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ウィーケスト・アーミー  作者: 神楽阪 舞
第1章 「はじまり」の出会い
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宇宙から降り立つもの ~老兵の背負う業~

「アエル=ウィナーです」

「ルルベルです」

そう2名の少女は見事な敬礼と共に名を名乗った

2人ともどう見ても戦闘に向いている感じではない、華奢すぎる


アエルと名乗った子は16、7歳だろう

青色のショートボブ、黒い瞳、いかにも学生といった面持ちだ


ルルベルと名乗った子はアエルよりさらに1~2歳は若いだろう

銀色のショートヘア、そして目だつのはその瞳

青と赤のオッドアイ


そして2人に共通する点

それは、明らかに戦場には似つかない体格だ

恐らく訓練はされているだろうが、銃などろくに扱えないのでないだろうか

・・・これでも一部隊を率いていた身、隊員のことは一目見ればだいたい判るくらいの見識は積んできたつもりだ


「ま、まてまて。どう見ても子供じゃないか」

「まぁ、そういう反応になるよねぇ」

エマはやれやれ、という反応を見せるが、当の2名はまたか、といった感じの表情だ

「やっぱり、あなたも私たちを兵士と認めては頂けないのですね」

「いや、そうじゃないんだがな。さすがに良心が痛む」

「戦争に良心なんて」

「アエルに同じ。心外です」

2名にそういわれる方がダメージが大きいな・・・

「まぁ、指令書もあるんだし、ザラート君もあきらめようじゃない」

「仕方ない・・・まぁ、相手を欺くにはちょうどいい、と切り替えるか」

「何かトゲのある言い方に聞こえなくはないですが、宜しくお願いします」

「よろしくお願いします」

「ああ、よろしく頼む。が、作戦指令には4名とあるが、あと1名は」

「私がいくよぅ。研究者に戦闘は無理だけどねぇ」

「まじか・・・」


エマは力こぶを作ろうとしているが、なにも出てこない。さすが研究者・・・だな

-----------

・・

・・・

ある意味衝撃的な補充人員を目の当たりにし、本日のミーティングは打ち上げとなった

明日改めて作戦を詰める必要がある

俺は指令書に添付されている3名のデータをチェックしている


【アエル=ウィナー】

所属:連合惑星軍 新兵

年齢:16

軍歴:なし


【ルルベル】

所属:連合惑星軍 新兵

年齢:15

軍歴:なし


【エマ=カールトン】

所属:連合惑星生体研究チーム 技術主任

年齢:21

軍歴:惑星連合軍 エルメディア派星軍 従軍


3名とも実戦経験はなし、と

エマは研究員なので当然だな・・・

しかし、これで敵と遭遇した場合、どうなるか

実戦経験のあるなしは戦闘になったときに現れる

シミュレーションとは何もかも違う、そんな中で生き残ることはまず不可能

・・・俺が背負う業は深そうだ

指令書に自らのメモを追加する


⑤派遣された人員を全員生還させること


これ以上、部下を死なせる訳にはいかないからな

あとは・・・


-----------

「これより、作戦内容の精査を行う」

『了解であります』

少人数で簡単ではあるが作戦会議が始まった


・今回は隕石に偽装された戦艦と思われる物質の調査を行う

・「調査」目的とした作戦のため各員の服装は研究員に準ずるもの

・携行する武具は殺傷能力の低い、スタンスティック、スタンガン、パラライズガンとする

・帝国軍も人員を投入して来る事が想定されるが、戦闘は極力回避する

・作戦続行が難しいと判断される場合、各々の判断で「撤退」する

・全員「生還」する


「以上6点を重要項目として通達、順守されたい」

「ザラート隊長、一点よろしいでしょうか」

アエルが挙手し質問してくる

「作戦続行が困難な場合は撤退、ならびに全員生還とありますが、作戦遂行に犠牲はつきものではないでしょうか」

「アエルのいうことは尤もだ、だが今回の目的は「戦闘」ではなく「調査」と割り切ってほしい」

「ですが」

「・・・本音を言わせてもらうと、君たちには死んで欲しくない。軍人がこんな個人の意見を挟むのはあってはならない、軍法会議モノであることは重々承知している。が、あくまで「調査」だ。そう考えてほしい」


そう、俺は昨晩から考えた結果、軍事行動ではない「調査」であれば無理に軍隊方式を取らなくていいのではないか、と考えた。

軍事行動ではない、そうであれば無理に従う必要もない、指令書にも「調査」と記載があるのだ

正式な書類でそう謳っているのであれば利用してやる価値はある、そう考えたのだ


「・・・わかりました、隊長の意見に従います」

・・・当の本人はあまり納得していないようだが、未来ある若者は生きてほしい


「他に質問が無ければ2時間後作戦を開始する!」

『了解!』

新造チームではあるが、俺たちの初陣だ


ザラート「エマは21だったのか、てっきり20後半かと」

エマ「ほほぅ・・・それはどういう意味かねぇ・・・?」

ザラート「いや、決して悪意があってではなくて」

エマ「ふふふ・・・これは色々と<お説教>が必要な様だねぇ?!」

ザラート「ちょ・・・やめ・・・アッー?!」



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