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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第1章 突然知る驚愕事実 僕の胸には野望が芽生えるも 邪魔をするのはアグレッシブ令嬢
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第33話 お迎えにあがりました ご主人様

 結局、校舎裏で遭遇したオヤジには押し切られてしまった。



 翌日——



 アイリスは一般科の教室に押しかけて来た。クソど真面目に『奴隷』をやりに……

 こういうところは父親譲りかよ——と、僕は呆れてそう感じた。

 僕は知らなかったけど……彼女、巷では有名な令嬢のようだね。まぁ、そりゃそうか。凛として美麗な顔立ち、物静かで所作まで美しい完璧令嬢。そして授業では目の前でド派手演出の抜刀術を見せるぐらいだから、常日頃から目立って仕方がないのさ。興味をそそられる最も重要な人物ではあるのだろう。僕からしたらそそられる要素ゼロだけどね〜〜あんな中身ヒステリック。


 関わるなんて、こっちから願い下げだ。


 で……



「おい、なんだよアレ……」

「嘘だろ。なんで彼女が一般科に?」

「あれってウィリア君だったわよね? 彼になんのようなの?」

「一体何があったのよ!?」



 いきなり一般科の教室に現れたことで、民草ピーポー諸君はドヨドヨし始めた。この教室に貴族が来ることなんてありえないのに、あの巷で有名完璧公爵令嬢が現れれば、そりゃ〜騒ぎになるともさ。鬱陶しいほどにね。


 僕の大ッ嫌いな現象だよ。


 それにさ〜〜開口1番——



「おはようございます。ご主人様。本日から、ご主人様の奴隷として精一杯精進させていただきます。このアイリスに何なりとご命令くださいませ」



 これだもん。


 え? なに?? 僕に恨みでもあるの、この子????



「「「「——ッッッ!? えぇえええええええ!!!!」」」」



 もう教室中さ。阿鼻叫喚のドンチャカ大騒ぎで、驚いてるんだか、絶叫してるんだか……もう訳ワカメ〜〜なマジでオーシャンなわけよ。


 正直……僕自身、思考が追いついてない。自分で考えておいてなんだけど……『マジでオーシャン』て、どういう意味?



 もう、誰か助けてください。



「あのぉ〜〜アイリスさん?」


「アイリスと、呼び捨てで結構ですご主人様。私に敬称は無用です。奴隷ですので」



 あのさぁ〜〜いじけてるのかな? 家を勘当されたことや、今の状況は同情するけどもさ。元はといえば、君が原因なわけでですよ?

 それに……『ご主人様』って敬ってるくせに眼光は暗殺ナイフの様に鋭敏ですけど……なんか肌にチクチクぶっ刺さってるみたいに錯覚するんだよ。やっぱり怒ってらっしゃる?? 勘弁してくれよ。



「…………」

「…………」



 で、その矛盾する暗殺ナイフが居た堪れなくて、視線を逸らしてみると、無言で冷や汗タラタラな、ノートン君にミミルちゃんがたまたま視界に映った。試しに『ヘルプミー!!』ってアイコンタクトを送ってみたけど、『巻き込むんじゃねぇ! 1人で◯ねや!!』って吐き捨てるかの様に、プイッて……そう、プイッ——て!! 視線逸らしやがった!!


 こ〜〜んのぉ〜〜薄情者メェええ!!!!


 お前らも当事者だろうがぁああ!! 

 嫌がる僕を無理やり決闘の場まで連れてったくせに——いざ、決闘で貴族を負かして奴隷にしたら拒絶ですか!? 

 あぁ〜〜そうですか!! 嗚呼〜〜そうですか!!!!

 もう、お前らなんか友達じゃないやい!! 絶交だ!! 



「ご主人様。いかがしましたか? 体調がすぐれないようでしたら、救護室へと向かいましょうか?」

「いや……いいよ。そんなこと……」

「左様ですか」



 まさに針の筵。いや、後悔処刑。


 そうか……みんな、僕に死んで欲しいのかな? そうなのかな?? あれれ〜〜おかしいいな? 目から汗が……


 って——こんな冗談劇場はどうだっていいのだよ。さて、この最悪なムードどうしてくれよう。


 と僕が考えを巡らせた。その矢先——



「はい。皆さん。おはようございます。では、ホームルームをはじめ……」


 

 担任が教室に入って来てしまった。



「あら? あなたは……アイリスさん?? なぜ、一般科の教室に??」



 当然、彼女はアイリスに気づいた。皆が席に座る中、唯一僕の後ろに控える様に突っ立ってるんだもん。バカでも気づくさ。



「私は、本日より、こちらのウィリア様の奴隷となりました。ですので、お気になさらず、ホームルームを進めてください」


「…………はい??」



 そこで、教師の率直な質問にこの返し……そうしたら頭に疑問符が浮かんでた。

 意味なんて理解できないよね。そんなの、この場の全員そうだよ。僕含めてさ。









 



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