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僕だけは知っている〜〜そこがチュートリアルダンジョンである事実を〜〜  作者: バゑサミコ酢
第3章 ダンジョン攻略は思いがけない出来事の連続
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第99話 試験内容発表

「みんなには実際ダンジョンに入ってもらい魔物の討伐と素材採取をしてもらう」



 それで、肝心の試験だが……なるほど、指定された魔物の討伐と素材採取——実践を元にした内容のようだ。実に良いな〜それ——初めてのチュートリアルダンジョン攻略には充実したデモンストレーションになりそうだ。



「ではノルマを発表する。“ラビットブラン3頭の討伐”、それと“上薬草10株を1束とし、3束の採取”。これを成した者を試験合格とする。みんな頑張ってくれ!」



 ほう? それはまた随分とヌルい試験だな。


 ラビットブランとは……小さな角の生えたウサギの魔物である。素早い魔物であるが、比較的温厚で滅多に攻撃してくることがない。おそらく、素早く逃げる魔物をいかにして捕まえるのかを判断する試験なんだろうけど、僕にとってはウサギなんてノロマな生き物……身体能力全開で一瞬にして捕まえられる。スライム君と戯れるのと大差ないぐらい簡単なことさ。

 

 そして、上薬草とは、成熟した薬草のことだ。

 ちゃ〜んと、育った薬草を見極める能力があることも、冒険者の必須技能。理にかなった試験内容だが、僕にかかれば薬草を片っ端から影の中に押し込んで後で選別すればいいだけ。

 ダンジョン内を散歩するだけでいいとはヌルヌルもいいところ。僕がそう思ってしまうのも分かるだろう?



「では、今か30分後に試験開始とするが……何か質問はあるかな?」


「は〜い! クルト様! 1つよろしいですか?」


「……お? なんだろう。そこの君——」



 さて、試験が30分後に開始される今——1人の少女が挙手をする。



「試験中は他の方とチームを組むのはいいんでしょうか?」



 と……彼女のこの質問だが……これは何かの冗談だろうか?


 おいおい……なんだよそれ? こんなヌルヌル試験を複数人でノルマ目指そうって言いたいのか? 何人も集まってやるような内容と違うぞ? 


 そんなの認められるわけ……



「そうだね〜〜。まぁ、冒険者認定の課題ではどうしても己自身の力も重要になって来るんだけど、今日はまだ仮冒険者の試験だ。その提案許可しよう」


 

 ——あ。いいんだ? 受ける奴がヌルっとしてれば試験官《見届け人》もヌルっとしてるんだな。


 あぁ……やっぱり、神器のない冒険者ってのはレベルが低すぎる。

 強者ってのは、レベルをMAX(仮)にまで上げる一部であって、結局大半はセンスのかけらもないってことか? 

 ここにいる少年少女達の大多数がそんな奴らだと……あぁ、嘆かわしい。



「冒険者は1人じゃ務まらないからね。仲間の力を信じてダンジョンを攻略する。これも大切なプロセスだ。だが、あまり大多数は推奨できない。あくまでパーティーの範囲内。そうだな……6人までとしよう。それまでは互いに相談して一時的にパーティーを組むことを認めよう。だけど……1人のノルマはそのままだ。パーティーを組んだとしても、6人なら、ラビットブランを18頭。上薬草を18束集めてもらうこととなる。これを踏まえ、よく考えてから行動してみてくれ」



 でも、まぁ……パーティーを組むのは僕だって良いことだとは思うよ。“狂ったクルトン”の言ってることも正しいんだ。

 こと、チュートリアルダンジョンだって……攻略にはパーティーで挑むのは推奨されている。それは僕だけが知る冒険譚に記載があった。

 冒険者はそれぞれの強みを生かし協力しないとダンジョンは攻略できない。これは真理だよ。僕ももっと顔が広ければ……仲間の1人や2人集めて、一緒に攻略したいものだよ。そうだな〜〜僕なら“5人”のパーティーで挑むかな? それだけいれば、チュートリアルダンジョンに関して言えば余裕攻略できることだろう。

 だけど、僕はこのダンジョンが【光の迷宮アルフヘイム】だって事実を隠して冒険者活動をしないといけない。この事実が周囲にバレないためにも……秘密を共有する人間は少ないに越したことはない。


 結局……僕は1人で攻略するしかないんだよな。



「では、他に質問がなければ、以上で解散とする。時間になったら門の前に集合だ。それと、個別で質問があれば僕に聞きにくるのも構わないから、遠慮せず気軽に質問してくれ。では解散!」



 そして、一同は解散を言い渡される。試験を受けにきた者は、蜘蛛の子散らすようにワラワラとばらけていった。

 その目的は、大多数がクルトンとのお話——これは女子が多い。

 あとは、チームを組むためか、周りの人に声をかける者もいる。

 みんな揚々とパーティーを組んでくが、チームのノルマが増えるだけだから、絶対1人の方がいいと僕個人としては思うんだけどなぁ〜〜。馬鹿な連中。

 別に、僕だけが声をかけられないからって、悪態をついているわけじゃない。


 ——断じて! いじけてなんかいない!


 なぜか、僕を避けるように周囲では即興パーティーの結成で盛り上がってるけど、それとこれとは別だ!


 ひ、1人だって、さ、寂しくないもんだ!! フンッ!!


 でも……


 う〜〜ん? そうだなぁ〜〜ここは、同じ冒険科の同級生として、ヴェルテちゃんぐらい誘ってあげてもいいかもしれないな?

 いや、だって……もしかしたらヴェルテちゃん、右も左もわからずワンワン泣いちゃうかもしれないでしょう? そんなの可哀想じゃん。

 あのヴェルテのことだから、クルトンの話をまともに聞いてなかったかもしれないし。ここは情報通じょうほうつうであるこの僕が一肌脱いであげるべきじゃ〜ないかと思って……ね?

 し、仕方なくパーティーを組んであげても良いかなって思ったんだよ。


 ——そう! 仕方なくね!!


 まったくヴェルテちゃんはしょうがない子だな〜〜♪

 さ〜〜て、あのワンちゃんはどこに行ったのかな? さっきまで僕の隣にいたんだけど……


 て……あれ?



「やぁ。そこの可愛い獣耳がチャームな君?」

「——うみゃ? 私??」

「そう。君だよ。もしよかったらだけど……」



 離れた位置にピコピコ動く獣耳の少女の姿を捉えた。あれはヴェルテちゃんで間違いない。


 だけど……


 あれは……何やら1人の男に話しかけられている? 


 取り巻き少女3人を引き連れた立派な鉄のプレートや小手を着込んだブルーの短髪の男。


 ヴェルテに近づいていき……そして……



「俺と一緒にダンジョン攻略……やらないかい?」

「……え?」



 許可もなく彼女の手を握って、これを言う。



 もしや……こ、これは——



 ——ヴェルテちゃんが……ヴェルテちゃんがぁああ!?



「是非、可愛い君とダンジョン攻略がやりたいな」

「……え? え?!」



 ——ヴェルテちゃんがナンパされてるぅうううううう!!??









 



 

 





 


ついにこの作品は99話目に突入!? 次回は100話に到達だ!

次回チュートリアルダンジョン『第100話 ナンパされてるぅう!?』。

100話目がこんなタイトルでいいのだろうか? 間違えたかな??

どうかお楽しみに!!



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