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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第2章 ダンジョン試験 頼れる相棒は素っ頓狂な犬 救うは囚われ令嬢
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第45話 迷宮を抜けた先もまた迷宮

 僕とヴェルテはゲートを潜る。すると眩い光に包まれると、次の瞬間には違う部屋にいた。とは言ってもほぼ同じ部屋だ。

 さっきまでと形状はまったく同じ。ただ、明確な違いはゲート以外出口がどこにもない点だろう。



「……え? 行き止まり?」



 ヴェルテもこれには不満を吐露した。


 だが、まぁ〜待ってくれ……



「少し待ってろ。確か、ここの壁に……あった!」



 僕はゲートを出て真っ直ぐ直進。壁に当たると手探りでそこを調べる。

 この部屋の光源は、ゲート自体が輝きを放っているので完全な暗闇ではなかったが、それでも若干薄暗い。自分の身体で影を作らないように念入りに壁を調べる。


 すると——一点、少し材質の違う菱形の石ブロックに触れた。



「さてと、神器……」



 僕は自身の神器を取り出し、刃を菱形ブロックに押し当てた。


 すると……



「——ッえ!? 壁が! 勝手に開いた!!」



 ヴェルテが驚く。彼女が口にした通り、菱形ブロックの周辺が押し扉が開くかのような挙動で、ゴゴゴ——っと轟音と共に開く。重い石壁がだ。この時、どんな力が石壁に働いてたかなんて、そんなのは一切理解できない。だが今、最も重要なのはそこではない。


 それは、その先にある……


 開かれた扉を潜れば——次の瞬間、洞窟壁が青光りする不思議な雰囲気の中にいた。



「——え!? なにこれ!!」



 ヴェルテは突然飛び込んできた広大な光景に声を張り上げた。重ね重ね——彼女は驚愕を積んだ。



 ゴゴゴゴゴ——!!



 彼女と僕、2人の人物が部屋からの退出を確認するかのように、扉の役割を全うした石壁は、音を立てて元の壁に戻っていった。振り返ってみると、そこには洞窟壁の一部が人工的を彷彿とさせる石のブロックでできており、そこだけが特殊な場所だと主張するかのように周りからの差別化を図ってる。

 そして、その中心には同じく菱形のブロックがある。

 扉は閉じてしまったが、帰りは同じように神器をあのブロックに押し当てれば、再び扉は開く。なんの問題もない。

 でだ……今居る場所は少し高い場所だった。ヴェルテは輝く瞳全開でキョロキョロしてるし……彼女の態度が語ってるとおり、周囲を一望できる感じだ。

 それで目の前に広がっていたのは洞窟内部の風景だ。簡単に言ってしまえばね。

 ただそれもすごく広大。天井なんて天高く。あれは一体何キロ先なんだってほど……それに辺りには青白い光の球が浮いている。謎現象。洞窟の壁も仄かな輝きをもっていたため、おかげで光源は確保でき明るくて助かる。



「ねぇ〜ねぇ〜ここなんなの!? どこなの!!」



 辺りを一望してたヴェルテが戻ってくる。興奮冷めやまない様子で獣耳ピコピコ——目は爛々と輝いていた。



「あまりウロチョロするなよ。危ないから!」

「あぁ〜ん! それは気をつけるから!! ここがなんなのか教えてよ!!」



 ただその様子はとても危険だ。こんなテンションマックス犬を放置しては何をしでかしてくれるか分かったもんじゃない。

 ここは、大人しくさせる意味も込めて、彼女の質問には答えてやろう。おそらく、彼女の興奮は好奇心からくるモノだろうから。知識欲を満たせてやればちょっとは落ち着くだろう。



「さっきも言っただろう? 光の迷宮アルフヘイムだって」

「でもでも!! ここ、すぅ〜〜〜〜ごく広いけど、塔の中なの!!」

「そうだよ。ここは魔力によって塔内部の空間は膨大に広がってるの」

「……へぇ〜〜〜〜??」



 うん。この「へぇ〜」の感じはまったく分かってないな。ただ、僕も詳しくないんだけどね。空間拡大——ダンジョンとはまったくもって未知な場所だよ。

 僕の知識なんて……単なる英雄譚の受け売りなんだ。理解できないのも仕方がないの。


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