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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第3章 ダンジョン攻略は思いがけない出来事の連続
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第133話 変態だぁあ!?

「グギャオ〜!(やられたよ〜!)」



〜〜レベルが上がりました〜〜


 Lv.3>Level up!>Lv.4





「ウギャ〜!(うわぁ〜!)」



〜〜レベルが上がりました〜〜


 Lv.4>Level up!>Lv.5





「ぐっへっへっへ〜〜! 力が、力がみなぎってくるぜ〜〜ッッッ!!」


「「「「——ゴブゴブゥウ!!(変態だぁあ!!)」」」」



 僕のレイピアが1匹、また1匹とゴブリンを仕留めていく——と同時に僕の身体は暖かい何かが包み込み、胸の奥底から力が湧いてくる。

 こんなに興奮したのは冒険譚に夢中だった幼少期以来だ。いや、それ以上か? これほどの高揚感——僕は今まで感じたことがない。

 これはレベルが上がっている確たる証拠——実際、ステータスは確認してはいないが、この胸の内に感じるオーラは「レベルが上がりましたよ〜!!」と囁いているかのようだ。


 ぐっへっへ〜〜もう笑いが止まらない! じゅるり!!


 おっとヨダレがぁ……


 林中を僕は笑いながらゴブリンを仕留めていく。始めは僕の存在に気づこうものなら、すかさず攻撃を繰り出していたゴブリンも、僕の高笑いを聞いた途端逃げ出して行くようになった。


 だが……君たちの鈍足な逃げ足じゃ〜〜僕からは逃れられないよ。


 奴らは仲間で纏って逃げて行くモノだから狙いは定め易い。群れである弊害だな。蜘蛛の子散らすようにばらばらに逃げられる方が厄介だが、面白いように理想的な逃げ方をしてくれる。



「——投擲! からのぉ〜〜虚影!!」



 僕は、逃げて行くゴブリン目掛けてレイピアを投げつける。やがて群れの中心にレイピアが突き刺さり着弾するタイミングで魔技【影移動】を発動する。瞬間的に群れのど真ん中に黒い外套の男——こと僕 (ウィリア)が現れる。



「「「「——ッ!!??」」」」



 僕にはゴブリンの表情なんてわからないけど、奴らは明らかに身体をビクつかせ、突然登場する僕に驚愕しているようだ。実に良い反応だこと〜。

 そして……僕は投擲したレイピアを地面から引き抜くと、腕を広げて回転。両手のレイピアで周囲のゴブリンを弾き飛ばすように切り伏せる。



「だが、まだ終わりじゃない!」



 片方のレイピアを宙にリリースした。だが決して投げ捨てたわけではない。僕のレイピアは柄同士に繋がった糸が張り巡っている。糸を頼りに遠心力にモノを言わせてレイピアを振り回すことで中距離にいたゴブリンをも切り伏せたのだ。

 糸は伸縮自在——意外と自由と攻撃範囲の広い攻撃方法なのだ。



「——ラスト! 終わり!!」

「——グギャ!?」


 

 ラスト——離れた位置にいたゴブリン目掛けてレイピアを撃ち落とす。遠心力で振り回したレイピアは勢いそのままに叩き落したんだ。ゴブリンの身体を押しつぶし、地面にめり込んで沈めた。



「……ま。こんなところか?」



 周辺のゴブリンは大方仕留めきった。途中から数えるのを忘れたが数十匹のゴブリンを仕留めた。





〜〜レベルが上がりました〜〜


 Lv.5>Level up!>Lv.6





 僕の胸の内はポカポカと暖かい。これだとレベルにも期待はできるか? さて、どれだけレベルが上がったか楽しみだ。


 ちなみに……


 ゴブリン一掃いっそうには2本のレイピアを使用した。ポッピーの影に刺してあったレイピアも僕自信の手元に戻って来ていた。

 距離が開いたことでレイピアに対する効力が落ちてしまう。すると自動的に手元に戻ってくるんだ。今頃、彼女はすっかり動けるようになってることだろう。僕だって鬼じゃないから、頃合いで解放してあげるともさ。


 ——キャッチアンドリリース!


 と、それにしても……



「そういえば……ここはどこだぁあ? 僕は一体どこまで来てしまったかな?」



 今いる位置がよくわからんのだよ。


 ゴブリンを狩るのに夢中で、気配がする方〜する方〜と移動してきたから……まったく現在の所在地がわからない。確かゲートも何回か潜った気もする。

 階層を進めば魔物のレベルも上がる。レベルってのは自分よりも強い魔物と戦った方が上がりやすいんだ。当然、僕はそれを知っていたし、誘われるようにゲートを潜ったのも悪手だった。


 よって道に迷ったと……やっちまったぜ!

 

 反省〜反省〜テヘッ♪


 さてと……落ち込んだって仕方ない。まずは手頃なゲートを探そうか。


 脱出はそれから……っと考えていると……



「……ん? なんだ? なんでここに子供が??」



 近くの薮が、ガサゴソと気配がする。

 そちらに視線を移せばゴブリン……ではなくて人がいた。

 中年の男だ。背には槍を背負っていることと服装から察するにおそらく冒険者だろうな。

 これはちょうどいい。



「すまないが……ここはダンジョンのどの辺りか分かるか?」

「——ッん? 冒険者か? 道にでも迷ったか?」

「そんなところだ。狩りに夢中になっていたら、位置を見失ってしまってな」



 ここは先駆者に道を聞いてしまおう。

 別に恥じることはない。『聞くは一時の恥。聞かぬは一生の恥』の精神でズケズケと道を聞いてやる。

 さっさと帰れるなら、矜持なんてどうでもいいんだ。だって面倒くさいことは大っきらいなんだもん。


 羞恥などスライムにでも食わせてしまえ!


 ちなみに口調は砕けたモノを意識している。今は『人畜無害クソガキ』ではなくて『漆黒外套を纏った冒険者』でいないといけない。それも低身長でも子供とも思われないようにハスキーボイスで強気な感じをイメージしている。

 もし冒険者でもないただの学生だとバレたら連れ戻される可能性だってあるからさ。せめてもの抵抗だ。



「あんた冒険者になりたてなのか? はは……分かるよ! レベル上げに夢中で道を見失う。俺も昔経験したさ」

「恥ずかしい限りさ。教訓として肝に銘じるよ」

「それがいい。それに素直に道を聞くのは正解さ。冒険者は助け合わなくちゃな」



 ただしっかり反省はしてるからね? いささかレベルが上がった事実に興奮しすぎてた。クソガキ特有の悪いクセが出てしまったな。


 運良く気さくな冒険者と出会えてよかった。ほんとうに痛み入るよ。









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