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ウィーケスト・アーミー  作者: 神楽阪 舞
第3章 すべてにつながる「真実」
34/140

蒼よりも深き崩国 ~Geheimnis gelüftet~

エイミーから伝えられる衝撃の事実

そして話はさらに・・・

・・・「彼女、ファナンに両親は存在しません。あの子は実験の過程で”生まれた”子供です」

・・・「そして、私も。私はファナンを『護る』ために作られた”有機生命体”です」


エイミーが口に出した真実は、ある意味予想できていたこと、と同時に

受け入れがたい事実、でもあった

「・・・だろうな。ファナンに両親が居ないこと。『ずっと』エイミーと共にしてきたとファナンが言ったこと。そしてファナンとエイミーの・・・。疑問を重ね合わせるとそれしか解答はない・・・そう、ないんだ」

ふぅ、と天井を見上げる


ファナンは立派な成人、そのファナンを幼少期からずっと支えていたというエイミーの年齢

そう思うと不自然なぐらいに若作りなエイミーに疑問を持つのは当然だった

そして時折見せるあまりに整然としすぎた言動

ここまで完璧な、そう完璧すぎる人間は存在しない


それらのピースが重なっていくうちに、感じていた違和感は、確信に変わっていった


「すいません、本当ならば一番初めに説明しておくべき事だったと思います」

「いや。それはそれで不味いことになっていた。このタイミングで良かったと思う」

「はい、そう言っていただけると助かります」

「しかし、そうなると、君のエイミーという名前は」

「はい。エイミーとは略称で、正式な名称は『Eliminate-Integral-Mission-Machinery』です」

「『邪魔な存在を除去するための機械生命体』っていう訳か・・・」

「はい。私はファナンを護り、育てるようにと指示されていますので」

「あとは、ファナンは・・・実験の過程ということは」

「はい。ファナンは「地球」と呼ばれる惑星の人類の生き残り、そこから人為的に生み出された生命体です」

「地球・・・人為的な生命体・・・」


「はい。貴方方からすれば、何万、いえ何億光年も離れた場所に”あった”惑星です」


生命の営みを経ることなく、生命を誕生させることができる科学力・・・

そうか、なら、あの治癒装置の性能にも納得が出来る

「あった、という事は・・・もう存在していない、のか?」

「正確には『生命体が生活できない』死の星と成り果ててしまったのです」

「・・・一体何が?」

「まだ時間はありますね・・・ザラートには説明したほうがいいと考えます。私たちが居た地球について」

-----------

それはとあるテロ事件が切欠となった出来事

とある一国で発生した、国家を揺るがす大規模テロ


その時、テロリストが一国の防衛システムをコンピューターウイルスで無効化したとき、破滅への引き金は引かれたのだった


「我々の大儀はこの国の解放にある!憎き国民第一主義が権力を・・・」

テロリストの勝ち誇った演説がTVに、ラジオに、ネットにと、あらゆる情報手段をもって伝えられる中

突如、この国が保有する機械戦力が人類に対して牙を剝いたのである

・・・それは人類の驕りだったのか、はたまた機械文明が自我を確立した瞬間だったのか、

この日を皮切りに、人類と機械生命体・・・放たれてはならない殺戮兵器との戦いが始まったのである


テロリストが一国を支配した翌日、各国列強は殺戮兵器の存在を認めず、この出来事を静観する構えを見せていた

認めること、すなわちそれはこの国への関与を認めることとなり、テロリスト蜂起の原因を作ったと暗に認めることにつながったからである


この初動の遅さがこの一戦の勝敗を決したと断言していいだろう

唯一の反撃の機会を、各国列強・・・いや、人類は見逃したのだ


3日目にして事態が急変する

テロリストに掌握された国家が文字通り「消滅」したのだった

首謀者自らの功績として勝ち誇り、ずっと続いていた演説放送が突然途絶えたのだ

各国列強、とりわけ隣接する国家はすぐに偵察機を飛ばすが、時すでに遅し

偵察機はすぐに撃墜され、はるか上空にある偵察衛星すら破壊されていった


ここに来て各国列強は国連(国際連合)にて非常事態宣言を採択、世界に緊張が走った

国連軍として編成された各国の精強な部隊は進軍を開始、ここに戦闘が始まった

が、先の通り、すべては遅かったのであった


4日目、人類にとって悪夢となる一日が始まった


【某国・某都市】

アジアと呼ばれる資本主義連合国家が治めるこの地域は今回の戦争から一番離れていたため、多少の緊張感はあったものの、国民生活に影響は与えるものは一切なかった

無機質に立ち並ぶビル群

その間を多くの民衆が所狭しと活動してる

ビル群から遠くに見える場所では人々の生活が見て取れる


そんな人々の生活が見える平和な街で


「・・・?あれは・・・?」

一人の男性がビル街で上空を見上げる

そこには見慣れない形をした飛行機が飛んでいた


「ねーねー、先生。あの飛行機は何ー?」

「んー、なんでしょうねぇ・・・見た事ない形をしていますね」

屋外授業でスケッチをしていた学生が時を同じくして飛行機を目撃する


「本日の天気をライブカメラから・・・と、なんでしょうね、見慣れない、これは飛行機でしょうか?」

昼前のニュース番組も目撃する


その「漆黒」の飛行物体・・・後に「無慈悲なる鉄騎兵(エンジェルハイロウ)」と呼ばれるそれが光を発したと思った瞬間、


音もなくすべてを光が包み込む

無音の白い光だけが広がる世界

・・・その正体は、人類のおおよそ見当もつかない、一点に集中した破壊の力

その威力は大気をも吹き飛ばし、真空状態となったその場で「音」が伝わることはなく

静かに破壊の光だけが広がっていく・・・

この瞬間、アジアの一つの都市・・・いや「国家」が一瞬で消滅したのであった


・・・唯一の救いはこの国家の国民は何の苦痛も感じずに逝くことができたこと、だろうか


この出来事をきっかけに、同様に消滅する国家が後を絶たなかった

爆心地となった場所では、地表はおろか、海水までもが完全に「消滅」し、周りからおびただしい量の海水が流れ込んでいた

そして放たれた衝撃波の威力はすさまじく、このアジアを見ると、最初の一撃の余波は海を隔てた半島を、そして大陸をも飲み込み、壊滅的な破壊の嵐が吹き荒れていた

なぎ倒されるビル群、吹き飛ぶ山々

衝撃波だけで周囲数千キロに及ぶ広範囲の国々に被害を出した


5日目

すべての元凶である一国に集中した国連軍は進攻を開始

各国で行われている破壊行為を止めるべくあゆみを進めた


その時


国連軍は跡形もなく「消滅」したのであった


・・・使われたのは特殊な「核融合弾頭」であったことが後の調査で確認された

が、この出来事は各国に伝わることは無かった


6日目

・・・もはや、地上に残る国家は一つも「残存」していなかったのである


後に「焔の6日間」と呼ばれる事となるこの出来事で、地表はすべて核融合弾によって焼き尽くされ

有機生命体が生存できない世界へと変え果ててしまった

生き残った人類(ニンゲン)も限られた水や食料を奪い合う醜い戦争を続け


そして絶滅した


-----------

・・・

「これが私たち、地球で起こった戦争の顛末です」

「・・・悲しすぎるな。まさかっ?!いや・・・そうなると不味いことになる」

「どうしましたか?」

「すまない、これは俺の推測でしかないのだが・・・最初に君たちも相対した「バイオウェポン」

・・・あれはもしかしたら「君たち」の科学力、存在があったから生まれたのではないか、と」

「・・・っ!その考えには至りませんでした・・・」


バイオウェポンは生命体から生命体を「創り出す」技術が

機械兵士、謎の新鋭戦艦はエンジェルハイロウと呼ばれる殺戮兵器の技術が用いられてるとすれば・・・

この考えは、あまり考えたくはないが、すっと繋がるのではないだろうか・・・?


「いや、直接君たちが関与したとは思っていない。ただ、先の話からすると・・・脱出できた一部の者たちが『先に』、『帝国に』たどり着いていた、としたらどうだろうか?」

「可能性として・・・ありえない話ではない、と考えられます」


・・・バイオウェポン、機械兵士、謎の新鋭戦艦

それぞれのパーツが頭の中でどんどん組み上がっていく、そんな感じがした

Geheimnis gelüftet : 秘密が明らかになる


※この作品はあくまでフィクションですので、現実世界に何ら関係はありません


最初に起きたテロは今でいう南米あたりでしょうか

アジアで消滅した国は・・・うん、言うまでもないですね(´・ω・)

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