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9ー1.[レイル視点] 何者かな

9話の展開を以下の形に少し変えます!!

[神界から去る前]


「はいはい、もうすぐだよ...っと。じゃあね〜!!」

「それと、少しだけヒントね!第三王子の刺客は——」

部屋に入るとリントは眠りに入っていた。寝ているリントは、私に剣を入れられたとは思えないほど華奢だ。女性だと言われても、()()()()()()()気がつかないだろう。

まあ、私は——


「...向こ...の世界...攻略本..持っ...れば」

「え?」

意識を思考へと飛ばしていたところに声が耳に入る。ふっと声の方へ顔を向ければ、変わらずリントは寝ていた。

「寝言かな」


寝言にしても不思議なことを言うものだ。「向こうの()()」と言わなかったか?それに「攻略本」というと...ダンジョンの、だろうか?

まあ、何にしろ夢で楽しんでいるのならなによりだが。


「第...王子、死な...で......ギーヴ...侯爵?」

「...は?リント?」

王子、が死ぬ...?不敬とはいえあくまでも夢の中のことだ、と済ませられたら良かったのだが...

ギーヴ、侯爵というと...ギーヴィン侯爵だろうか?夢で済ませるには少々具体的過ぎる。だからといい確かめる術もないが。いや、いっそリントに問いただそうか。とりあえず確認する必要はありそうだ。


リントはかなり不思議な点が多い。先日だって——







「リントについてご報告します。リント、十八歳。黒髪碧眼、小柄で整った顔をしており、見た目や使う高度な魔法からも貴族出身のように思えます。出会った際も少し珍しく高価そうな服を着ていました。


ただ、ここからが不可解なのですが...本人は『隣国のようなもの』出身と濁して言っていますが、少なくとも周辺国の貴族に、肩下辺りの黒髪に碧眼で小柄な十八歳はいません。そもそも黒髪が珍しいですから。


そして出身がわからないので、私達が森で出会う前に何処にいたのかを辿ってみましたが...行方が一切掴めませんでした。


普通ならあり得ないことですよ?

残った魔力も探れない、従魔を使った匂いや気配での探索も不可、この国一番の魔術師が存在そのものを辿っても見つからない。まあ、今やこの国一番の魔術師はリントになりそうですが...ではなく!


団長がリントのことを不思議と言ってはいましたが、不思議どころじゃないですよ!まるで出会う前までこの()()に存在しなかったかのような...!!」


「そうだね...まさかそこまでとは思っていなかったが」

とボソッと呟く。


初めてリントに会ったときに、()()で違和感を覚えた。私は人の気配でなんとなく普通でない人間が分かる。

だが表情や態度を見る限り何か嘘をついたりしているわけでもない。


初めは彼がヒールを使うところを見て聖女だからだと思っていた。女性に見えたからだ。この国には聖女の力は神に選ばれた者(普通でない人間)に贈られるもの、という風潮がある。実際、聖女の気配は『普通でない人間』の中でも独特だった。


だがその後彼と話して聖女でもないことが分かった。今までに一度も感じたことのない不思議な気配に、警戒などの類ではなく、ただ純粋に彼を気に留めていた。


彼がただ者ではないことは分かっていた。が、ここまでとは。ここまで驚くのは久しぶりだ。


それにしても、アレクがあれだけ強く言うとは。いつだってこちらが驚くほど冷静だというのに。


「リントはスパイの類ではなさそうかな?」

と聞くとアレクは「それはないかと」と即答する。

となれば...


「リントは気に留めておくようにしておいて。ただ、警戒とかではない。でもそれとなく彼の素性について探るように。彼の口から聞けるといいんだけどね」







......そういえば。『世界』って単語がよく出るな。それも気になる。

っと、先程上げた声が大きかったようだ。リントが起きそうになっている。


「あ、リント。ごめんなさい、起こしてしまったね」

何気ない会話を装って、自然に、彼のことについて聞いていく。私が彼の情報を掴むのが先か、彼が私に心を開いて事情を話してくれるのが先か。


まあ、後者はなさそうだか...気に入った彼がどういう展開に巻き込まれるのか。今はこれを見守るのが一番楽しそうだ。

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