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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第1章 突然知る驚愕事実 僕の胸には野望が芽生えるも 邪魔をするのはアグレッシブ令嬢
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第30話 こんなのあんまりだぁあ!!

  で、結局——



「それでは、ウィリア様——この度は、寛容な申し出をありがとうございます。一体、この件をストライド家に持ち帰って判断させていただきます」



 仕方がないのでアイリス嬢は侍女のティスリさんに連れ帰ってもらった。このまま奴隷の様についてこられても困るからね。

 この時のアイリス嬢だが、俯いてダンジョンの床の石畳を見つめ続けていた。憔悴しているのか、ティスリさんに肩を支えられてもらって、立っているのもやっとの様子だった。相当『負け』が堪えているのだろう。ごめんね。勝つつもりはなかったんだよ。許してくれ。



「お嬢様大丈夫ですか?」

「なんでしょう。私は一介の奴隷です。大丈夫だなんて心配される筋合いはありません」

「……ッ!? まったく、そうやっていじけられて……すいません。皆様方。私はお嬢様を連れ帰って休ませますので、この辺で失礼します。ウィリア様、そしてご学友のお二人も、本日はご迷惑おかけしましたことをストライド公爵家を代表しまして謝罪させていただきます。それでは……」



 最後に、ティスリさんは大きく頭を下げると、お嬢様を引っ張って、ダンジョンクリア時に発生する入り口へのワープの奔流に消えていった。


 まぁ、あとは当人たちが勝手に処理してくれることだろう。



「本当に疲れた。さて、か〜えろ♪」

「お前、よくそんなケロッとしてられるよな?」

「信じられません。まさかアイリス様に勝ってしまわれるなんて」



 これで一件落着。だけどノートン君とミミルちゃんは呆れた表情だ。

 


「あの……このこと、間違っても言いふらさないでね2人とも。面倒くさいから」

「言える訳ねぇーだろうが! 馬鹿!」

「そうですね。そもそも、言ったところで信用されませんし、不敬罪に問われてしまいますよ」



 ならいいんだ。このことが公にならなきゃね。

 どうせ次の日には元通りになってるはずさ。何気ない日常で、アイリス嬢も今日のことはなかったかのように貴族科の授業に戻ることだろう。だったら僕も今日のことは忘れて……いや、寧ろ反省するべきか? 僕は、平々凡々がモットーなのだから、『貴族と決闘』挙句に『貴族に勝っちゃった』なんて、日常を木っ端微塵斬りに切り刻んでしまう様なことは今後あってはいけないんだ。


 もっとジミ〜ちゃんに磨きをかけなくては……


 まぁ、済んだことは仕方がない。


 今日はとりあえず帰ってゆっくり休もう。






 そして……





 寮に帰る道中——



「もし、そこの君。ちょっといいかね?」


「……え?」



 僕は1人の人物に声を掛けられる。









——翌日——



「おい、なんだよアレ……」

「嘘だろ。なんで彼女が一般科に?」

「あれってウィリア君だったわよね? 彼になんの用なの?」

「一体何があったのよ!?」



 ホームルーム前の一般科の教室。

 とんでもないことが僕に舞い込んだ。



「おはようございます。ご主人様。本日から、ご主人様の奴隷として精一杯精進させていただきます。このアイリスに何なりとご命令くださいませ」


「…………う、嘘だ」



 僕はまさかの事実に頭を抱えテーブルに突っ伏す。それも全て、僕の隣でかしこまって突っ立った1人の令嬢が原因だ。



「「「「「——ッ!?」」」」」



 それも、ヤバい発言を教室一杯に聞こえるほど高々と言い放つこの姿勢。

 おかげで教室中がドヨメキ出したよ。マジ勘弁してくれ。

 もはや、潔いのではない。これは、負けた腹いせなのかと僕は凄く憤りを感じている。



「「…………」」



 なんかノートン君とミミルちゃんに視線を送ってみたが「僕(私)関係ないモン!」と言いたいように瞬間で顔を逸らしやがった。

 ふざけんな! おい!! テメェ〜〜らも事情を知ってる当事者だろうが! こっち見ろ! 哀れな僕を助けてくれぇぇええ!!



「ご主人様。いかがしましたか? 体調がすぐれないようでしたら、救護室へと向かいましょうか?」

「いや……いいよ。そんなこと……」

「左様ですか」



 まさに針の筵。いや、後悔処刑。


 まさか……アイリス嬢が有言実行とバリに奴隷をやりに来るなんて……誰が想像できんだよ。


 ——チクショぉおお!!


 



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