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第25話 VSリリス・・・VSロック

「まったく、なんで死なないのよ!」

リリスは、圧倒的な強さを誇るリカルナに対して苛立ちを隠せなかった。


学園3位《不死のリカルナ》とそう呼ばれている女性だった。


 見た目は体調が悪そうな青白い顔に、少しボサボサした頭に清潔感の少ない感じだが、ちゃんとしたら美人だという噂もある女性。


 性格はおとなしく、冷静、慎重とミスをしないタイプでリリスにとってはやりにくい人物だ。


「あなたの攻撃厄介やね。氷による足止め、範囲攻撃、それにスピード、どれをとってもその年齢にはふさわしくないね。さすがガル様のご息女といったところやな」


「何よ一発も食らってないくせに! そもそもあんた気持ち悪いっ」


「そう言われても……そういう能力やでな」

続けて呪文を唱える

「フォレスティア・カカシ」


彼女の足元から木の根が生え、それが徐々に広がっていく。リリスの目の前に現れたのは、リカルナに似た木の傀儡たちだった。その姿はまるでゾンビのように、動きは単純だが、どこか不気味さを醸し出していた。


「きゃー、近寄らないで!」


リリスは必死で逃げ回ったが、彼女の動きは次第に制限されていく。傀儡は次々と襲いかかり、倒しても倒しても切りがない。リカルナの本体ではないためすぐに再生する、リリスはどこに本体がいるのか全く分からなくなっていた。


「このままじゃ消耗して負ける……」


「そうだね。君はまだ若いから、自分の能力に体がついてきていないんだ。」


 その言葉を聞いたリリスは、焦りと不安に包まれた。次の瞬間、リカルナの手から生えた根っこが彼女を捕らえ、力強くしなりながら攻撃してきた。リリスはギリギリで避けたが、足が絡まり、転倒してしまった。


「可愛い女の子を叩くのは嫌なんやけど、戦いだから仕方ないよね。」


リカルナは、丸太のように変形した腕でリリスを強打した。リリスは仰向けに倒れ込み、意識が遠のいていく。


「ルーシュ、ごめん……勝てなかったよ。」

その言葉が彼女の口から漏れた直後、傀儡が迫ってくる。


「あと勉強のために覚えといてな。君の首に種子を植えさせてもらってん。いつもより消耗が大きかったと気づかんかった? じわじわ君の体力、魔力を放出させてもらっててんで。自分のことも大切やけど相手のこともしっかりと見なあかんで。」

リカルナは冷淡に語りかける。


「完敗だね。」


「だね。ルーシュも威勢がいいからどんなメンバー連れてきたんかと思ったら、これだけ戦力差があるとはがっかりやわ。実際ルーシュも警戒するほどでもない男なんかな? 前衛は前衛らしく私らの囮になっていれば良いんやで」


 その時、リリスは思い出した。彼女の真意は、仲間たちと共に強いパーティーを作りたいというものだった。


「違うよ、私たちはもっとあなたたちと仲良くパーティーを組んで、お互いを助け合って……」


彼女は必死に種子を引きちぎり、立ち上がった。


「残念だけど、魔力源がわかったよ。木だし、根っこ、地面の下だったね。」


リリスは剣を振りかざし、地面を斬る。

そう言って剣を振りかざして地面を斬るリリス

 深さは3mほど10mの直線を斬った。


 その勢いのまま斬撃を木傀儡の方へ飛ばした。


 その木傀儡も攻撃は当たったようだが2体ほどにしか倒せず。他はかすった程度にしかダメージが無かった。


「当たらへんかったなぁ。ほんじゃさいなら」


 木傀儡がじわじわ周囲を囲み逃げ場をなくしてくる。


 余裕の笑みを浮かべリリスにマルタで殴りつけようとするリカルナ


「私の氷は……爆ぜる」


 パチン



「うそうそ何が起こってんの?」

 優勢だと思われたリカルナが氷リ動けなくなり焦る。


 さっきリリスが斬った地面と傷を負った木傀儡が凍っていた、状況整理する前にその部分が一気に収縮し爆発した。それと同時に気を失い後ろに倒れるリリス。


 地面は長さ15m深さ5m幅4mほどの大きな溝になっていた。


 木傀儡も斬撃がかすめた程度の物も全て消え失せその溝の奥底から1人倒れている影があった。




「隠れずに出てこい!」

ロックの声は、緊迫した空気を切り裂くように響いた。

ロックが対峙しているのは学園5位の男ジヴァ

彼はスザク側近の一人で、戦闘を好む性格を持つ男だ。


スザクのメンバーで戦闘好きな性格の持ち主だ。


 一番後衛職らしい能力でバランスが良くリーダーっぽい熱い男だ。


 ここまでスザクのメンバーは相性のいい相手を選んで戦っていた。


 手数やスピードがメインのジャックに対しては空間魔法で認識を鈍らせるリント


 魔力消費の大きい広範囲のリリスには冷静で消耗戦の得意なリカルナ


 多様な攻撃を持ち高防御で突き進むロックには更に多様な攻撃を備えるジヴァ


 結果はどうあれ後衛組のほうが一枚上手だった。


ロックは、手を広げて周囲の索敵を始めた。

「出てこないなら探すぞ。オープン・アースポインタ!」


両手を広げ、周囲の空間を探るロック。


「クローナ・ツェーン」

その間に、ジヴァは分身を駆使して、10体の幻影を作り出していた。


「ちょっと待て、本体がわからん。てめぇ、やる気あんのか?」


「やる気はあるよ。それに、お前の方がダメージが大きいのわかってる?」


ロックが探している間、ジヴァは隠れた位置から何度も攻撃を繰り返した。そのせいでロックの自慢の岩の鎧は、ボロボロにひび割れ、いつ崩れてもおかしくない状態になっていた。


「アースロック・オーバー!」


ロックは、自身の鎧を吹き飛ばし、索敵で見つけた場所に向かって攻撃した。2体ほどの分身が消えたが、肝心の本体には当たらなかった。


「ウィンディア・ゴーレム!」


ロックは詠唱し、風をまといながら素早く移動し、さらに分身を倒していく。


「次は風か? 相性は知ってるよね。岩は水に、水は風に、風は火に、火は岩に……」

ジヴァは冷静に語り、次の攻撃を準備した。


「けど、風に炎はどうなると思う? フレイマ・フェネクス!」

ジヴァの言葉が響くと、風の鎧をまとったロックの周囲に炎の鳥が飛来した。


「くそぉ、アースガイア・ニーディア!」


ロックは岩を地面から針のように突き出し、炎の鳥を攻撃したが、うまく避けられてしまった。


「ならこれならどうだ?」


ロックは周囲を岩で固め、自らを守る。だが、ジヴァは冷笑を浮かべた。


「炎に岩じゃダメだろ。」


炎の鳥は、岩を砕き、風をまとったロックもろとも焼き尽くした。


「アイスア・ナベリウス!」


ジヴァは氷の三首の狼を召喚し、追い打ちをかける。狼はロックに噛みつき、その部分が凍りついてしまった。


その瞬間、大きな音が鳴り響き、ロックは動かなくなった。


「ギャーオ!!」

突然、ロックたちの側に現れたのはモンスター《ディアボロ》だった。


「おいおい、あいつこんなもんまで召喚してたのか?」

ジヴァはディアボロに攻撃される。


「フレイマ・フェネクス!」

炎の鳥がディアボロに直撃し、少しひるませることができたが、ジヴァは焦っていた。


「しっかし、硬てぇなぁ、こいつ。」

怯んだだけで、ディアボロは暴れまわり、ジヴァは狙われてしまう。


「な、何なんだこいつ……」

倒れているロックが声を発する。


「おっ、次はロックか。大丈夫か? なかなかひどくやられたな。」


「ルーシュか、下は無事に終わったみたいだが、あれはお前のせいだな。」


「ばれた? ギリギリのところで後衛の1人に召喚されちまった。誰構わずだから、スザクのところ持っていく途中だったんだけど、ジャックのところとお前のところ経由してるみたいだわ。」


「まったく、邪魔しやがって……」


「そのボロボロでよく言うわ。」


「すまんな……」


「急にどうした?」


「リーダーにまでしてもらったのに、俺はいつも負けばっかりだ。何も期待に答えられていない。」


「気にすんな、お前はお前だ。リーダーに必要なものは揃ってる。お前の一言はみんなに勇気を与える。あとはもっと訓練だな。」


「お前らみたいな化け物にはなれねぇよ。」


暴れるディアボロが、ジヴァの近くに迫ってきた。


「なんとかなるよ。悪いけど、俺はいくぞ。」


ジヴァはディアボロを誘導するために動き出したが、その時、ルーシュが前に立ち塞がった。


「おいお前、あっちには俺の仲間がいるんだ。ここで消えてもらうぞ。」


ルーシュと対峙するジヴァ。


ラスト15分は、残り人数が表示されない仕様になっていた。最後に確認できたのは、6:7。


俺が3人やってきたから、最低でも6:4。


こっちが有利だが、ジャックたちが消えてしまっていたら、状況はわからないままだった。

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