宇宙から降り立つもの ~最深部で待つモノ~
【偽装戦艦・構造体内部】
「・・・死んでるねぇ」
エマがそういって足元に転がる帝国軍兵士を調べる
俺も続いて亡骸を調べる
「・・・頭部を一撃で撃ちぬいてる。相当な手練れだな」
「こっちは高温で一気に蒸し焼きにされた感じだねぇ。乗り気はしないけど、他も調べるかい?」
「やめておこう、何か嫌な予感がする」
・・・口にこそ出してはいないが、おそらくこの先で戦闘が続いているはず
踏み込むべきか撤退すべきかと思案している時
『ドグォ!!』
「!!」
奥から激しい爆発音とここにまで生暖かい風が吹き込んでくる
「奥で戦闘が!」
「隊長、どうする?」
ルルベルとアエルがすぐに確認してくる、正直この状況で先に進むのは無謀であるが・・・
「・・・行くぞ!ただし危険と判断した場合は撤退すること!」
「了解!」
俺を先頭にさらに最深部目指し通路を走り抜ける
時折聞こえる爆発音が確実に大きく、そして身体に直接振動を感じるほど近づいた
そしてたどり着いた先は
「なっ?!」
今までの未整備な通路と異なり、そこはとてつもなく広い空間、そしてその中心には・・・
「ほへぇ・・・隕石そのものが戦艦、ではなく、その中に「戦艦」があるとはねぇ」
エマも感心している。そう、そこには一隻の「戦艦」が駐機されていた
我々連合軍、敵である帝国軍にはまずない丸みを帯びたデザイン
そして全体は汚れ一つ見当たらない純白の機体
明らかに戦艦とは思えない、が、そう思っていてもそこにある威圧感は間違いなく「戦艦」
完成された美しさとでもいうべき「芸術品」がそこにはあった
そしてその戦艦の前では戦闘が継続している
(帝国軍は・・・何と戦っているんだ?!)
かなり離れた場所から様子を伺うが、閃光や爆発が見えるだけで戦闘の詳細は判らない
何かと戦っていることは確かだが・・・一体何と・・・
その時、ザラートの眼前にいつか現れた「女性」が突然現れる
(!?)
「あな・・我々の望むきぼ・・・・わたし、彼女を助け・・・・」
そして眼前で一際大きい爆発が起きる
大きな爆発の後、一瞬、視界を遮っていたものがすべて吹き飛び、帝国軍と相まみえているモノが見える
「くっ・・・!そりゃそうだよな!!」
そう、そこには何度も現れていた女性ともう1人の女性が居た
現状、これだけの数相手に引けを取らない彼女らの戦闘能力は未知であるし、味方である保証もない
加勢すべきか、思案をめぐらせていると帝国軍に動きがあった
そう、おそらくこのために用意されたのだろう「新兵器」が投入されていた
「・・・急げ!バイオウェポン起動、目標は目前の2名!」
「ターゲットセット、バイオウェポン起動します!」
「実戦投入は初だが、どれほどのもの・・・」
帝国軍のやり取りを聞きながら帝国軍の「バイオウェポン」を観察する
「何かしらの実験体、生命体のようだねぇ・・・帝国もなかなか、いけ好かないことをしてくれるねぇ」
「エマ、あれをどう見る・・・?」
「そうだねぇ、ターゲットを視認させての攻撃。知能は単調。となると、パワータイプかねぇ」
「となると、分の悪い戦いになりそう・・・むっ?!」
バイオウェポンに目掛けもう1人の女性が大きな箱状の武器を構える
「ちょっと、アレって・・・!」
「エマ、あまり声を出すな、気づかれる!」
筒状の武器から発射された2発の弾丸は精確に相手を捉え、着弾と同時に
「ドグォ!!」
先の大きな爆発音はコレであった
対象に着弾と同時に炸裂、そして超高温の成形炸薬による浸透二重攻撃
こちらの「世界」では存在しない兵器
これに耐えられるモノはいない、そう「いない」はずだった
・・・それを喰らったバイオウェポンは表面こそ焼け爛れているものの、活動は止まっていなかった