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ウィーケスト・アーミー  作者: 神楽阪 舞
第7章 仮初めの「虚実」と「真実」
134/140

#宙域戦の終わりと始まり ~帝国の逆襲~

帝国内の戦力が補充された


新たに編成された帝国軍の宇宙艦隊は前に比べ精強であった


新型の戦艦【グリートアイゼン】級

連合軍の新型艦、と認識されているシエルに対抗すべく設計された新造艦

シエルをさらに二回りほど大きくした艦体に装備された主砲は両軍に類を見ない500mmの連装大口径砲

これを4基、そして新たな脅威となった小型機への対応として艦橋基部に40基を超える多連装ビーム砲を備えた

さらに艦首には対艦大型ミサイルを、そして大きく取られた甲板には多目的ミサイルの発射口が24基設けられていた

簡易ではあるが対レーザーシールドも装備しており、その主装甲と合わせた防御力はシエルにやや劣るものの、他級の追随を許さない物だった


そして艦隊の中心となる新たな艦種

両舷に突き出すように甲板が延びた特徴ある構造となっているこの艦は

【ゲレートツェッペリン】級

連合軍が編み出した艦載機による攻撃が対艦隊戦において非常に有効であるとの戦果研究のもと、帝国軍の運用思想に合わせ設計・建造された

両舷に突き出た甲板より航空戦力をいち早く展開し、連合軍の戦力を削ぐ運用を計画していた

特筆すべきはその両舷甲板

連合軍のそれに比べ、航空戦力の展開ははるかに早く、前哨部隊の発見が遅れたとしても、十分その展開速度から挽回することが可能となっていた

また、汎用性を考えない・・・即ち、航空戦力以外の搭載を考慮しない設計としたことで生産性を大きく高める事に成功していたのだった

それは艦の装備、運用方法に大きく表れている

インヴィジブル級はそれ自体が巡洋艦に匹敵する性能を持っており、単艦の性能は高く設計されている

対し、ゲレートツェッペリン級は最低限の対空兵装を装備するに留められ、対艦、対地攻撃は一切考慮されていない

また、運用できる兵器は「航空機」のみであり機動兵器の搭載は考慮されていなかった

機動兵器の搭載は現時点では各艦の甲板への係留、もしくは「機動兵器専用」の艦を必要としていた


それでもグリートアイゼン、ゲレートツェッペリンの両艦は生産性の高さ、高性能を買われすぐさま量産され前線へと配備されていったのである

艦載機についても、旧式化していたものの、実用性に富んだ従来の航空機を元に開発が進められた

採用されたのは3種類の機体

そのいずれも、元は大気圏内での運用に限られていたもの

それらを宙域での活動も視野に、そして各種性能を上げるべく改修が行われた


艦隊および航空攻撃隊の護衛に用いられる戦闘機

機体と一体化された主翼を持ち、機首に装備された4基の実弾銃は安定した火力を誇っていた

宙域での運用に実弾装備は信頼性に欠点を抱えていたが、素早く数を揃えるという点では大きなメリットとなっていた


敵戦力への打撃力となる攻撃機

翼下に大出力のエンジンを垂下し、機体下部には様々な武器が装着できるハードポイントが設けられていた

翼下にむき出しとなったエンジンは被弾や戦闘中に破片を吸い込む等のトラブルの際、推力を失うなど生存性に問題があるものの、その簡易な構造、なにより保守性の高さから現場の信頼は高かった


そして連合軍にはない、索敵に特化した機体を配備していた

先の攻撃機と似たようなデザインとなっており、その翼下には4基のエンジンが備えられている

そしてその機体の大きさは他の2種を合わせたほどの大きさであった

この機体は他機の搭乗員が1名に対し、4名搭乗し、遥かに大きな機体に備えられた各種センサー類により駆逐艦並みの索敵能力を備えていた

その索敵範囲は航空機には有るまじき能力であり、これをもって帝国軍艦隊は連合軍艦隊の索敵・射程外からの攻撃が可能となったのである


・・・その生産性の高さは、連合軍がインヴィジブル級を一隻就航させる間にゲレートツェッペリンを4隻も就航させる勢いだった

生産性の高さは帝国に一日の長があったのである


この国力の差は明確に保有戦力の差に表れ、これが結果として第二次宙域戦の開始を早める結果となったのであった

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