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7.イベント発生?

「迷子ったー」

あれからレイルの後をストーキングしていたけど見事に迷子になってしまった(既視感)。

どうしようか。王城フラフラしてる奴って怪しすぎない?

早く合流したいけど、迷子になったときはその場から動かない方が良いって言うしなぁ。


とか考えていたら前から足音とひそひそと話す声が聞こえた。あからさまに怪しいじゃん。ってことで盗み聞きします。

近くにカーテンがあったからその裏に隠れることにする。


「第三王子殿下に殺人予告が届いたらしいぞ」

「!!」

「本当か?王子殿下も大変だな」

「ああ、——」


話してる人達自体は白だった。全然怪しくなかったわ。

...ってかイベントじゃね!?!?


漫画では、第三王子はストーリーが始まってすぐに死んでいた。理由は刺客が送られたと書いてあった。おそらくそれが今の話だ。刺客は第一王子派の人間から送られたらしい。


ということは。おそらくだが、第一王子派と第三王子派の人間でどちらが立太子するか争っていて、そこで刺客が送られて第三王子は死んだのだろう。


ちなみに第二王子は病弱なため、争いには直接的には巻き込まれていない。

それに最近、陛下が立太子する者を決めると言ったという話も耳に挟む。

多分貴族どもがあれこれやっているのだろう。


となれば防ぐしかない。漫画では、第三王子が死んだ後、第三王子派の貴族達がそれはもう不正しまくりで、他の人からしてみればいい迷惑だった。


...そういや。今の話のおかげで、この世界で漫画で起きた出来事が起こっているのが分かった。だから次はレイル達に地球の知識を渡すところか。だが少し躊躇いがある。


この数日間、一緒に過ごしているうちに本当に親しくなりたいと思ってしまった。地球の知識目当て、利害の一致、などではなく。

はぁ、困ったなと小さくため息をつく。


とりあえず整理をしよう。今やることは!

試験を受ける、終わったらこのイベントをどうにかする、レイルの闇落ち回避をする、かな。


じゃ、とりあえず頑張ろー!と言ったはいいものの、そうでした、迷子でした。


「おーい!リント!」

「あ、はーい!ここです!ここ!!」


◇◇◇◇◇◇


「ご迷惑をお掛けして、もうあの本当に。大変申し訳ございません」

「いや、いいよ。おいていった私も悪いしね。もうこの話は終わり。そうしたら今からやる試験の話をするよ?」

レイルが呆れたと言いたげな表情をする。待ってその顔めっちゃ好きです写真撮りたいカメラ下さいカメラああああ!!


「はい、お願いします」

オンオフ切り替えバッチリです。

レイルの話によると、試験は四つあるらしい。


一つ目は剣技。三分間試験官と戦って、その様子を見て合否を判断するというもの。


二つ目は筆記試験。ただひたすらに問題を解いていく。学校の定期試験みたいなものかな。


三つ目は礼法。お偉いさんと会う時の礼儀などは勿論、教養も見られる。


四つ目はまた剣技。隊長クラスの騎士と剣技を行うというもの。一発でも入れられたら即合格。ちなみに、入れられないのが普通とのこと。


これらを試験官がポイント制で合否を決める。やばい、受からない気がしてきた...。


「緊張してきた?」

レイルがふふふと微笑しながら聞いてきた。

「はい。説明を聞いて受からない気がしてきました」

「そう。とりあえず頑張ってね。しばらく見てて思ったけれど、リントはそれなりに強いと思うよ」

「ふわあぁ!光栄ですぅ」

レイルに褒められた!若干泣きそうになりながら答える。


イベントとかを解決するにしても、騎士になった方が王城にいられるから都合がいい。なんとしてでも合格せねば。


「ここが試験を行うところだよ。あ、ちなみに他の受験生はいないよ。本来、試験があるときと時期が違うからね」

え?ってことはわざわざこの場を用意してもらったのだろうか...?


「ふふふ、カイヴィス達を助けてもらったお礼だよ」

お礼が過ぎませんか?街にもついてきてもらったし...やば。

「本当にありがとうございます!!」

腰を九十度に曲げて言っといた。

「どういたしまして。じゃあ、頑張ってね」





試験が行われるという場所は、先程いた訓練場と似たような場所だった。

「こんにちはー!()()がリントちゃん?」

「そうです!今日はよろしくお願いします!」

「気は楽にしていいよ。こちらこそよろしくね」


試験官は、私とそう歳が変わらなさそうな女性だった。この国では珍しい、黒髪黒瞳のすらっとした美人さんで、か弱そうに見えた人が騎士なのかと少し驚く。


「あはは、あまり強くなさそうでしょ?こう見えて第一隊に所属なんだよ!」

第一隊というと、騎士の中でエリートが集まる隊か...。この可愛い外見に釣られてきた男達が何人返り討ちになったのだろう、と少し気になってしまう。


「じゃ、早速だけど試験やろうか!剣はこの模造剣ね。で私は...そうね...リンカ、だよ!様とかは要らないからよろしくー!」

そう言うと試験官...リンカさんは魔術を展開した。どうやらあそこで時間を測るらしい。

「よし、スタート!」


そう言うなり、リンカさんが物凄い速さで踏み込んできた。慌てて剣で受け流す。リンカさんはそのままニ撃目、三撃目、とどんどん続けてくる。正直言って避けるのは出来るが、攻撃するのはきつい。かなり不利だ。



二分半ほど経っただろうか。体内時計が正しければあと三十秒だ、と思ったところでリンカさんが隙を作った。今だ、と攻撃しようとするがリンカさんもこっちを狙ってきている。剣が速い方が勝ちだ。


◇◇◇◇◇◇


「いやー、リントちゃん強いねー!」

「ありがとう、ございま、す」

息絶え絶えに言う。


「私に一発入れた人は試験受けに来た人のうち...そうだね、ニ、三割くらい、だからリントちゃんは相当だよ」

「意外と少ないんですね...!」


私は地球で柔道やパルクール、剣道をやっていた。そのため運動は得意だし、殺気にもそれなりに敏感だ。

リンカさんは本気でやっていたため殺気を出していた。だから勝つことが出来たのだ。殺気がなかったらほぼ確実に勝てなかっただろう。


「うん。ここではあくまでもどのように動いているか、とかを見るからね。入れられなくても受かるは受かるよ。私もそれなりにガチでいってるからね。ただ、その分入れられた人は、第一試験はほぼ確定で受かるね」

「なるほど...」


「じゃっ、次の試験をやるところまで連れてくよ」





「ここだよー!じゃっ、またね、リントちゃん」

「はい、ありがとうございました!」

コンコンとノックをする。...返事がない。部屋の扉に手を掛けて思いっきり開いた。


「やあ」

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