宇宙から降り立つもの ~賭すモノとは~
俺たちはそれぞれの武器をバイオウェポンに向け、そして一斉に射撃を開始する
「まずは私から」
そういって紫髪の彼女がライフルを連続で発射する
図体がでかいとはいえ、同じ箇所、それも頭部に連続で命中する
恐ろしいほどの腕前・・・
しかし、頭部を半分吹き飛ばされてもなお歩みを止めない
「さすが、化け物だな・・・っ!」
俺も負けじと自動小銃を乱射する
全身に銃弾を浴び、それでもなおも歩みを止めないバイオウェポン、とんでもないことだが、おそらくは痛覚を感じないように作られているのだろう
怯むことなくこちらにさらに侵攻してくる
そして突然奴の体を紅蓮の炎が再度包み込む
茶髪の子がやったのだろう、見た目に似合わず恐ろしい武器を扱う子だ
さすがに2発も喰らい、さらにダメージを負った奴はゆっくりと動きを止め
ズウゥゥン・・・
その巨体を床に投げ出した
なんとか、なったようだな・・・
「敵生体反応、ロスト」
「ああ、なんとかやったな」
「・・・」
彼女たちも安堵の表情を浮かべている、しかし本当に恐ろしい兵器を作ったものだ
バイオウェポンを挟んだ向こうからアエルたちも歩いてくる
これで敵はすべて撃退した、調査も再開できるな
茶髪の子は怪我をしているようだ、こちらの手当も進めなければ
応急キットを手に取り、手当を進めようとした
その時、バイオウェポンが突然右腕を突き出し、こちら・・・茶髪の子を狙っている?!
「しまった?!ファナン?!」
紫髪の子が叫び身を挺して庇おうとするが、右腕から撃ちだされた無数の濃緑色の針がファナンと呼ばれた茶髪の子の背後に迫る、間に合わない!
「くそっ」
「きゃ?!」
俺はファナンに覆いかぶさり庇う
「ぐあぁぁぁっっ!!」
背中に激痛が走る
同時に腹の中から暖かい何かがせり上がってくるのを感じる
これは・・・やってしまったか・・・
「だ、大丈夫か・・・?」
「だ、大丈夫・・・でもあなたが」
「俺は、だいじょ・・・ぶ・・・がフッ!?」
べしゃり、と口から赤い液体を吐き出す・・・くそ、内臓までやられたか・・・
応急キットからアンプルを取り出し、まずは自分の腕に当て、注入する
続けて、ファナンにも
「こ、これは・・・?」
「痛・・・み、止めだ。手当、はするから、待って・・・ろ」
急に意識が遠のく、くそ、緑色だったのは何かしらの毒薬だったのか、くそ・・・用意周到だったな
「隊長、たいちょ・・・
「すぐに手当・・・
「なか・・・
俺はそのまま闇の中へと引きずり込まれてしまった
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・・
・・・
何度もこの景色を夢にみる
ここは、俺がまだ兵士となってまだ間もないころだった
とある戦場にて、強制収容所の開放という作戦に参加することとなった
事前のミーティング、スパイ情報から敵の防衛ラインは完全に把握していた、実際作戦はスムーズに進んだ
だが、最後の最後に失敗した
救助対象だった要人が敵側のスパイ、2重で騙しあっていたのだ
「ザラート!貴方だけでも逃げて!」
「しかし・・・!」
「いいから、ここは私が・・・!」
負傷した彼女は一人残り、俺を逃した
銃撃を受け、苦痛の表情で身を仰け反る彼女は、通路に仕掛けた爆薬の起動スイッチを入れる
崩れ落ちる瓦礫の中、彼女は微笑みながら
「生きて」
と・・・
守り切れなかった彼女のおかげで俺は命を長らえ、作戦から生還することができた
守れなかった彼女の遺言を、生きてと言われた言葉の重みを噛みしめ・・・
戦闘描写が上手い人が羨ましいです・・・!