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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第3章 ダンジョン攻略は思いがけない出来事の連続
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第107話 進むはダンジョン2階層 語るはダンジョン豆知識

「ところでさ〜〜ウィル〜〜?」

「——どうしたヴェルテ?」

「私たち、全然薬草とか引っこ抜いてないけどいいの?」



 おぉ……意外だね。まさかヴェルテがそのことを忘れていなかったとは——これは驚くべき進歩か?!

 

 何とか彼女に追いついて捕まえることに成功した僕だったが……その後は、そこそこの速度でダンジョン2階層を目指した。

 もちろん先頭は僕だ。ヴェルテに先行させるとテンションMAXで飛んで行ってしまうからで、彼女の行き着く先には『2階層』の文字が存在してないからだ。


 しかし……


 駆ける2人。突然僕の背後からヴェルテが疑問をぶつけてきた。

 もうコレに僕はビックリよ。


 てっきり目的も忘れて草原を駆けるのに夢中だったと思いこんでいたが……まさか試験内容を忘れてなかったとはな。


 僕は少し彼女をみくびりすぎてたのかな? あまりヴェルテを下に見る事は失礼なのかもしれないね。



「大丈夫だヴェルテ。薬草は僕がちゃんと集めてるよ」

「……え!? いつの間に——!」

「ほら……前にも見せたでしょう? 僕の影に落としているんだよ」

「影…………ッハ!? 亀さんの時!!」

「そう。だから、僕たちが向かうべきなのはラビットブランの出没頻度が高い2階層さ」



 今、僕らが駆けている1階層だが、周辺に広がるのは果てしなく続く草原だ。

 いや、正確には『果て』はあるんだけど……遠くを見渡せば天高く伸びる石壁があった。これはダンジョンの外壁である。現実だと思えない室内なんだけど、外壁アレを見させられると、ちゃんと建物の中なんだな〜〜って実感するよ。

 でだ——僕が『果てしない』と表現したのも、無辺際な草原地帯の広大さを表現する意味でそう語った。そこは、一辺倒の草原かと思えば、まばらに木々も生えていたり、ちょっとした薮なんかも存在する。

 これが2階層に行くに連れて基本地形は変わりないのだが木々の量が増え始める。

 薬草なんかを探すなら、見渡すにちょうどいい1階層がオススメだが……ラビットブランのような臆病な魔物は2階層の木々が増えたエリアの方が出現率が増えるんだ。

 だから、僕らは足早に2階層を目指すことにした。

 今頃、他の奴らは薬草を引っこ抜くのに必死なことだろう。

 素材採取はスタイリッシュでないと……走りながら影に落とすぐらいできないとね。こんなの冒険者の必須能力だよね。

 ま、神器所持者である僕しかできないんだけど。



「……ッお。見えてきた。ヴェルテあそこ!」

「——ッ!? あれって、ゲート?」

「そう。あそこが2階層への入り口だよ」



 しばらく草原を走っていると……野に相応しくないオブジェが姿を現す。

 草原の中央にドンッと出現するそれは、己の存在を見せびらかすように主張が激しい石のアーチ……そう、ゲートである。学園にある『夢想』『夢境』……それにチュートリアルダンジョン69階層に抜ける隠し通路で見たそれとまったく同じものだ。



「ここって、ゲートを潜ると次の階層に行けるの? どの階層も同じ?」

「うん、そうだよ。まぁ、隣接する階層がくっついてる場所もあるんだけど、特殊な場合をのぞいてはゲートでの移動だな」

「ふ〜〜ん」



 ゲートの前に着くと興味深々のヴェルテから質問が投げかけられる。僕は、そんな彼女に簡単なレクチャーをしてあげた。



「5階層には、階層を真っ二つに分ける谷があって……その谷の間に冒険者協会の駐屯所があるらしい。で、冒険者じゃない奴はその奥には通してくれない。その手前までが仮冒険者の行動範囲だな。あとは10階層毎に大きな門があって……その奥はボス部屋だ。強敵を倒さないと次の階層に入る資格は手に入らないんだ」

「へぇ〜〜ボスってどんな奴なんだろう? 強いの?」

「大した事はないさ。階層の数はそのまま推奨レベルと同じだよ。10階層のボスなら、レベル10の集団で余裕で倒せる感じ。ヴェルテ1人でも、攻略法を頭に入れていれば普通に倒せるよ。何たってレベル15なんだからさ」

「本当!? あっは〜〜♪ 私、強〜〜い!」

「……って言っても攻略法を頭に入れてだからな?! ただ闇雲に突っ込めば良いって訳じゃねぇ〜ぞ!」



 このダンジョンは100階構成のダンジョンだ。10階層毎にはボスが居て、それを倒すと奥に進む資格が得られる。そして、階層とは、そのまま攻略に適した推奨レベルと比例する。それはヴェルテに語ってやった通りだ。

 コレは冒険譚の受け売りだが、かといってレベルが同じだからと言って「余裕」で攻略可能か……と言われるとそうでもないんだけど……。

 階層には、それぞれテーマがあって、僕たちがいるここ……1〜10階は【草原】。コレは周囲に広がる光景を目にすると分かる事だが、ボスというのもこれに準じた魔物が出現し、攻略法を頭に入れておくことが重要なんだ。例えば、水が得意な魔物に対して水魔法ナメクジビームで対抗しようとしたって無駄だろ? 

 この場合は、水を凍らせた斬撃か打撃……もしくは仲間の力に頼る方法が推奨されるわけで、だから“攻略法”を頭に叩き込む事が重要なんだよ。

 ま、あとはあまりオススメしないけど、圧倒的高レベルまで上げて木っ端微塵にするって方法もあるけど……これは、そこまでのレベリングと消費時間を考えると愚行だと僕は思っている。

 攻略法を頭に入れて、奥の階層に進んだ方がレベリングは捗るからね。実力をつけるなら、そっちの方が効率がいいんだ。


 そして、もう一つ……考えられる方法は……


 これは、世の中の冒険者が推奨してる攻略法——『圧倒的な数の暴力で押しつぶす』だ。

 


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