表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウィーケスト・アーミー  作者: 神楽阪 舞
第1章 「はじまり」の出会い
12/140

宇宙から降り立つもの ~Head back to safety[3]~

【戦艦内部・医療ブース】


エイミーが部屋から出て行ってしばらくした後、アエルたちが様子を見に来てくれた

口々に俺の重症っぷりを涙ながらに語っていた、が

当の本人は意識がないのだ、判るわけがない・・・

聞けば聞くほど、俺の重症っぷりに呆れてしまった


なんだよ、血液の総入れ替えって!?

ある意味別人になってないかこれ・・・大丈夫だよな、俺・・・?


しかし、本当に俺はある意味楽に死なせてくれないのだな、と改めて感じた一件でもあった

ふと思い出した過去の事を思い出しながら、ぼんやりと天井を眺めていたところ


「ザラート?大丈夫、かな?」

少し遠慮がちに茶髪の子が部屋のドアを開け覗き込んでいた

「ファナンか。大丈夫だ。おかげさまでな」

そう言って俺は上半身を起こし右手を軽く挙げる

「よかった、ほんとによかった・・・」

ファナンは笑みを浮かべていた

エイミーにあんな話をされた手前、意識してしまうな・・・


「ザラート?そっち行っていいかな?」

「あ、ああ。構わないよ」

ファナンはベッドサイドにあるテーブルセットに腰かけ

「ザラート、危ないところを助けてくれて本当にありがとう」

「いや、気にしないでくれ。俺たちの方こそ君たちの協力あっての勝利だ、本当に感謝している」

「本当にありがとう、でもそのせいでこんな大ケガしちゃって・・・」

ファナンは涙を浮かべつつ背中の傷を優しくさすってくれる

「大丈夫だ。軍人である以上命はいつか尽きるもの。怪我で済んだんだ、儲けものさ」

「そんな・・・、命は大事にしなきゃダメ・・・。怪我しないのが一番だよ・・・」

ファナンも怪我していたのに、他人の心配を先にしてくれる・・・いい子だな、本当に

先ほどから一心不乱に背中をさすってくれるファナンをじっと見てみる


戦場に相応しくない茶髪、女性らしさが際立つスタイルの良さ、

それ以上に俺に突き刺さるのが・・・その面影

そう、過去に守れなかった彼女に瓜二つ・・・


「・・・?どうしたの、じっとこちらを見て?」

こちらの視線に気がついたのか、ファナンと目が合う

「いや、なんでもない。ところで、今後の事なんだが」

「うん、私もそれを話したくてここに来たんだ」

・・

・・・

大まかに分けると以下の点について話し合った

①今後エイミー、ファナンは俺たちに同行する。ただし本部の判断を優先とする

②帝国軍の攻勢が中断している今のうちにここを破棄し撤退する

③器材についてはできる限り回収とし、回収行動は後方部隊に一任することとする


「慣れた地を離れることになるが、大丈夫か?」

「うん、寂しい気持ちはあるけど、仕方ないよ。私たちだけじゃどうしようもないし」

ファナンは屈託のない笑顔を浮かべ、

「それに、ザラート達が守ってくれる。大丈夫だよ」

「んじゃ、今後ともよろしくな」

俺はファナンに右手を差し出す

「はいっ」

ファナンもしっかりと右手で握り返す


それから数日後、後方部隊が到着し、回収できる器材をできる限りまとめ我々は撤退した


-----------

・・・後に『オペレーション・アーネスト』と呼ばれる当戦闘は完結した


#戦闘レポート

#戦闘結果:

惑星連合軍の敗北

#戦闘被害:

連合軍1小隊負傷・帝国軍1大隊死傷

#特記事項:

当戦闘終結後、惑星[エルメディア]からの惑星連合軍の全面撤退が指示された

以降、帝国軍による追撃が始まることとなった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ