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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第2章 ダンジョン試験 頼れる相棒は素っ頓狂な犬 救うは囚われ令嬢
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第46話 はじめての……

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 地下に眠る『夢想』という名のダンジョンには、チュートリアルダンジョンの高層階と繋がる抜け道がある。



 『夢想』入り口。そこで横穴を潜り、遺跡の崩れた奈落を越えた先——



 遺跡を跨ぎ、谷を超え通路を探せ! 



 それが目印。



 ゲートをくぐり、正面の壁で菱形のブロックを見つけなさい。



 そして、己の内にある力を示すのです。



 その石に……



 さすれば轟音と共に道は開く。



 その先では——



 一先ず見上げてみろよ冒険者……



 そこは、洞窟だというのに……



 星空が見えるはずさ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ってね。



 冒険譚の一節を抜粋させていただきました。はい——



 ここまで、僕を導く結果を生んだのはやっぱり冒険譚だったんだよ。

 

 これは、チュートリアルダンジョンにこっそり忍びこむ方法の1つだ。ただ、この方法は抜け道のある『夢想』へと忍び込む必要があるため——



 忍び込むために、まず忍び込む必要が発生する。



 もう、これを聞いてると馬鹿馬鹿しく思えてくるだろう。笑えちゃうくらいにさ。

 だから、僕はこのタイミングを選んでこうして忍び込んでいるのだ。



「……へぇ〜〜私、アルフヘイムなんて初めて入ったよ!」

「だろうな。だって僕たちは冒険者じゃないんだからな」

「……へぇえ?」

「…………」



 僕の説明を聞いて、にゃはは〜と笑って、あっけらかんと言葉を口にするヴェルテ。


 薄々? いや、最初からわかっていたが……この子、やっぱりアホか?


 あのさ。『アルフヘイムに初めて入ったよ!』じゃないのよ。もう少し……こう……もっと驚いたっていいじゃないか?

 それにさ……普通は入れないんだよ。だって、僕たちは冒険者じゃない。ダンジョンに正規で入ることは不可能なの。君の反応はいくらなんでも楽観的すぎやしないかい?


 もう一度言うよ? もっと驚いてもいいんじゃないの??


 まぁ、別に驚いてももらいたいわけじゃないんだけどさ。


 なんか……こう……この、意識下に残る遣る瀬なさはなんなんだろう。調子狂うな。


 とりあえず、わしゃわしゃしたろ。



「きゃあ! 何、くすぐった〜い♪」



 と、まぁ〜ここまで来れた経緯はそんなところだ。



 だが、来たのはいいのだが……ここで1つ——疑問に思うことがあるだろう。



 冒険譚の知識を活用してこっそりチュートリアルダンジョンへと侵入。その目的はダンジョン産の素材の転売なのだが……奇しくも、これは僕の本日の目的と一致しているんだ。


 でだ……果たして、そんなことをしていいのだろうか?


 答え——たぶん、あまり良くはないと思う。


 この世の人類が、一体どこまでチュートリアルダンジョンを攻略しているか分からないんだけど……僕の予想が正しければだ。


 ここチュートリアルダンジョン第69階層——まで足を踏み入れた者はいないと思うんだよね。


 それで、高階層の素材なんてものは貴重も貴重で、下手をすると市場に出回ってない可能性が高い。そんな物を一端の学生が『はじめてのだんじょんしけん』で、拾ってくるわけにはいかないだろう。


 だから、あまり良くはないと——僕は思っているんだよ。


 そう……“あまり”ね。

 


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