宇宙から降り立つもの ~Head back to safety[2]~
体調不良で間が・・・申し訳ありません_| ̄|○
【戦艦内部・医療ブース】
「貴方にはお話しておきたいのです。あの子、ファナンのことを」
そういうとエイミーはこちらをじっと見据え、傍らにあった椅子に腰かける
「俺に、か?」
「はい。貴方なら信用に値すると判断しましたので」
「・・・さすがに聞かない、という選択肢はないようだな。助けてもらった恩もある、聞くだけ聞こうか」
「ありがとうございます」
そういうと、エイミーは一礼し、ゆっくりと口を開いた
「私たちは貴方方からすると、同じ星系列の人間ではありません」
「・・・は?」
「そのような態度を取られるのは理解しています。ですが、これは事実です」
「はぁ・・・なかなか突拍子な話で」
「見た目や体の造りに差はありません。『ニンゲン』という意味では『同じ』です」
「まぁ、見た感じでは差はない、よな・・・」
そういってエイミーを眺める。確かに俺たちと違いはない、ように思える
長い紫髪を後ろに結んだ、瞳はやや赤みのかかった、オレンジ色のような不思議な感じがする
女性らしさを強調した、ちょっと変わった服装をしているな、という印象は受けるが・・・
「そうなると、一体どこから来たんだ?星系・・・ということは我々の、この星系とは異なる、他に俺たちのような『ニンゲン』が存在している、ということか」
「はい。少々情報が不足していますので、説明が難しいのですがそういうことです」
いきなりスケールの大きい話だが、他の星系があるという説は軍の研究班が立てていたな、今度悪友に聞いてみるか
「わかった、一緒というのは信じよう。しかし、そうなると気になるのが、なぜ言葉が通じているんだ?」
「それは、我々のデータベースに類似する言語があったからです」
「ほぅ・・・それはそれは。大した情報収集能力があるようで」
「恐縮です」
そう言って一礼するエイミー
「・・・他に疑問に思うところはあるが、そこはおいおい聞こう。それより、ファナンがどうしたんだ?」
「はい、では本題に。もうお察しが付いているかと思いますが、私以外を知らない子でして」
まぁ、そりゃそうだ。どう考えてもこんな場所に居たんだ。他の人とかかわることはまずないだろう
俺はそう思いを巡らせ、頷く
「あの子にこちらの文化を学んでいただく意味もかねて、貴方の『パートナー』にと思うのです」
「・・・へ?」
突然の提案に変な声を上げてしまった
「?こう言っては何ですが、ファナンはそれなりの良い子と思います。男性好みに育って・・・
「いやいやいやいやさすがにそれは?!」
「そんな被り気味に。まんざらでもないようで」
「いきなりそれはないだろ・・・気に入られて好意をもたれるのはありがたいがそういう目では」
「私は別に『見た目』が男性好みとは言っていませんよ?」
・・・
「・・・」
「・・・」
・・・恥ずかしい
「冗談はさておき、あの子は教養も一般常識、身を護る術も身に着けていますし、貴方へ好意を寄せているので、パートナーになるのは大丈夫でしょう」
「まぁ、先の戦闘でそこは問題ないだろうな」
教養や俺への好意とやらは確認できないが、身を護る点についてはあれだけの火器を扱えるのだ、そのあたりは問題ないだろう
しかし、パートナーねぇ・・・
確かに、正直なところファナンは可愛いと思った
戦場には似合わない艶やかな茶色い髪を後ろに束ね、あの重火器に似合わずスタイルも良かった
それに何よりその面影・・・
しかし話が旨すぎる、何かまだあるような気がするが・・・そこを探る意味でも近づくべきか・・・?
「(何やら思いを巡らせているようですね)どうでしょうか、受けていただけないでしょうか」
「・・・わかった、どこまで応えれるか判らないが、こんな俺で良ければ」
「ありがとうございます」
エイミーは一礼する
「でも大事なのは本人の意思だと思うが、そこはいいのか?」
「まだそれを言いますか・・・少々不安になりますが、大丈夫です」
エイミーは少々呆れた感じで上を見上げ、こちらに向き直し
「あの子は貴方をずっと看病していました。治癒装置に任せておけばいいのに」
そういえば、俺の足元に居たが、ずっと・・・?
「意識が戻るまで、それこそ食事もほとんど採らずに、ですよ」
そう言ってエイミーはすっと立ち上がり
「あとは、お二人でお話して考えて頂ければ良いかと。できればお受けしていただけると幸いです」
会釈し、部屋から出て行った
・・・
覚悟を決めるしかないようだな
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(全く、あんな献身的に看病するほど好意を抱くなんて、ほんと不思議ですね)
エイミーは通路を歩きながらそう思案する
(これが「ニンゲン」の愛情というものでしょうか)
思わせぶりな書き方って難しいですね(´・ω・)