? 割れ目でも根元でもなく表面!! そんなところを力任せに叩く奴があるかぁ嗚呼!!」

「ごめんなさい……」



 ヴェルテはシュンっとして耳を折りたたんで座る。僕もあまり怒りたくはないんだが、これぐらいは許してくれよ。

 そもそも僕が間違っていた。彼女に頼むんじゃなかったよ。

 何かの拍子に聞いたことがあったんだ。獣人は、身体能力に優れて俊敏かつ勘が鋭いと……で、ヴェルテに任せてみたんだが……まさか、考えもなしに叩いてピッケルを壊すとは……誰が想像できようか?


 だが、過ぎたことは仕方ない。何か別の案を考えよう。ヴェルテを責めたところで死んだピッケルが戻ってくるわけでもないしな。


 ただ……ねぇ……高かったんだぞ? あれ……



【採取用組み立て式ピッケル『モデル春』——銀貨4枚!】



 まぁ、いいや。ヴェルテは落ち込んで反省してくれてるみたいだし、ここは許してやろう。



 ——グゥ〜〜♪


「お腹すいた……」



 あれ? 腹の虫が鳴ったが……この子、空腹だから元気ないわけじゃないよな? 反省してるんだよな? てか君、さっき食べてただろうが! 俺の非常食全部!!



 ——グゥ〜〜♪


「うぅ……」



 また、腹の虫——これ後者の可能性が高っけ〜な。


 もういいや、無視しよう。この子のことよりも、青魔法石の回収方法だ。ここまででだいぶ時間使っちゃったからな。モタモタしてる暇はない。



 青魔法石は、魔力を吸収する性質があって、ほぼ魔力と言っても過言でない鉄鉱石だ。材質は硬質かつ魔法に強いときた。だから、採取するにも細心の注意が必要だった。だから割れ目や根元、脆い部分を狙って叩いてもらいたかったんだが……


 結果は……まぁ……あれだ……うん……


 青魔法石は魔力を吸収するとあって、割れた欠片ですら青魔法石の上に暫く放置してしまうと引っ付いて取れなくなってしまう。よって、元来から砕け落ちてるモノを拾うことはできない。そもそも破片が落ちているとは考えずらいんだ。そして肝心のピッケルは根元で折れてしまっている。金属部品はまだ無事だが、こんな金棒で叩いて砕けるか……?


 時間をかければ可能性があるが、試験終了までの猶予はほんの僅か……間に合うかは微妙なところだろう。


 てか……青魔法石の特徴はやはり『硬い』ことだ。鉱石を加工する職人ですら、工具を何個も潰して刀身や武具に加工するとも聞いたことがある。鉱石を砕くこと自体至難の業だって……深く念頭において考えておくべきだったんだよ。僕ははなから。

 魔法にも強いとくれば、誰だって青魔法石の武具を求める。だから、学園では魔法の試し撃ちの的に使われているし、あのアグレッシブ代表アイリス嬢は吸収効果を使って刀身にあの鉱石を採用していた。

 言ってみれば、命を預けるモノなんだから簡単に()()()もらっては困……る、って……



「……ん?」

「……にゅ? どうしたの?」



 待てよ……僕は重要なことを忘れているんじゃないか……だって……


 壊れてもらっては困るんだ。硬い鉱石であるから、それを信用して武具へ加工してるんだもん。


 だが、僕が実際に見たことのある青魔法石の加工品は2種類……


 それは…………



 そして、それらは……



 いずれも……





「……神器」





 僕は神器を取り出す。


 そして、迷うことなくそれを近くの青魔法石の結晶へと……


 プスッと……


 突き刺した。


 そう……突き刺さったのだ。


 


 

 



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