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ウィーケスト・アーミー  作者: 神楽阪 舞
第6章 幻影に魅入られし「未来」
92/140

砂上に広がる蜃気楼 ~光と影が重なる時~

すみません、投稿が遅くなりました・・・

しばらく忙しいため、不規則な投稿になります><

・・・帝国の新型機

突然の襲来に独立部隊、そして連合軍側は混乱していた


人型兵器に関しては帝国に一日の長があり、連合はまたしても現れた新型機に恐怖することとなった

連合軍上層部もこの事を重く受け止めることとなった


俺達独立部隊も、先の戦闘で直接対峙したことで、部隊内に動揺が走っていた・・・


-----------

【シエル 中央指揮所】

指揮所内は騒然としていた

先の戦闘でシャドウの新型と遭遇したことで今後の作戦進行について激しく議論がなされていた

「このままこの地域に留まるのは危険です!すぐに移動を開始するべきです」

「移動するにしても、この砂漠地帯・・・どこに移動しても危険なのは変わりないよ!」

「マスター、応急修理しかできない現状、この惑星からの離脱は不可能です・・・ここはマスターの決断を」


アエルやルルベルの意見はもっともだった

この砂漠地帯、遮るものが無い以上守勢に回るのは不利である

「・・・サンドラへの通信はどうだ?」

「それが、今だ連絡が取れない状況でして・・・傭兵部隊が近くに居ることしか現状は」

「このサンドラの気象も影響しているのかもねぇ。もしくは帝国の妨害か・・・」

エマとエイミーが言うには、サンドラ・・・首都は領主の名を冠したフォスター

その周辺では強力な妨害電波が発せられ、一切の通信が取れない状況になっているようだ


「危険を承知で首都方面へ向け進軍を行うしかないか」

俺の判断はこうだ

現状、この場に留まっても防衛戦力にも限界がある

特に実弾兵器の残弾は目に見えて減ってきている

・・・砂嵐では光学兵器は意味を成さず、実弾での迎撃になってしまっているからだ

それ以上に、人員の消耗、肉体的にも精神的も厳しい

傭兵部隊にも動きはあるが、こちらに援軍を出す余裕はないと思われる

この状況を打破するには、状況が見えないが首都を目指すべき、と判断した


「しかし・・・大丈夫でしょうか?」

「恐らくは大丈夫だろう。帝国・・・シャドウの動きが気になるが勝機はあるだろう」


あの時、シャドウと対峙しグロリアス、コキュートスはシャドウに対抗することができた

ある程度の抑止力とはなるはず


「他に意見が無ければこの方針で行こうと思う。ミーヴィ、コーデリアと共に首都への針路設定を。引き続きサンドラへの通信を頼む」

「了解しました、マスター」

「エイミーとエマは負傷兵たちの対応を頼む」

「わかりました」

「任されたよぅ」

「取り纏めは・・・ファナン、頼めるか?」

「うん、任されたよ」

「ミリィ、進軍中の哨戒頼めるか?」

「はい、お任せください」

「えっと・・・ウチは?」

「ルルベルは少し話がある。この後少し残ってくれ」

「うん・・・」

「では、皆頼んだぞ」

「了解」


各自割り当てられた担当に就く

そして、指揮所には俺とルルベルが残った

「えっと・・・」

「・・・すまない。すぐにでも駆け付けたいだろうが、俺のミスだな。本当に申し訳ない」

「う、ううん?!そ、そんな謝らないで!」

ルルベルは両手を慌てて振りそう答える

「本来なら首都近くに降り立ち支援しなければならなかった。それがこの結果を生んでしまった」

「ううん・・・ザラートは悪くない。悪くない。それに、こうなったのも、どちらかというとウチのせいだし」

「それは違うぞ?ルルベルにとって大事なモノを守るためにここに来たんだからな」

「う、うん・・・そうだけど」

「ともあれ、責は部隊長の俺にあるわけだ。ここは素直に謝罪を受けてほしい」

「う、うん。わかった。でも、ザラート?ウチはそこまで責任を感じて欲しくないから、謝罪はいらない」

そしてルルベルはいつもの笑顔を浮かべて

「やっぱ、何事も楽しく、笑顔で行かないと、ね?」

「・・・そうだな。ありがとう、ルルベル」

「うん!そうと決まれば、次の作戦もさくっと行こう!」


ルルベルがいつもの調子に戻ったと同時にアウルムから通信が入る

「ザラートだ、どうした?」

「ユズハです。サンドラの傭兵部隊と思われる部隊の通信を傍受しました。録音データをそちらに回します」

俺は受け取ったデータを確認する


所々ノイズが酷いが、どうやら帝国との戦闘中のようだ

時折聞こえる爆音、そしてつい先日聞いた独特のスラスター音

(シャドウか・・・)

爆音の中、辛うじて聞き取れる通信内容を静かに聞き取る

『・・・都周囲の・・・国軍は圧倒・・・ザザ、南方の・・・薄・・・ザザザ』

(首都周囲は敵に囲まれている、ということ・・・南方は敵の配置が薄いということか?)

通信内容から、俺はそう考える


「ユズハ、この通信を傍受したのは」

「はい、つい先程。発信元はここより北方、首都フォスター近辺です」

「・・・間違いなさそうだな。よし、ユズハ、俺達はこのまま首都方面へ進行する。各員戦闘配置に、陸上部隊も展開してくれ」

「了解しました。隊長はどうされますか?」

「グロリアス、コキュートスともに修理中・・・グライフで出るぞ」

「了解しました。ご武運を」


「ルルベル、聞いた通りだ、俺達も準備を進めるぞ」

「うん!」


俺はグライフを駆り出撃する


「各隊、シエルとアウルムを中心に陣形を!敵は人型を擁する精鋭だ。気を抜くなよ!」

「了解、隊長!」


追い詰められている状況にも関わらず、各員の士気は十分

これならばなんとかなるかもしれない・・・!


-----------

そして時を同じくして、帝国側にも動きがあった

先の戦闘で損傷したシャドウはサンドラに派遣された試験部隊の物だった

そしてその操縦桿を握っていたのは・・・


「しかし、今までの機体とパワーが桁違いだな」

そう言ってシャドウから降りてきたのはドルーア

この地に派遣された試験部隊から機体を借り受け出撃していたのだ

そしてもう一機、こちらは激しく損傷した機体

ザラートの駆るグロリアスと激しく戦った結果である

「こちらは酷くやられたものだな」

「・・・申シ訳アリマセン」

半壊状態のコクピットから降りたのは、フルフェイスのブラックスーツに身を包んだミレディだった

彼女もまた、借り受けた機体で出撃していた


そして、ドルーアとミレディのそばに一人の研究員が近寄る

見た目、非常に不健康という表現がこれほど似合う者はいない、そのような外見をした女性

その髪はぼさぼさで、長い間手入れされていない事がすぐに判る

「やぁ。せっかくの新型も君達ではオーバースペックだったかな」

「クヌギ殿か。せっかくの新型だったが期待に応えられなかった。申し訳ない」

「しかし、結果は上々。これは良い研究データになる」

「・・・そうか」

彼女の名はクヌギ=ナカマツ

皇帝陛下が連れて来た科学者とのことだが、素性が不明なため快く思わない者も多かった

・・・ドルーア、そしてその指揮下に入るミレディはその最たるものだった


「まだまだ改良の余地はあるし。そしてこの耐久性、これならばまだまだ強化できる」

「しかし機内の居住性はもう少し改善したほうがいいな。長期戦になると難がある」

「はぁ?そんなの二の次だよ。求められるのはパワー、そんな余計なものを追加するぐらいなら武装強化をだね・・・」

(人的資産をなんだと思っているんだ・・・)

自分の気持ちを口に出しそうになりながらも、ドルーアは堪える


このクヌギという者は、人・・・すなわちパイロットを『消耗品』と見るきらいがあった

そのことで周りの反感を買っていることにクヌギは気づいていなかった

「まぁ、ともあれ貴重なデータに感謝するよ。じゃあ後はこちらでやっとくし、お疲れ様」

「・・・ああ」


新型機を早々と回収し、クヌギ達は本星へと引き上げて行った

幸か不幸か、この事が両軍にとってプラスに働く事になることとなろうとは、誰も知る由は無かった

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