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ウィーケスト・アーミー  作者: 神楽阪 舞
第2章 それぞれの「意思」と「遺志」
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#先の見えぬ戦い ~Sister like relationship[2]~

悪だくみが実を結びだす第2話です


ルルベルとエイミーが何やら悪巧みをしようと動きを初めて数日が経過した

ザラートの手元に1通のメールが届く

「部隊全体への休暇、か」

そこにはプルメア一と名高いリゾート地である[デニーパラディ]への保養を命ずると書かれたメールが届いていた。送り主は連合司令部・・・

「戦時中だが、まぁ、部隊の慰労も立派な作戦命令だしな・・・」

突然決まった保養命令に従い、我々13隊はデニーパラディへ移動を開始した


デニーパラディ

プルメア一のリゾート地として、その名はこの星系すべてに広まっていた

開戦前は人々で賑わっていたこの地は、今では人気も疎らとなり、主に軍の療養地として活用されていた

ある意味、軍が現地の経済を支えているともいえる状況であるため、現地からは軍の駐留はやむなし、という感じで迎え入れられていた


「今回は我々の保養ということで駐留することとなった、くれぐれも住民とトラブルにはならぬよう、各員、行動には責任を持つように!と、堅苦しい挨拶はここまでにしよう。せっかくの保養だ、みんな目一杯羽根を伸ばしてくれ!では、解散とする!」

各員に笑顔が零れる

なんだかんだで皆も年頃の女性だ、こういった保養はとても嬉しいのだろう


「はぁ~・・・これ全部が海ですか・・・すごく綺麗です」

そう言ってポカンとした表情で海を眺めるのはミリィ

「そういえば、ミリィは海を見るのも初めてでしたね」

「はい。森育ちの我々にしてみれば、ほんと貴重な体験になります!」

ミリィに限らず、他のワーウルフ達も耳や尻尾がせわしなく揺れている。興味津々である

「せっかくですし、ザラートも一緒に海行きませんか?ミリィも初めてで興味あるようですし!」

ミリィを抱きかかえてファナンが言う・・・抱きかかえるこの状況もいつの間にか当たり前になったな

「そうだな、俺も久々の休暇、楽しませてもらおうかな・・・」

「では私たちも着替えてそちらに行きますね!」

アエル達も海で遊ぶことにしたようだ

(みんな、ご協力感謝・・・!では手筈どおりに・・・)

(うん、エマさんもありがとね!)

(なかなか面白い事を思いつくねぇ、でも楽しそうだし、ここは協力するよぅ)

(エマさんのご協力なくしてこの保養命令はありませんでしたから、ありがとうございます)

エイミーはこの日のために、エマを経由し上層部へ申請を行い、申請は受理されたのであった

「さー、楽しむよ~!」

『おー!』


-----------

一足先に着替えを済ませ、ビーチで寛いでいると

「おまたせ~!」

始めに来たのはルルベルだった

ダークグリーンのワンピースタイプの水着にパレオを巻いている

「んふふ、どうかなー?セクシーでしょ?」

うん、控えめな体形、これはこれで良いという者も居るのだろう。本人に言えないが

「ルルベル、あまり隊長を困らせないように」

「だねぇ、コメントに悩んでるじゃないか」

「ぐぬぬ・・・遠まわしに貧相って言ってるようなもんじゃないそれー!」

エイミーとエマがその後を追って来た

エイミーは黒を基調にしたビキニタイプ、エマは相変わらず白衣・・・のようなパーカーを着ている

「エマは相変わらず・・・研究者って感じの恰好だな」

「人様に見せびらかせるようなものは生憎持ち合わせていないからねぇ」

「同じく、私も自慢できるようなものはなにも」

「十分、エマもエイミーも綺麗だと思うけどなぁ~」

ルルベルの言う通り、エマエイミーも十分綺麗とは思うのだが。特にエマは自分を卑下にするきらいがあるな

「ぉぉぉ・・・これが水着・・・そして海!砂浜っ!!」

ミリィは感動に身を震わせていた。そして違うところも震えていた

「むぐぐ・・・以外なところに伏兵が!」

「ほぅ~・・・これはこれは、なかなか」

ルルベルとエマは違うところで感動していた。ルルベル、がんばれ・・・

「ううぅ、あまりじろじろ見ないで、くださいね・・・」

最後にファナンが来て・・・


『・・・』

全員、絶句


「うぅ、皆さんスタイル良い・・・ぽっちゃりだから、恥ずかしいです」

「それは私に対する当てつけかなぁ??」

ルルベルが怨念の籠った眼差しでファナンを見据える

「ファナン、この場合その発言は皆さんを敵に回しますよ」

「だねぇ。その胸で言われてもねぇ」

「うーん、いつも大きいとは思っていましたが、こう見ますと・・・すごい」

「私たちの種族も大きい方とは思っていましたが・・・人間にもこのような方が」

「ええぇ?!」

皆が言うこともごもっとも。

着ているのは青のビキニだろうか、体形を気にしてか羽織っている薄手のシャツに透けて写っている

そしてその上着を押し上げている、豊満な胸

「ぅぅ・・・ザラート?」

「あ、ああ。まぁ気にすることはないんじゃないか?人それぞれだからな!」

つい見惚れてしまった

それに気づいてか、ルルベルはニヤリと笑う

(なるほどなるほど、これはからかい甲斐がありそうだねー)

「と、とりあえず!準備して海を楽しもう!!」

『おーっ!』


-----------

俺たちはビーチで思い思いに楽しんだ

ビーチバレーではアエルとエマが予想を裏切る大活躍を見せたり

スイカ割りではエイミーがまるで目が見えてるかのように必中の技を見せたり

沖合で足を攣らせて溺れそうになるルルベルが居たり

浮き輪でぷかぷかと浮かぶことに楽しみを見出したミリィが居たり


「皆さん、とても楽しそうですね」

「だな、ファナンも楽しんでるか?」

「はい!もともと体を動かすのは大好きですから!それに、実は海で遊ぶのは初めてだったので」

「そうなのか?」

「はい。プールはありましたけど、海はほんと初めてで。本当にしょっぱいんだなーと」

「そっか、じゃあ今日は本当によかったな」

「はい!とても嬉しいですし、楽しいです」

ファナンは心底、本当に楽しいというのが判るくらい、満面の笑みを浮かべていた

「(それにザラートと一緒というのも嬉しいですから)」

「ん、どうした?」

「う、ううん?!な、なんでもないよ?」

「そうか?それならいいけど・・・っ?!」

ファナンの後ろに不審な影を見つけたと同時に、ファナンも後ろに何かを感じ咄嗟に身をよじる、が

「っ?!な、何・・・?!」

反応に一拍遅れたファナンの顔色が一気に青ざめる

「ど、どうした?!け、怪我でもしたのか!」

「そ、そうじゃない・・・そうじゃないんだけど」

様子がおかしいファナンを自分の方に引き寄せる

「ざ、ザラート・・・?」

「大丈夫、守ってやる」

近くにあった岩場の影に隠れ、不審な影の正体を探る

動きから、魚ではない感じだったが、一体・・・

「・・・うん、でもね。今は」

「今は?」

「・・・トップの紐、切れちゃったみたい。その、ずれちゃうから・・・」

・・・視線をずらすと、胸が今にも零れてしまいそうになっていた

「あぅぅ・・・見ちゃヤダ」

「ご、ごめん」

慌てて視線を逸らし、周りを伺う

人、にしてはシルエットが異常だった、一体何が居るんだろうか


しばらく回りを伺うが、何もいない

今なら戻れる、そう思い泳ぎだそうとした瞬間、下からそれはいきなり浮かび上がってきた

「っ?!」

「ひゃっ?!」

突然のことに驚き、ファナンが大きく身を乗り出す

咄嗟に俺はファナンを庇うように引き戻す

「きゃっ?!」

ふにゅん

や、柔らかっ・・・けどっ!今は気にしていられない!


俺とファナンの目の前に黒い鋭利な棒状のものを構えた黒い人のよう・・・な?いや?よく見るとそれは


「あはははっ!なーにしてるのかなぁ2人でイチャイチャと~?」

「うふふ、驚きましたか?」

「なぁ?!アエルにルルベル?!」

そこには、どこで調達したのか判らないが、ゴーグルを着け、銛と海藻を頭からかぶった得体のしれない「何か」になっているルルベルと、青の・・・ファナンから外れた水着を持ったアエルがそこには居た


「あぅ・・・ザラート、その、手・・・」

「・・・ぁ!ご、ごめんっ!!」

顔を真っ赤にし、今にも消え入りそうな声でファナンが告げる

慌ててファナンの胸から手をどける

咄嗟の事とはいえ、申し訳ない・・・

「私たちはお邪魔だったでしょうか」

「だねー、お2人はお楽しみだったようで~?」

わざとらしい悪戯っぽい笑みを浮かべながら、ルルベルはさらに

「ザラートもファナンのお胸が見れて嬉しかったでしょ?まぁ、見るだけじゃなかったみたいだし~?」

「うぐっ?!」

「はぅぅ・・・」

先ほどの事を指摘され顔面を紅潮させる2人。それを見てルルベルはすかさず、

「ファナンもよかったね!愛しのザラートにがっちり守ってもらえて!」

「ひぅっ?!ルルベル?!」

「あはは!ザラートはムッツリさんだったけど、身を挺して守ろうとした姿はカッコよかったよー!っと、やっばい!にっげろー!!」

先の不審な影の正体はルルベルだった

持った銛でファナンの水着を引っ掛け外し、ザラートとくっつかせる作戦だったのだ

目論見通りに行き、銛を高く上げガッツポーズを取りつつ一目散に逃げた、まさに脱兎の如く

その逃げる姿は訓練の時以上に真剣で、そして泳ぎも異様に早いのが余計に腹立たしかった

「ったく、軍人としての自覚あるんだろうな・・・やってることが悪戯好きな子供じゃないか」

「あはは・・・でも皆さん悪気があった訳じゃないですよ。それに私は嬉しかったですよ?ザラート」

「ん?そうなのか?」

「はい。それに、守ってくれてかっこよかったですから」

「・・・そっか。と、とりあえず俺たちも戻ろうか、ファナン」

「はいっ!」

2人見合って笑みを浮かべ、寄り添いながら宿舎へと戻っていく

(2人が幸せになってくれるのが一番です、ね。・・・でもやっぱり、ちょっと羨ましい、かな)

アエルは2人が仲良く戻っていく姿を見送りながらそう思う

所謂「お約束」展開になる間話はこれにてお終い

次からは新章始まります


あ、そうでした

累計PVが1000突破しました


拙い小説ではありますが、見ていただける事に感謝しております

こんな作品ですが、きっちり書き上げて行こうと思いますのでどうぞよろしくお願いしますm(__)m

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