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11.恋敵(笑)

廊下を歩く私はふと気づいたのです。

凛花姉と王妃様鑑定してないじゃん!? と。

...いや、ね?してもしなくてもいいっちゃいいんだけどさ。敵か味方か判断するにはちょうどいいじゃない?(尚ほぼ百パー味方)

私の力を国に縛ろうとしたり、とかそういう政治的な観点っていうのかなぁ。そういうのが絡まなければ、だけど。

まっ、凛花姉はいつか会えるだろうし、王妃様は...今度会いに行く理由作るか。


そんなこんなで考えているうちに訓練場に到着した。案内係の騎士がなんかそれなりに偉い立場にいそうな騎士に声を掛ける。

それに振り向いたお偉いさん(仮)は私に気づくと、さあさあとでも言うように隣に立たされた。


「さあ!こちらの少年が皆の噂の人、リントだ。こう見えても十八歳らしいから。さて、リント。これからよろしく頼む。教育係は今この場にいないから、後で紹介するよ。じゃあ、皆に顔を見せに行ってあげて。ずっと気になっていたんだよ」

ツッコミたいところがありすぎるが...許してやろうぞ。今の私はこの世界の騎士達に会えてすこぶる機嫌がいいのだ。


「よろしくな!チビ!それにしても弱そうだが、強いんだってな!?楽しみにしてるよ!」

「リントって特例の奴だろ!?どうやったんだ!?」

「リント君か、よろしくね!というかすごく可愛いわね!!」

お偉いさんのそばから解放されると、周りがわあっと寄ってくる。褒められたり褒められたり悲しかったりと思っていると。


ふと人の集まりから外れたところに視線を遣ると、額に青筋を浮かべてすごい歯軋りの音がしていそうな男がいた。絶対私のことよく思ってない奴じゃん。あれでしょ?自分より若くて弱そうなのに優秀なのが許せない〜的な?プラスあいつは貴族だったりしてね。平民の癖に!!みたいな。うわぁ、ありそー。

あ、こっち向かってきた。やーいやーいバーカあーほ。


「おい、お前!」

飛んできた怒号に、ゆるりとお得意の笑顔の仮面で応える。わざと嘲笑するようにして。だってその方(煽った方)が見応えがあるでしょ?

「なんでしょう?」

私の態度にさらに苛立ったのか、ヒートアップしてくる。

「どうせコネで騎士になったんだろ!?エリートの第一隊の!!お前、俺と一戦交えろ!!」

「はあ」

コネですが何が?まあコネだけじゃなくてスキルが優秀だったのもあるけど。


そうしばらくやりとりをしていると、背後から腹の底から出たような低い声が響いた。

「リントにはレイル紫剣団長と王妃様が後見人についてらっしゃる。これでも不満か?」

「た、隊長!?」

振り返ってみれば、数メートル先に隊長と呼ばれたらしい男が立っていた。豪快な笑顔を浮かべていなければ、めっちゃ怖くて威圧感がある。私の上司になる人かな?


って後見人とか聞いてないんですけどー!なにそれ!!また隠された!!子供じゃないんだから!!

うわあああ!よし。スンと遠い目をした私は悪くない。それより目の前のことだ。隊長とやら、なんか見覚えがある気が...?


「久しぶりだな」

あ、やっぱり?どこで会ったんだろ......あ!

「凛花、じゃなかった。なんだっけ...あ、エヴァ?と一緒にいたときに会った人!」

前に凛花姉の試験後にちらっと登場したあれだ。たしかランドセルじゃなくて......あそうそう、ランドルフとか?


「お?覚えていたか、少年」

「改めてまして、リントです」

「おう!いやあ、特例で来る奴がいるって聞いてみればリントで驚いたぞ!!ま、それ(上層部からの命令)を信じらんねえ奴もいるようだが?」

おう。めっちゃ冷たい視線を浴びまくって、あいつ縮こまってるよ?


「まあ、今は俺で解決できても今後また同じようなことが起きないとも言えん」

と言いますと?

「リント。実力で示せ」

「承知致しました」

やってやろうじゃないの。何よりこの世界の騎士とチート使って戦えるとか楽しそう!!


「てかあいつなんで突っかかってくんの...」

縮こまってる割には子猫のようにこちらを睨んでいる姿を見てボソッと呟けば、隊長が背後から耳打ちしてくる。

「恋のライバルだからじゃねぇか?」

ガハハ、と豪快に笑っているところ失礼しますが...恋のライバルって何?身に覚えがなさすぎて困る。


すると私の思考を読んでか、またまた悪魔だかの囁きが聞こえた。



「エヴァのことだ」



「..................は?」


いや、え......いや、は?



「え、あんた凛花が好きなの?」

思考がそのままだだ漏れになれば、男が憎悪の色を瞳に燃やす。え、いや、ガチなんすか?

「ほら見ろ!エヴァさんのことを愛称で呼んで親しげに...!!」

私が凛花姉を巡って争うとか笑うんだけど。

てか、愛称って本来の名前から取るものじゃないの?エヴァ→凛花ってなんか違くない?発音数増えてるし、違うし、男女仲の親しげじゃないし、よく分かんないし。ほんとなにそれ。


「はぁ...言っとくけどね?凛花を取り合うとかありえないから。いうなら兄妹みたいな?...(まあなんなら姉妹ですけど)」

混乱が起きそうだから、一応「姉」は外して名を言う。あくまでも私は見た目ほど幼くないし恋仲とか笑える、と呆れたように言えば男の瞳の憎悪が強くなる。あーあーあー。そんな短気だと将来ハゲるよ?

ほら、短気は損気って言うじゃない?


「そう言っていつの間にかエヴァさんの隣にいるんだろ!?」

「いやお前の目は節穴か?どうやっても恋仲のあれじゃないだろ、あれは」

うわぁ。ほんとまた面倒な奴が来たなー。


「まあいいや。どっちにしろ実力を示すにはちょうどいい機会だし」

「はっ。騎士デビュー失敗にならないといいな?」

「そっちこそ、貴方の言葉を借りるならコネで騎士になった新人に負けるわけないよね?」



結果。八勝ゼロ敗。



ちな、言うまでもないだろうけど、私が八勝の方ね。

いや、あのね?あいつ負けるたびに「もう一回!」って剣で振りかかってくるの。馬鹿じゃない?いや、実際そうなんだろうけどさ。墓穴を掘るにも程があるでしょ。







とりあえず顔合わせとか諸々終わり、次は教育係の元に行くらしい。また案内役の騎士さんが連れて行ってくれている。

ひとしきり歩くと、王城に来て初めに入った部屋の前まで来た。え?ここ使うの?

しばらく前まで凛花姉と使っちゃってたし。申し訳ない。てかあの人何やってんのほんと。

低姿勢になりながら重く豪華な扉を開けると。



「あ、凛ちゃん!やっと来たー!」



扉を閉める。

..........え?ガチ?部屋ここで合ってる?

ってそうですか。騎士さんがすごく申し訳なさそうにしてるしなんかごめんなさい。


たっぷり十秒空けて、再び取手を掴む手に力を込める。

「凛ちゃん!!遅いよー!って扉閉めないで!!」

「......なんで凛花姉なの!?」





「いやあ、新しく入ってくる子について聞いたときは、私もまさかって思ったよ!ここでも姉妹で一緒にいられるとかやっぱり運命だね!」

「......ん」

「って、そうそう!本題にいかないとね。教育係、凛花ことエヴァです!基本的にはずっと傍にいるから、末長くよろしくね!」

「短い間ですがよろしくお願いします」

「うわあ、凛ちゃんがまたデレた!?」

「......はぁ」


この人ペースが早いし独特だし無駄にポジティブだし辛いよぉ。

「んで、騎士の訓練って言うのかな。そこら辺教えて」


「えっと。とりあえず毎日8時から夕方まで王城で訓練。詳しく決まってないのは日によって変わるから。で、午前中は訓練、午後は仕事なんだけど•••凛ちゃんは新人中の新人だから、もしかしたら午後も訓練とか他のことったりするかもね。ハッ!そういえば!凛ちゃんの騎士服これから毎日見れるんだよね!!想像しただけで本当可愛いっ!!あ、でも今は男装してるから見た目だけはクール系かショタっぽい女の子になりそう!!私の妹は世界一かわ」


「色々ありがと。じゃ、これから予定あるしまたね」


「で、凛ちゃんが頬を真っ赤にして私に抱きついてきて『ありがとっ...』とか!きゃー!凛ちゃんのツンデレかわいー!!あっ、それで、」


扉を背もたれにして寄りかかる。

ふぅ。供給過多で目眩が...。あれ以上は不健全だからね。いい子の皆には見せられないからね。

まああとで客室が深紅で染まるかもしれないけど、私の所為じゃないし......いっか。







家に帰り、「予定がある」など凛花姉から逃げたい一心のただの方便なため、これといってすることもなくゆったりと寛いでいた。

「......テレビとか置いたらつくかな?」

テレビを置いたとして、ネットという概念がないここでつくのだろうか。

「あ、でもスマホはいけるし念じれば...」

神様から貰ったチートを遠慮なく使い、リフォームをしていると、ピンポンとチャイムが響いた。


チャイムのこと知ってるのはカイヴィスとアレクとレイルだけだけど...誰だろ?

「はーい」

人がいることを知らせるためとりあえず声を上げておく。ドアを開けると、すぐに閉めようとした。





「やっほーっ!」

だがそれは、くそ凛花がドアの間に挟んだ足によって阻まれた。


「そーいうの要らない」

「ああーっ!いたっ!閉めないでって!」

「需要ないのに供給が多過ぎるの!!ほら、地球でもちょっとイタイやつが自分のグッズを需要もないのに販売したりしてたでしょ!!」

「えー。でも私は凛ちゃんが供給不足だから、補給させて?」

「今世の可愛い顔で上目遣いするな!」

「え?凛ちゃん、私のこと可愛いって...!?」

「だから美形が多いこの世界で、変態が美女の皮被って上目遣いするなっての!」

前世の凛花姉の平凡顔と変態がちらつくんだけど!!(※凛から見れば平凡でも周囲からすれば美形)


「私も凛ちゃんのこと可愛いと思うし大好きだよっ!!」

「抱きつくな!」





数分後。

頬を赤く腫らした残念な美女(の皮を被ったドM)に用件を聞く。

「で、なんで来たの?」

「よくぞ聞いてくれました!!ってことで一緒に住んでいい?」

「やだ」

絶対うるさいじゃん。


「じゃ」

足を折る勢いで扉を閉める。折れたら騎士が続けられなくなんぞ。分かったらささっとどけて!!

「あ、ちょっっと!ちょっと待って!」

「なに」

「情報持ってきた!王子の刺客について!」

「知ってる」

神様が言ってたし。


「はっ!?ま、待って!刺客とあと王子の公務についても!」

「入って」

扉を勢いよく開き招き入れる。

「賄賂渡すとこうなるんだ...でもつれない凛ちゃんもかわい」

「追い出すよ」

「ごめんなさい」

さすがの凛花姉も私のガチトーンを感じ取ったらしい。いや、物分かりがよくて(?)助かるよ。剣じゃ勝てないけど、魔法だったら多分余裕で勝てるからね。


ってちょうどいいし、今鑑定するか。

よし、鑑定!


『夜坂凛花 / エヴァ・ミージェナー 20歳

体力 6380/6510 魔力 2430/2430

魔法属性→火、水、風、土

スキル→******

その他→******』



おー。やっぱ魔法は向いてないみたい。全く使ってないみたいだし。てか体力も女子の割にそれなりにあるし、凛花姉って結構強いんだね。隊長クラスで7000らしいから相当だね。なんなら隊長の座は奪えるのでは?


「あ、凛花姉、入っていいとは言ったけど住んでいいとは言ってないから。終わったら持ってきた大荷物と一緒に出てってね」

「凛ちゃん不足で騎士が続けられなくなるよ?」

「そう」

「酷いよー!ツンツンしてる凛ちゃんも可愛いけどさぁ。何で駄目なの?」

だからうるさいんだってば。

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