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ウィーケスト・アーミー  作者: 神楽阪 舞
第2章 それぞれの「意思」と「遺志」
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忍び寄る悪意 ~オペレーション・デッドプール~

連続投稿 ( ゜Д゜)⊃◆

ミリィたちワーウルフの熱烈な歓迎から数日が経ち

後方支援を行う俺たちの陣地に負傷した兵が来るようになった


俺たちはその光景を見て、否応なしに戦闘地域にいるという現実を思い知らされることとなった

日に日に、負傷した兵士の数は増え、また負傷の度合いも酷くなっていった


中には手当の甲斐も及ばず命を落とす者もいた

そんな彼らを隊員たちは、ワーウルフ達は一緒に悲しみ、弔ってくれた


そのような状態が続く中、ついに前線で作戦開始の知らせが入る

【オペレーション・デッドプール】

作戦の概要はこうだ

・現在部隊展開中のこの地域は「ダリア人」と呼ばれる、親帝国派の居住地域であり、今後の展開を考え、ダリア人を親連合国派にする必要がある

・帝国派の議会を占拠し要人を拘束。合わせて議会を制圧することで帝国派を失墜、連合派を擁立する

・帝国側の増援が来る可能性が大いにあるが、到着前に作戦を遂行、完了させる


議会開催のこの時期まで待ち、議会をプールに見立てた訳だ

成功すれば当地域を無血開城できるわけだ、やる価値は大いにあるだろう


なお、当作戦開始にあたり、周囲の防衛にあたっていた第9~12の各部隊は前線に移動、

守備は後方に下がっている負傷兵、司令直掩の精鋭部隊、そして我々13部隊、ワーウルフ隊である


(正直、このタイミングを敵が見逃すはずはない・・・正念場かもしれないな)


-----------

「いよいよ前線では新しい作戦が開始された!当然この場も戦場になることが予想される!

我々はこの日のために訓練を重ね、陣地を形成してきた!負ける要素はない!!各員奮励、努力せよ!」

『おおおお!』

幸い、我々の士気は高く、陣地構成も十分な時間と人員、資源を割くことができ、準備は万端整っていた。

この数日はこの時期には珍しく晴天が続いていた、しかしそれは相手にとっても進撃しやすい条件でもあった


「敵襲!敵襲!!」

歩哨から伝令が飛ぶ

時を置かずして、密林の中から銃声が聞こえる

どうやら戦闘が始まったようだ

「ザラート!敵襲!!」

「来たか・・・ワーウルフ達は後方に、無理はするな!!」

「判りました」

ミリィは即座に広場の中心で雄叫びを上げる

瞬間、ワーウルフ達はそれぞれ構築した陣地の影へと散開し、それぞれ貸与したPR-47を構える

ミリィを中心とした縄張り意識がこの陣形を容易く組むことにつながった


・・・「人狼輪形陣(ウルフパック)」と呼ばれるこの陣形は後に高い評価を受けることとなる


各々が陣地に配置についたと同時に、積み上げられた土嚢に、組まれた障害物に銃弾が食い込む

いよいよ、面前の密林から帝国兵の姿が見えてくる

「(まだだ、まだだ・・・もう少し引付けて・・・)・・・撃てっ!!」

俺の合図を皮切りに一斉に陣地から射撃が始まる

無数の弾丸が青白い軌道を描き、敵兵に吸い込まれていく

まとまった一斉射を受け、先陣を切った帝国兵はその場に崩れ落ちる

一瞬の出来事に対応しきれなかったものの、次の攻撃は帝国兵も体制を立て直し、じわりじわりと前進を進める

「各自自由射撃!敵の進行を食い止めるんだ!!」

時折、密林の奥深くから精確な射撃が赤黒い軌道を描き襲い掛かる

すぐ横の土嚢の上部をかすめる弾丸、時折後方から女性の呻き声が上がる

少なからず被害が出てきているようだ

「アエル!エイミー!木の上に狙撃兵がいる、狙えるか?!」

「やってみる・・・!」

「了解、敵を捕捉しました」

アエルとエイミーは敵狙撃兵を逆に狙撃し、撃ち落としていく

「くそっ・・・グレネードが使えないのが悔しい!」

ファナンはPR-47で接近してくる敵を撃ち倒していく

火焔焼夷弾がこの密林に引火しては、こちらへの被害も甚大となるため使用できない

そのため、慣れないライフルで敵を倒すことになっていた


「こちらエマ、負傷兵はこちらで面倒みるよぅ、無理せず下がって」

設置した治癒装置(リペアキット)で治療を行うエマ隊のおかげで現在のところこの攻撃での死者は出ていないようだ

そして、時折密林の中をすっと横切る影

そして帝国兵がその影が通ると同時に何名かなぎ倒される

さすが直掩部隊・・・その技術は味方で良かったと思わせるものだった


しかし、事態は悪くなる一方だった

構築した外周陣地はそれなりに消耗し、築き上げたバリケードは一部突破され、陣地の中腹まで食い破られていた

陣地内部には装甲車もあるため、車載重機関銃による援護射撃を行い、戦闘は一進一退を繰り返していた

また、中腹に差し掛かった帝国兵は一斉に周りから銃弾の雨を浴びることとなる


・・・ミリィ率いるワーウルフ達による一斉射撃だった

この攻撃は非常に効果的で、引き込まれた帝国兵はなすすべなく戦力を削ぐことになった


装甲車の重機関銃の弾丸が尽きかけ、帝国軍の対戦車火器により損傷する車体も出てきた

戦闘は日が落ちた後も散発的に続き

夜になり帝国軍は撤退を開始、戦闘は落ち着きを見せた


「・・・各員、交代で休憩を。見張りを厳とし、夜襲に備えよ」

気怠さを必死に抑え、周囲の警戒を行う

「ザラート、貴方も休まないと・・・部隊長が倒れちゃ意味ないよ」

ファナンの言うことも最もだが、さすがに休んでいられる気にはならなかった


しかし、この戦闘は前線で展開された作戦に良い結果を生み出していた


幸い、この日の襲撃はこれで終わり、翌日も敵襲は無かった

そして

「・・・作戦は成功!作戦は成功との連絡!!」

ファナンが喜びの声を上げる

司令部からの通信は作戦成功の知らせだった


オペレーション・デッドプールは成功裏に終わった

議会の占拠に成功し、親帝国派の拘束にも成功

帝国軍は後方のこの施設を攻撃するため主力を議会方面に回すことができなかったようだ

この作戦の結果、ダリア人は連合側に付くことになり、さらなる補給拠点を築くことが可能となった

後方からの攻撃の憂いがなくなった連合軍は以降、敵司令部に向け進軍を開始することとなった


なお、今回の戦闘で13部隊に重傷者は出たものの、人的損失はゼロであった


しかし、新たな脅威はすぐそこにまで迫っていたのだった・・・

-----------

#戦闘レポート

#戦闘結果:

惑星連合軍の戦略的勝利

#戦闘被害:

連合軍4大隊死傷・帝国軍8大隊死傷

#特記事項:

当戦闘により

連合軍第11、12歩兵部隊は部隊を解体、残存兵はそれぞれ第9、10歩兵部隊へ編入

帝国軍は防衛部隊の再編制を実施、司令部防衛隊を新たに編成した模様


なお、同日未明に所属・形種不明の艦艇が帝国軍港に着艦するのを確認

現地展開の部隊は注意されたし

ミリィ大活躍!


ちなみにミリィですが、学生の頃に書いた原案には登場していません

なんかかわいい系も居た方が華やかかなーと急遽足してみたり・・・

需要、ありますかね・・・?

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