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ウィーケスト・アーミー  作者: 神楽阪 舞
第5章 絡み合うそれぞれの「想い」
76/140

ソラに煌めく幾多の星々 ~Domination battle [Side:C]~

「エマ、後を頼んだ。・・・ファナンのこと、任せる」

「あいよぅ、任されたよ」

「艦長、ユズハ、後はよろしく頼む」

「ザラート隊長、後はお任せください」

「大丈夫ですよ、プルメアまで必ず」


ザラートはコーデリア達に後を任せ艦を後にする


-----------

【<シエル>戦闘指揮所】


ファナンを<アウルム>に移送し、俺達は<シエル>にてエルメディアへの進攻を支援することとした

[コロネット]作戦を成功させるために


「マスター。軌道上、予定のポイントに到達しました」

「よし、所定のポイントに向けて攻撃を始めてくれ」

「了解、敵拠点に向け砲撃を開始します」

衛星軌道上から敵拠点へ向け支援砲撃を行う

シエルから伸びる青い光は惑星上にいくつもの爆発を発生させる

「楽と言えば楽だけど・・・なんか達成感が無いね」

「ルルベル、そう言うな。これもれっきとした作戦、俺達が支援することで制圧が容易になるんだ」

「そうですよ?何もしていない訳ではないんですから」

「んー、そうだけど・・・」

ルルベルの言いたい事も判らなくはない

先の、ファナンとミリィが負傷した時も、今この時も、何もできないというのは、正直堪えるものがある

・・・それは、ここにいる誰もが思っていることである

「今は、俺達に出来ることをやればいいんだ。即応できるのは、独立部隊にしかできない事だしな」

「ん、じゃあ何時でも出られるように準備しておく」

「それがいい、その時は頼むぞ?」

「まっかせて!」

「地上第一軍より砲撃支援要請、ややずれた位置への砲撃となります、よろしいですかマスター?」

「了解した。ミーヴィ、艦の位置をずらしても構わないので、支援に応えてやってくれ」

「はい、マスター」

・・・地上での熾烈な争いは一進一退を繰り返していた

宙域からの強力な支援砲撃を受けた地上部隊は損害を出しつつも、首都エルスルトを囲む包囲網は完成しつつあった

この日、<シエル>は半日かけて地上軍の支援に回り、地上戦が落ち着いた残り半日は宙域の警戒に回ることとした

・・・特に[デストロイ][ブラックウィドゥ]の2隻とは決着が着いていないため、特に警戒することとした


「ザラート、<グロリアス>出ます」

<グロリアス>での出撃にも慣れてきた

スクランブルを想定しての訓練でも、1分とかからず出撃が出来るようになってきた

また、今後の事も考え、最近はアエル達も<グロリアス>の習熟訓練を行ってもらっている

今だ量産化のめどは立たないものの、人型兵器の有効性は少しずつ認められてきている

・・・士官クラスは搭乗して戦う日は近いかもしれない


なお、実施された訓練で一番優秀な成績を叩き出したのはアエルだった

「私、操縦系が合ってるのかもしれません」

とは本人の話だが、誰が見てもその操縦センスは優れていた


逆に全くできなかったのがミリィだった

「こういう、狭い所は苦手です・・・」

体格や体の構造も影響しているのだろう。もともとコクピットも"人間"に合わせて設計されているはず

今後の運用を考慮するなら、そのあたりも検討しなければならないかもしれない


また、本国の兵器局では<グロリアス>換装用装備が何点か設計、製造されている

しかし肝心の運用機が少ないため、日の目を見るのは当面先になるだろう


『マスター、聞こえますか?ミーヴィです』

「ザラートだ、どうした?」

『<アウルム>より通信が入りました。無事プルメアへ到着。補給ならびにファナンを医療施設へ移送完了とのことです』

「了解した。コーデリア艦長に礼を伝えておいてくれ」

『了解、マスター。・・・あと、微弱ですが<シエル>艦上方に微弱ですが帝国艦艇と思われる信号をキャッチしました』

「判った。これより確認する」

『無理はされないように、お気をつけて』


・・・<シエル>より指定された方向、座標に向かい進む

しばらく進むと敵艦影を確認した

「敵巡洋艦を確認、数1。先の戦闘の落伍艦と思われる」

『了解、マスター。・・・当艦からは射線上にデブリがあり攻撃困難、マスターいけますか?』

「大丈夫、なんとかなる。これより攻撃を開始する」


敵艦の周りはデブリが多く、射撃は通りにくいと判断。俺は接近戦で挑む事とした

敵も先の戦闘で警戒レベルが上がっているようで、こちらはすぐに捕捉された


『敵影捕捉っ!敵機動兵器・・・"人型"です!数1!!』

『先の戦闘で確認された機か!何としても落とせっ!!』

<グロリアス>めがけ、赤いビームが幾重にも襲い掛かる

艦艇に比べ小さい機体のため、直撃弾は皆無であった


『くそっ!?なぜ、なぜ当たらん!!』

『敵機接近!このままではっ』

『わかっている!迎撃!迎撃するんだっ』

みるみるうちに敵艦との距離を詰め、始めに推進部をビームで狙撃する

青白いビームは推進部を撃ち貫き、敵艦の機動力を削ぐ

CIWSなどで応戦するが、こちらの機動力には追いつくことが出来ず、牽制するに留まっていた


『推進器大破!艦長!?』

『これまでか・・・総員退艦!急げっ!!』

艦後方から脱出ポッドが何基も射出される

その間も、対空砲火を掻い潜りながら<グロリアス>はビームサーベルで船体を切り裂く

・・・内部気圧の高い船体は、その裂孔を一気に広げ、大きく弾ける

離れざまに艦橋そして前部砲塔にビームを直撃させる


『艦長も退避をっ!これ以上は・・・!』

『・・・遺憾ながら艦を放棄する!皆、よくやってくれた・・・!』


艦長以下、退避した直後、艦橋は吹き飛ばされ、砲塔部では誘爆が起こり、敵艦は船体を崩壊させる

「ザラートだ。敵巡洋艦撃破。他の艦影は認められず」

『ミーヴィ、了解しました。こちらも敵艦は認められません』

「了解、こちらは一度艦に戻る。収容準備を頼む」

『はい、マスター。お疲れ様です、帰艦をお待ちしています』


・・・この戦域でザラートのキルスコアは群を抜いていた

まだ運用方法が確立していない"人型兵器"でこれほどのスコアを叩き出すとは誰も想定していなかった

この結果、軍上層部は"人型兵器"の有用性、特に<グロリアス>の性能を評価していた


が、あくまでこの機体は「試作機」

真に恐ろしい点はザラート、その人の「操縦センス」にあった

ザラート本人は気づいていないが、彼の操縦センスは群を抜いていたのだった


それは遠くない未来に判明することとなったのである

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