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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第1章 突然知る驚愕事実 僕の胸には野望が芽生えるも 邪魔をするのはアグレッシブ令嬢
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第14話 水も滴る良いクソガキ

——ザバァアア!!——



「…………」



 何故か、僕は同級生から水をぶっかけられている。



「——オイ! 貴様! 調子に乗るモンじゃないぞ田舎者がぁあ!!」



 と、罵声もぶっかけられている。


 大盤振る舞いだな。


 授業1日目で……なんで、こうなった??

 


 


 冒険科の授業初日——


 皆がオリエンテーションと題して魔法を披露する中、僕はあろうことか的である鎧を破壊してしまった。それは、授業に参加した全ての生徒の注目を浴びる結果となった。その中でも貴族であり宮廷魔術師長を父に持つ……


 えっと、名前なんて言ったかな? 


 う〜〜ん? 


 ()()()()()……だったっけ?


 確か、最初にウォータースプラッシュを披露してくれた授業参加者の1人だ。

 でだ、僕は彼から授業終わりに呼び出されていた。

 数人の貴族科連中を引き連れ校舎裏で囲まれると……



——ザバァアア!!——



 いきなり僕に大量の水が降りしきってビショビショになる。

 ナメクジ君が腕を振った直後だ。おそらく彼の魔力による所業なのだろう。



「くくく……いい気味ですね。服がずぶ濡れでしみったれた田舎者にはお似合いの姿です」

「アルフレッド様より授業で目立とうとするなんて……罪深いことを。披露してくださった水魔法『ウォーターランス』より悪目立ちするとはあってはならないことだ」

「一般科の分際でよくやるよ。鎧にはどんな小細工を? 汚い手を使ってまで目立ちたかったのか?」


 

 と、水も滴る良いクソガキに対して取り巻きが勝手なことを言う。


 てか、そうだ。名前。アルフレッドだっけ。ナメクジ君じゃなかったか? 


 それに『ウォーターランス』? コップの水をぶっかける『ウォータースプラッシュ』って絶技を披露してたんじゃなかったっけ?


 どうでもいいことすぎて、すっかり忘れていたよ。



「——オイ! 貴様! 調子に乗るモンじゃないぞ田舎者がぁあ!!」



 僕が沈黙で居ると——ついにナメクジ君改めアルフレッド君が口を開いた。


 それにしても……『調子に乗るな』って……? どういうことだ?


 ——ッ!? ああ、そうか。やっとわかったよ!


 僕は、なんで呼ばれて、なんでずぶ濡れにされているのかよくわからなかったんだよね。

 きっと、これはアレだ。右も左もわからない田舎者である僕を鼓舞してくれてるんだな。

 田舎じゃ、水は貴重だっていうのに……川に汲みに行ったり、井戸に汲みに行ったり〜〜それはもう、大変な思いをする水だよ。それを、こんなに大盤振る舞いで水浴びさせてくれるんだもん。アルフレッド……お前意外と良い奴なんだな。

 ここ2、3日暑い日が続いてるし、水浴びするのは気持ち良いよね?



「一般科の者が、あまり調子に乗るもんじゃない。貴族を讃え、敬うべき存在である僕より授業で目立つとは……なんたることか」



 ですよね〜目立ってましたよね。僕としても恥ずかしい限りさ。ジミーちゃんを志す者としてアレはいただけなかった。

 さすがは貴族様——忠告、痛み入るよ。

 僕のダメな部分を指摘し、こうして数人がかりで鼓舞してくれるとは——まさかと思うが、田舎出身、しみったれ代表の僕如きに多数無勢で集団リンチするのが都会の貴族様な訳ないだろうし。



「申し訳ありませんでした。ナメク……じゃなくて、アルフレッド様——鎧を壊す気は微塵もなかったんです」


「白じらい——では、何故あのタイミングで鎧が壊れる」


「直前のアルフレッド様、アイリス様の魔法が鎧にダメージを蓄積してたのでしょう。僕如きの魔法では、壊れるはずありませんから」



 壊したことを誇らしく思うのなら、その功績をお貴族様の手柄に据え置いてやろう。これで満足か?

 アルフレッド君の名前はともかくとして、あの純白令嬢の名前は覚えていた。先ほどの授業では、なかなかにして良いものを見せてもらったからな。


 あ?! 中の話ではないぞ! 彼女の火炎の一太刀の話だからね!?


 僕は別に変態さんじゃないからな。僕は紳士だ。アレは事故でたまたま見えてしまっただけで……そもそも、あのなりで激しい一閃を繰り出したのがいけない。それは、彼女にも非があるはずだ。うん。それに別にいいじゃないか。減るもんじゃないし。



「ふむ——一理あるな」



 おっと、それはそうとアルフレッド君は、僕の口から出たデマかせ……ッゲフン! 貴族をヨイショする発言に納得してくれたようだぞ。

 


「だが、たまたまとは言え、この俺より目立ってしまったんだ。ここは少し、身体に教訓を刻む必要がありそうかな」


 

 あら〜〜拳で喝を入れるタイプですか。都会の貴族様は随分熱血でアグレッシブなんだな。

 残念ながら、僕は論理的思考派なんだよな。痛いのはちょっとやだぞ。


 さて、どうしたものか?


 と——少し辺りをキョロキョロする。すると……あらあら、見物人達が集まって来てらっしゃる。

 生徒の一部が「何アレ?!」ていった様相で傍観を決め込んでいるぞ。ちょっと助けては……くれないだろうな。お貴族様の熱血指導に意を唱える一般人なんてどこにいるのだろか?


 って……ん? アレは……







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