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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第3章 ダンジョン攻略は思いがけない出来事の連続
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第109話 一方その頃 別の試験会場では?

「いや〜〜アイリス! 先日の一件は大変だったね。無事に君に会えて嬉しいよ!」

「……えぇ。あ、ありがとう……」



 さて、わたくしこと【アイリス】は再試験の日を迎えた。


 学園の窓から冒険者の装いで門を出ていくウィルとヴェルテをたまたま見つけて……『あぁ〜先を越されたなぁ〜』『私も頑張らないと〜!』と自信の気を奮い立たせたのは今朝のお話——学園の廊下を歩き、やがてたどりついたのは大きなゲートのある地下施設。そこで、受けることのできなかった試験に臨む。


 はずなんだけど……


 試験内容はどうもツーマンセルのダンジョンでの素材採取。学園地下にある特殊ダンジョン【夢想】に入って、素材を持ち帰ってくる。これだけのことよ。

 あとは、各素材に割り振られたポイントの合計が点数となるの。

 

 至ってシンプルだけど、ダンジョン知識と時間配分を考慮しなければ、高点数を出す事ができない難題でもある。


 試験結果が張り出されてたけど……その成績1位だったのは、まさかのウィリアandヴェルテの2人。それも……笑っちゃいそうなぐらい、点数はおかしな数字を叩き出していた。

 50点合格の試験でどうやれば6000点なんて数字出せるのよ。馬鹿なんじゃないの? この学園も……ウィル達も……


 だけど……その秘密は、おおよそ検討はついてるんだけど……


 素材一覧の冊子に目を通した。


 そこには……



『青魔法石500g 1500ポイント』



 との表記があった。


 おそらくウィルはこれに目をつけたんだと思う。

 青魔法石——発見も採取も難しい鉱石……見つかる事はまずなく、たとえ見つかったとしても硬すぎて採取は困難。


 じゃあ、ウィルはどうやってこれを採取したの?


 だけど……それもおそらくは……


 ウィルは授業で、青魔法石でできた鎧を影の魔力球で破壊していた。つまり、彼は魔法で鉱石を溶かして採取したの。これぐらいしか考えられない。


 これについて……試しに彼に探りを入れてみたけど……はぐらかされた。

 ちょうど居合わせたヴェルテにも聞いてみたけれど……口を塞いで可愛らしい抵抗を見せている。

 まだ、何か秘密はありそうだけど……これ以上執拗に聞くのは機嫌を損ねるだけと思って、その時はそこから問い詰めるまではしなかった。

 私はただ『彼らは秘密を隠している』という事実だけを知っただけ。

 でもどうせ、私が青魔法石を見つけたとしても、採取は難しい。狙うとしたら現実的ではないのも事実よ。

 なら、別の方法で高点数を狙わないとね。


 それで、いざ試験当日——約束の場所を訪れると……



「——ぉお!! アイリス!!」

「——ッげ!?」



 そこには教師の姿と……もう1人……とある男の姿が……



「今日の俺のパートナーは君か! あぁ〜何と喜ばしいことか! とても光栄だよ!」

「嘘……でしょう……」



 アルフレッドがそこで待っていたのよ。


 よりによって何でコイツがぁ……?!



「俺も先日の試験は受けれずじまいだったんだよ」

「彼は、アイリスさん……行方不明のあなたを探して奔走してたそうです。よって試験当日はあなたと一緒で欠席でした。試験を受けていなかったのはお二方だけですから……よって今日のペアは必然的にアルフレッドさん、アイリスさんで組んでもらう事になります」


「……そ、そうですかぁ」



 

 教師から驚愕の事実を聞かされる。


 ……え? ナニ? 私を探してた!? どういうこと?? え? ストーカー!?


 助けてだなんて頼んだ覚えはないんだけど、一体どういうことよぉお!!??



「あの時は、君が攫われてしまったと聞いてね。居ても立ってもいられなかったんだ。気づけば身体が動いて街中へ駆け出していたんだよ」

「は、はぁ……」

「俺が見つけてあげれなかったもどかしさはあれど、ともあれ君が無事で再びこうして会えた喜びを噛み締めたい。あぁ〜〜女神様に感謝を〜〜」

「う、う〜〜ん……」



 な、ナニ、この生き物は……!?


 身振り手振りを大袈裟に、まるで喜劇を演じる役者かのように飛び跳ねている彼だけれど、これにすごく嫌悪感を抱いているのは……私だけ? まだ、ナメクジとかの方が可愛げあるわよ!?



「君の事が心配だった。無事に今日こうして会えたことが嬉しいよ」

「……ッ!? あ、ありがとう……」



 うん……でも、こんな男でも私を心配してくれてたことは事実みたいね。

 相変わらず視線は気持ち悪いのだけれど……言葉は私に向けたものばかり。

 必死に私のことを探していたらしいし、ここはお礼ぐらいは口にしておいた方がいいわよね?


 て……



「ん〜〜ッチュ!」

「——ッッッ!!??」



 突然、アルフレッドは片膝をついて私の手の甲に口付けを——!!??


 私の身体に悪寒が走り、身体が震え上がる!!!!



「おや? 嬉しさのあまり……言葉を失っちゃったのかな? 子猫ちゃん♪」



 ——き、き、気持ち悪い!!??


 ——た、た、た、た、た、助けてティスリ〜〜〜〜!!!!!!
















 同時刻——とある公爵家。屋敷。



「——ッハ!?」

「……? ティスリ。突然どうした」

「お嬢様が私に助けを求めている予感が!? 旦那様——今すぐお嬢様の元に行かせてください!!」

「馬鹿を言うな……仕事をしろ」

「——むぐぅ……そんなぁ……」

 





 アイリスの難儀な1日の幕開け。

 

 




 


 




 

 

 



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