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ウィーケスト・アーミー  作者: 神楽阪 舞
第3章 すべてにつながる「真実」
35/140

蒼よりも深き崩国 ~Menschheit hat es begangen Tabu~

エイミーから語られる、ファナンの生い立ち

エイミーから語られる、一つの惑星が滅びる話

それは遠くない未来、俺たちの世界でも起こりうることではないのか・・・


「・・・さすがにこの話は俺たちだけで留めておくわけにはいかない、だろうな」

「はい。・・・機会が訪れれば、お話しなければならないかと」

「わかった。あとは、君たちの事を聞いておかなければ・・・」

「判りました。この記録映像は、先の『焔の6日間』と呼ばれる災厄の後の話になります」


-----------

焔の6日間の後、辛うじて生き残った者たちは地表での生活を諦め、地底深くへとその棲み処を移した

しかし、そこで待っていたのは静かに迫ってくる死への恐怖だった


先の国連軍に所属していた国家は集中的に攻撃を受けていた

・・・それは地下に逃げ込んだ者たちへも同等に

執拗な攻撃は地底深くにまで及び、逃げのびた者たちを一方的に蹂躙していった


ここ、最初に攻撃を受けた「ここ」だけは何故かそういった攻撃を受けることは無く

人類の最後の「希望」が集う場所となっていた


しかし、その「希望」も同じ人間に踏みにじられていく事となったのである・・・


・・

・・・

「ふぅ・・・もうここもそんなに長くは持ちそうにないわね」

「そんな!望月主任、皆諦めずにここまでやってきたじゃないですか?!」

「・・・そうね、ごめんなさい」

(他の皆は無事に旅立つことはできたかしらね・・・貴方もいずれは・・・)


「望月主任。君の研究もこれまで、ということだろうか」

「残念ながら、我々の研究で得た物は未来を切り拓くには力及ばずのようです」

「そうか・・・やはりどうにもならないか・・・」

「申し訳ありません、所長・・・」

「ふん、これだから研究者というのは困る!責任もって取り組んでもらわなければ困るんだよ!?」

「そ、そうは言っても!この状況ではどうにもならないではないですか!」

「なんだね小林君その態度は!そもそも君たちがちゃんと研究を進めないからじゃないのか?!」

「ええい、全員黙れ!・・・もはやこの戦争に大儀は無く、我々はもう消えていく運命なのだよ!」


「望月主任、かなり疲れてるね・・・大丈夫かい」

「ありがとう。君だけだね、私を気遣ってくれるのは」

「そんな、主任はしっかりと私たち生き残りのために色々やってくれたじゃないですか!」

「うふふ、ほんと、君は優しいね・・・でも、私たちは作ってはいけないものを創り上げてしまったの」

「それは・・・」

「発達しすぎた科学は、ほんと恐ろしいわね。・・・そう、これは神罰、我々は報いを受けなければならないのかもしれないわね」

「・・・」


「望月主任!君たちは一体何を・・・これは何をやっていたんだ!!」

「・・・もはや、私たちに遺された時間は多くありません。せめて、せめて私たちが生きていた「証」だけでも・・・」

「くそっ・・・君までおかしくなったか!?・・・創ってはならぬものを我々はっ!!この忌まわしい科学の力がなければこんな”有機生命体”など・・・!望月主任、ならびに小林「詠美」!君たちはこれからの研究に一切関与するな!これは命令だっ!!」


「・・・ふぅ」

「・・・これで最後の射出ユニットになります。他のユニットの信号は途絶しています」

「・・・そう。せめて、平和なところで、私たちの「証」が芽吹くことを祈りましょう・・・これが、せめて最期の希望、そう、希望となれば・・・」

「大丈夫ですよ、主任が開発した優秀な”有機生命体”をつけているんです、大丈夫ですよ!」

「ふふ、そうね・・・さぁ、あとはばれないように射出に紛れ込ませるだけ・・・」


「・・・も、望月主任?!」

「・・・はぁ、はぁ・・・もう私は、ううん、やりきったよね?みんなの役に、立てたかな・・・?」

「そ、そんな・・・なぜ?だ、誰が・・・!」

「・・・そんな悲しい顔をしないで、君は、いつも通り笑顔で・・・それより、あのユニットの射出を・・・お願い」

「もう、もう喋らないでください・・・!」

「・・・あれは・・・願わくば、我々の・・・唯一の【罪滅ぼし(きぼう)】・・・私と、君の・・・」

「主任・・(のぞみ)さん・・・」

「えへへ・・・最後に名前で呼んでくれた、ね・・・ありがとう・・・(のぞみ)くん」


・・・いってらっしゃい、私たちの最後の「希望」・・・そして、ごめんなさい・・・私は、も、う・・・


-----------

エイミーはそっと、記録映像を映し出していた端末を閉じる


「その時のユニットに組み込まれていたのが・・・」

「はい。主任と、その主任に命を救われた青年の遺伝子から創られた、それがファナンです」

「そして、君は・・・」

「はい。望月主任と小林研究員が最後に開発した有機生命体、それが私です」


そうだったのか・・・

「・・・思うところは多々あるが、ありがとう、色々と聞けて助かった」

「いいえ、むしろザラートに負担をかけただけでないかと・・・」

「大丈夫。安心しろ、お前たちだけに業を背負わせない、俺も一緒に背負ってやる」

「ザラート・・・」

「今は互いに背中を預けて戦える『仲間』だろ?」

「・・・そうでしたね。ありがとう、ザラート。やっぱり貴方を選んでよかった」

「さぁ、会議も始まるし戻るぞ」

「はい」


エイミーは心底、この人を、ザラートを選んでよかったと思った


・・・自分の気持ちに芽生える不思議な感情に気付かぬまま

・・・創られた者が抱くこの不思議な気持ちは、願いを託した人間(エイミ)のものなのだろうか


Menschheit hat es begangen Tabu : 人類が犯した禁忌


※この作品はあくまでフィクションですので、現実世界に何ら(ry


まぁ、そうなりますよねーって展開でしたね


・・・学校の授業の合間に思い描いてた構想とは言えない(さぼり魔)

え、テストに響かなかったって? (∩゜д゜)アーアーきこえなーい

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