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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第2章 ダンジョン試験 頼れる相棒は素っ頓狂な犬 救うは囚われ令嬢
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第48話 ビバ一攫千金 僕の寮費5ヶ月分

 僕は事前に配られていた試験資料に目を通していた。そこには夢想で手に入る素材のレパートリーが記されていた。


 例えば、『薬草10束 3ポイント』とかね。


 合格ラインは50点だから、この場合は薬草170束を用意しなくてはいけない。薬草だけで合格点を目指すなら、2人1組の試験だと1人85束——ちょっと厳しい内容だ。


 だが……


 それはあくまで合格を目指す者からの見解だ。僕は別に試験の合格なんてものには興味なかった。あ……いや、のちに冒険者資格を発行してもらえるかに繋がってくるから、合格はした方がいいんだけどね。

 

 しかし……


 僕が試験で最も重視しているのは、あくまで一攫千金だ。せっかく、堂々とダンジョンへの立ち入りが許可されて、かつ手に入れた素材は買い取って貰えるのだから、この機を利用する他、僕に選択肢は用意されてなかったんだ。


 そして……



「……ん?」



 僕は、ペラペラと何気なく資料を捲っていた時だ。


 1つの素材名に目が留まった。



『青魔法石500g 1500ポイント』



 な〜ん〜だ〜こ〜れ〜わ〜??



 僕、思わず目を擦っちゃったからね。

 目がおかしくなったか? それとも幻覚?! な〜んて勘違いしそうだったからさ。試しに「0」を擦ってみた。だけど消えない。表記ミスでもなさそうだ。


 てか、これ……事実だとしたら……おかしくない?


 だって……なに1500ポイントって……テストの結果100点満点中、1500点が貰えるってことか? 計算間違ってるんじゃないのか??


 だが……重要視するところはそこではなかった。このポイントと試験を結びつけるとツッコミたくなる気持ちはわかるが、今は抑えてくれ。


 このポイントを見て……僕がここで気になったのは値段との結び付きなんだよ。


 例えばさっき例に挙げた薬草で言うとだ。


 ギルドの取引価格だが……薬草10束は銅貨2枚と交換してくれる。これは手のひらサイズの安いパンが買える値段と一緒さ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ちなみに……


この世界の貨幣価値。


銅貨10枚で銀貨1枚と同等。


銀貨10枚で金貨1枚と同等。


銅貨1枚……100円

銀貨1枚……1000円

金貨1枚……10000円


です。


あくまでイメージ。


物価は日本と比べたら安め。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 でだ。その薬草10束はポイントで言うと3点……で、青魔法石は1500点……つまり500倍だ。


 このポイントが売却価格と比例しているのかは分からなかったが……価値に基づいて設定されているのだとしたら……青魔法石500gは、銅貨1000枚分の価値があるということだ。


 つまり……金貨10枚……


 僕が寮費として払わなきゃいけない額はヒトツキで金貨2枚——つまり青魔法石500gは5ヶ月分の寮費になるということだ。



 僕がチュートリアルダンジョンに忍び込んでまで、青魔法石を漁りに来た理由が分かっていただけただろうか?








 そして目をつけたのは冒険譚の知識からのブルーアイアンタートルだった。この魔物は基本大人しい。そして巨大な亀であり、その甲羅は全て青魔法石だ。裏技を使って69階層に侵入。亀さんの甲羅を少し削ったぐらいではコイツは怒ったりなんてしない。まさにお誂え向きだ。

 さらに言えば……例え69階層の素材だとしても、手に入る素材が青魔法石なら、世に出回ってる素材でもあるからして、これを僕達が持ち帰っても誰も文句は言わないはずさ。

 ただ……あまりにも大量に持ち帰るのはやめておこう。せめて、点数として算出される500グラムを目指し、提出するのは少しにしよう。あとは困った時のために懐に隠し持っておく。これが理想的なところだろう。


 さて……


 肝心の採取は……というと……



「——オリャ!!」


 ——バキ!!!!


「…………」



 ヴェルテはピッケルをフルスイングで鉱脈へと打ちつけた。すると、あっという間にピッケルの根元が折れて壊れてしまった。鉄の部品がキュルキュルと回転して飛んでくると、僕の顔のすぐ横を掠めて背後の岩肌に突き刺さった。



「……えへへ〜〜失敗、失敗♪」

「『えへへ、失〜敗〜♪ キュるん♪』——ッじゃねぇ〜〜よ!! 馬鹿野郎!!!!」

「——ピャァア!? ごめんなさい!!」



 やってくれたな。この馬鹿犬。


 

 ピッケル1本しかねぇーーんだぞ!!




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