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自己紹介&〜新たなる世界〜

そこには。


その前に、俺のことについて話そう。

俺の名前は駿河(するが) (すばる)


見た目はある意味印象的だろう。

俺は髪の毛を伸ばし、素顔を晒さないようにしている。

だって知らない人とかに顔を見られるってなんか怖いじゃん。

髪の毛は切ってはいるが、前髪だけ長いのも違和感があるため、全体的に長めにしている。

ので、後ろ髪は結んでいる。

幸いにも、俺が通う高校は高速が緩いため、怒られることは無い。

俺の素顔を知っているのは、学校では先生ぐらいなものだ。


運動神経は、いいと思う。

というか学校では1番だろう。

だが、あまり目立ちたくは無いので、自分の力は抑えている。


勉強はそこそこ。

ちょうどこの学校の平均ぐらいだろう。

というか平均を狙ってとっている。


父はなんかの自営業、母は専業主婦だ。

一人っ子で、普通の一般的な家庭だろう。

と言っても、実の親ではない。

俺が中学の頃、両親が他界していたようで、養子にとってもらったのだ。

どうやら両親の知り合いだったらしい。

とても良くしてもらっている。


優希姉 (先生) とは昔からの知り合いだ。

と言っても、優希姉は昔の家のお隣さんで、よく遊んでもらっていた。


学校で会った時に、優希姉って呼んだら、ここでは先生だ!って怒られてしまったが。


ちなみにさっき俺が何をしていたかといえば……

寝ていた。

仕切り直して、



そこには。


とても日本とは思えない、だだっ広い石造りの建物の中にいた。

床に刻まれている模様と相まって、そこは儀式場の様だ。

いや、実際に儀式場なのだろう。

ローブを着て杖を持った人達が自分たちを囲っていた。


状況を整理しよう。

俺たちは円形の幾何学的模様の真ん中に集まっており、その円形の模様を囲うように、魔術師のような人達が立っている。


魔術師達の顔には、脂汗が滲んでおり、また辛そうな顔をしていることから、疲労困憊(ひろうこんぱい)であることが伺える。


ぶわっ。

何かの線が切れたかのように皆が一斉に喋り出す。

異世界転生だと盛り上がる者、怖がる者、心配する者、ドッキリを疑う者。


色々な人が居たが、俺だけは知っている。

この世界を。

異世界召喚だと盛り上がる者達のなんと愚かなことか。

それを俺だけは知っていた。

はあ、最悪の目覚めだ。

これが夢ならいいのに。


だが、そんな最中、流石と言うべきか、皆をまとめ、状況の把握に努めた人が居た。


「お前ら、一旦静かにしろ。すみません、そこの人、どういう状況か説明してもらってもいいですか?」


先生はローブを着た集団の中にいた司教のような格好をした人に聞いた。


「分かりました。お教えしましょう。まずは自己紹介から始めましょうか。私の名はグフ・ローランド。見てのとおり、司教を任されております。簡潔に言いますと、魔王を倒してもらうべく我々があなた方を召喚しました。ローブを来ている方々はこのロキファニア帝国の帝国魔術師でございます。我々があなた方に求めるのはただ一つ、魔王を倒していただくことです。魔王を倒せば、元の世界に返すことを誓いましょう。」


「テンプレキターーー!」

「おいおいマジかよ、異世界召喚だってよ!」

「よっしゃーー!ハーレムルート来たわーこれ。」


などと、盛り上がる男子たち、それは女子も例外ではなく、


「異世界って言ったら、イケメンじゃない?」

「珍しい動物とかいるのかなー。」

「なんかうち楽しみー!」


ふと、そこで疑問の声が上がる。


「なぜ我々である必要があるのですか?」


先生だ。


「それは、異世界から召喚されし者はこの世界、グラムの人と比べ強さが圧倒的に違うのです。そうですね、では自分のステータスを見てもらいましょうか。『ステータスウィンドウ』と唱えてください。」


「うわぁ、すげえ、なんか出てきたぞ!というかこれ見えてる?」

「やばいなこれ、あー、なんか人のやつは見れないみたいだなー。」

「これって強えの?」


「グラムの一般人の全平均ステータスは100~200、戦闘職の人でも高くて500~1000程度です。ちなみにこの世界の出身の人で最も強かったのが4500です。」


「多分あなた方の初期ステータスは1200程度でしょう。ですがこれは悪魔で初期ステータス。この中にいる勇者にらいずれ20000を超えてもらいます。」


「そんなの無理だと思う人もいるでしょう。ですが大丈夫です。あなた方は神に好かれております。我々が神から授かるのは職業だけですが、あなた方にはEXスキルが授けられます。そして、あなた方は我々より成長が早い。5000までは行けるでしょう。」


「おおー、すっげえー。」


歓声の声が上がる。


「では、皆様のステータスを見せてもらいましょうか。こちらに並んで、順に水晶玉に向かって『ステータスオープン』と唱えてください。そうすることにより、ステータスが表示されます。」


「では、そこのあなたからお願いします。」


最初によばれたのは先生だった。

まあ目立ってたからな。


「『ステータスオープン』」


ステータスが表示された。


▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂


ステータス 【ユウキ・サイトウ】

・ 種族 人間

・ 職業 魔剣士Lv.1

・ 生命力 2700/2700

・ 攻撃力 2900

・ 防御力 2600

・ 魔力 3100/3100


スキル


・ 剣術Lv3

・ 体術Lv2

・ 算術Lv4

・ 話術Lv3

・ 火属性魔法Lv1

・ 回復魔法Lv1

・無属性魔法Lv1


EXスキル


・ 言語理解

・ 魔剣術Lv1


称号


・異世界召喚者・教師


▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂


「「「「「おおーーーー。」」」」」


いきなりの高ステータスだ。


どんどん進んでいく中、最も大きな盛り上がりを見せたのは、


▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂


ステータス 【ユウジ・トウドウ】

・種族 人間

・職業 勇者Lv1

・生命力 4800/4800

・攻撃力 5000

・防御力 4600

・魔力 3900/3900


スキル

・算術Lv3

・剣術Lv2

・体術Lv1

・話術Lv1

・四属性魔法 (火・水・土・風)Lv1

・無属性魔法Lv1


EXスキル

・言語理解

・聖剣術Lv1


称号


・異世界召喚者・勇者


▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂


「勇者が出たぞ!」

「すげえ、なんてスキルだ。」

「流石だ藤堂!」

「「「キャー!藤堂くーん!」」」

「すごいな、かなわないぞ。」


何となく皆わかっていたようだが、案の定藤堂が勇者に選ばれた。


そして、最後に俺の番だ。


▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂


ステータス【スバル・スルガ】

・種族 人間

・職業 農民Lv1

・生命力 250/250

・攻撃力 120

・防御力 140

・魔力 50/50


スキル

・農術Lv1

・水魔法Lv1 (限界)

・土魔法Lv1 (限界)

・算術Lv2


EXスキル

・言語理解


称号


異世界召喚者

▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂


紛れもなく最弱だった。

周りの反応はというと

「……おい、なんだありゃ、壊れてんのか?」

「召喚者がこれとか有り得るのか?」

「おい、急いで国王に知らせに行け。」

「こりゃ国外追放だな。」

これが魔法士たち。


「おいおい、最弱が現れたぞ。」

「最弱の勇者様ってか、お笑いもんだな。」

「終わったな。」

クラスの反応もこうだ。


「すみません、もう一度測り直して貰えませんか?」


何度やっても結果は同じ。


「しょ、少々お待ち下さい。」


司教は奥の方に急いで走っていった。


俺が出る前の最弱は理樹。

彼のステータスは


▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂


ステータス【リキ・アキヤマ】

・種族 人間

・職業 槍兵 Lv1

・生命力 1200/1200

・攻撃力 900

・防御力1000

・魔力 800/800


スキル

・算術Lv1

・槍術Lv1

・話術Lv1


EXスキル

・言語理解


称号


異世界召喚者

▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂


最弱の数値を大きく覆してしまったようだ。

というか農民という職業はこの世界で最も弱く、最も多いと言われている。

だがこれでいい。


「国からの処分が決まった。お前は召喚者としての資格がない。よって、召喚者という名誉を剥奪の上、国外追放とする。」

国の命令だ。逆らえまい。


「はい、分かりました。」


「ちょっと待て、それは酷すぎる。勝手に召喚しておいて、その対応は有り得ないだろ。」


「それも一理ありますな。ではスバル・スルガを国外追放改め国内追放とす。」


「お前はそれでいいのか、昴!」

「大丈夫です先生、落ち着いて下さい。俺は大丈夫ですから。みんなも俺のことは忘れて頑張ってくれよ。」


こうは言ったものの、別に俺は不満なんかない。

そもそも、こいつらは俺らを元の世界に返す手段なんざ持ち合わせていない。

帰るには、世界のどこにあるかさえわかっていない、聖霊遺石が必要なのだ。

それに、こいつらは権力の独占をしようとしている。

勇者達がいる国。自分達には勇者達が付いているのだぞ、と。

俺はそんな醜い争いに巻き込まれたくない。


でも戻ったところで義父母に迷惑をかけるだけだろう。

ならばこの世界で生きようではないか。


俺はもう後のことを決めているので、いつ王国を離れても問題はない。


「では司教さん、お願いできますか。」

「そのお返事を待っておりました。では行きましょう。」


しばらく、人が1人居なくなった空間では静かな時間が続いていた。

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