ソラに煌めく幾多の星々 ~Faint light that the back [Side:A]~
[Side:A] アウルム側
[Side:c] シエル側
として話が展開されます。
一応、それに頼らないよう、判りやすい様に話も書いていきたいと思います m(__)m
【<アウルム>医務室】
ファナンの療養のためプルメアへと後退することとなった
慌ただしく器材や人員の移動が行われる
ファナンを収容した医療カプセルは慎重に運ばれた
各部隊の兵達が心配そうに見守る中、カプセルは医務室へ運び込まれる
「ファナンさんの医療カプセル、移送完了しました」
「ありがとう。あとは俺達で引継ぎしよう」
「判りました。では」
移送を手伝ってくれた兵達を下がらせる
ファナンの状態はお世辞にも良いとは言えなかった
外傷性ショックから来る意識の消失、更に失血量も多かった
そして未知の感染症・・・
しかし、これらはまだ何とかなる。エマはそう考えており、実際にそれに向けて処置を進めている
が、それ以上に心配なのは四肢、とくに左腕と両足である
治癒装置による処置は行われているものの、腕の機能が完全に復活するかは判らない
両足についでも、開放骨折・・・折れた骨が神経を傷つけていないことを祈るしかなかった
「エマ、後を頼んだ。・・・ファナンのこと、任せる」
「あいよぅ、任されたよ」
「艦長、ユズハ、後はよろしく頼む」
「ザラート隊長、後はお任せください」
「大丈夫ですよ、プルメアまで必ず」
ザラートはコーデリア達に後を任せ艦を後にする
「・・・まさか、こんな事になっていたとは」
「さすがにこうなるとは予想できなかったからねぇ・・・」
「一体、何があったのですか?ファナンさんは戦艦内だったのでは?」
「相手の装備はうちらの想定を遥かに超えてたからねぇ。まぁ、説明すると・・・」
ユズハの疑問も尤もだった
<アウルム>もだが<シエル>の防御力を超える攻撃など普通は考えられなかった
そんな中、ファナンが重体となり、急遽本国へと戻ることとなり、ユズハの思考は追いつかなくて当然であった
エマは先の戦闘で、直接"艦内"へと攻撃する術を持つ相手のことを説明する
そして、爆発に巻き込まれたこと
ファナンの容体を・・・
「・・・そういうことだったのですか」
コーデリアとユズハは共に沈痛な表情を浮かべる
「なかなか、厄介な相手ですね・・・。隊長が斬り込まなければ皆さんは・・・」
「ホントだねぇ、ザラートの機転が無ければ、艦は無事でもうちらはここに居なかっただろうねぇ」
「・・・その物質転送を行う敵艦は、近接戦が苦手なんですね」
「ユズハは洞察力に優れてるねぇ、ザラートたちも同じことを言ってた。たぶん突破口はそこ、だろうと」
「そうなりますと、同じような人型兵器がもう少し、または囮になる部隊が欲しいですね」
「それか艦を分けないといけない状況を作り出すか、ですね」
「とはいえ、どちらにしても準備が・・・人型兵器はそう簡単に手に入りませんからね」
「なんとか量産化のめどが立てばだけど。まぁ、難しいと言わざるを得ないねぇ」
さすが、艦長とそれを補佐する副官である。先ほどの説明で最適解を出していた
「敵艦への対応はこれぐらいにして、ファナンさんの容体が心配ですね」
「ですね・・・」
コーデリアとユズハは医療カプセル内のファナンに視線を移す
治療は引き続き継続されているが、痛々しい姿に変わりは無かった
「可哀想に・・・意識が戻れば一先ず、でしょうか」
「それに、腕と足、あと体の傷跡、残らなければいいんですけどね」
「幸い脳にダメージは無かったから、いずれ意識は戻ると思う。傷跡は出来る限り残らないように最善は尽くすよ」
しかし、想像以上にダメージの大きい左腕と両足に関しては、正直なところエマも予想が付かなかった
(最悪の事態になったとしても、ザラートがファナンを見捨てるなんてことしないだろうけど・・・なんとか、出来る限りはしてあげたいねぇ・・・)
「艦長、ここに居らっしゃいましたか」
「どうしましたか?」
艦のクルーが艦長を探していた
「はっ、先の戦闘で航行不能となっている敵補給艦の近くを航行することになりますが・・・確認に部隊を出しますか?」
「ファナンの件もありますが、敵の情報を集めるのも大事と思います。ユズハ、意見はありますか?」
「私も艦長に同感です。荷を改めておく必要はあるかと」
「ファナンの容体は安定してるから、猶予はあるねぇ。問題ないと思うよ」
「判りました、では敵補給艦の確認を。あまり時間を取りたくはありませんから、出来る限り人員を割きましょう」
「了解しました。人員の選定を進め、確認に向かわせます」
「こちらも支援に人を出すよ、トビィをリーダーに数名、連れていってもらったらいいよ」
「ありがとう、エマさん。では各自、準備を」
先の戦闘で指揮系統を失い漂流する帝国軍の補給艦[ヨーク]は戦闘能力を喪失し、遺棄されていた
[ヨーク]に横付けし、艦の調査を開始する
「しかし、見事なものですね」
「さすが隊長ですね」
<アウルム>指揮所から見える、[ヨーク]艦橋
そこにはぽっかりと大穴が開いていた
ザラートの<グロリアス>が放ったビームの一撃は見事に艦橋部を撃ちぬき、文字通り「一撃」で無力化させたのだった
「さすがに艦同士の打ち合いでこのような結果は出ませんね」
「当たればただではすみませんから。艦の拿捕などを考慮した場合、人型兵器による制圧はますます現実味を帯びます」
「しかし・・・補給艦というよりか、これは」
「"工作艦"ですね。このような艦が多数配備されると、補給線を突くという戦い方は難しいでしょうね」
実際、今回の作戦の中に
「惑星エルメディアを掌握することで敵艦隊の補給基地を抑え、敵艦の行動を阻害する」
という目的があった
が、帝国軍の兵站能力は連合軍の予想を遥かに上回るものだった
「今回の調査結果、軍司令部には詳細に上げないといけませんね・・・」
「はい、艦長」
艦長は、敵艦を眺めつつ、これからの行く末を思案する
「連合か、帝国か・・・これからはどちらが先に人型兵器を量産できるかの勝負になるかもしれませんね・・・」
艦長の心配は、これからの戦いの行く末を左右する問題
どうなるかは神のみぞ知る




