4 林檎は認めないその2
遅れて申し訳ありません……。
イラストの方が忙しいのです!!
あ、メールいただけましたら、無料でイメージイラスト書かせていただきますのでどうぞ!!
昨日と言い今日と言いーー
「あのさ……二人共、邪魔なんだけど……」
「林檎ちゃん、和樹は私に任せて良いから」
「五月蝿いです! 私のお兄ちゃんだから、私に任せてください!」
「……寝癖一つで騒ぐなよ…………」
昨日、本当に生コンをバケツ一杯に貰ってきた林檎は、俺達を埋めようとした。
慌ててバスタオルのまま、下着を片手に脱衣所から逃げ俺の部屋に閉じ篭った結果……。
如月は帰れなくなり、泊まり、そして俺とベッドを共有して一晩過ごした。
そのせいか、更に林檎は怒り狂って寝癖を直したいと言い出したのだ。
更に更に、如月まで寝癖直しに参戦してきた。
「朝から頭痛いんだけど……」
「林檎ちゃん? そろそろ学校へ行く時間でしょ? お友達が外で待っているわよ?」
お母さん口調で俺の左腕を引っ張りながら、林檎を小学生扱いして微笑む。
微笑んでいるのに……ゴリラ並の筋力だ。
「お母さん! 私に友達居ないの知っているでしょ!? だから迎えに来てなんてくれないのっ!!」
そして犬歯を剥きながら、地味に乗っている林檎は俺の胴体をホールドしている。
締め付ける力が異常で肋が折れそうで怖い。
ーーてか、林檎……冗談でもそれは言わないでくれ。
兄として、モブとして、仮に林檎の友達が全員架空の人物であることが真実だったとするならば、本人以上に辛く胸を締め付けられることだろう。
「ーーお前らな、いい加減にしろ。朝から五月蝿い、しつこい」
「「ーーお兄ちゃんは黙ってて!!」」
「……如月、お前が妹だったら俺は家出しているよ確実に」
妹の立場になって応えるなと、俺は朝からクラスメイトの女子にデコピンするのだった。
♡
「認めない! 私は認めないい!!」
「だから付き合ってねーんだって……」
「それでもあの人はーー認めなあああい!!」
頑なに林檎は認めないと言い張り、そして一人で空回りする。
一緒に登校すると引かず、仕方なく言うことを聞いたら聞いたで、団地内であるにも関わらず声を荒らげる始末ーー
妹だが、他人のフリをしたいものである。
俺の身になって誰か経験してほしい。
如月は何故か距離を置いて歩いている。
ここでこそ、無理矢理に俺の腕を引っ張って走ってほしい場面だ。
有名ギルドにチャットで絡まれ、相手が有名で強い癖して人間設定最低位だった時のステラさんのように……クエストを受注して連れ出してくれ。
「聞いてるのっ!?」
「ああ、耳痛い……朝から叫んだら近所迷惑だ」
「じゃあお兄ちゃんは私に迷惑を掛けてるから、あの女の人を忘れて!」
「……だから、付き合ってないから」
「付き合ってないのは分かったけどそれでも!!」
林檎は兄の胸ぐらを掴んで顔を近づけてくる。
唇と唇が触れそうな距離だが、妹となると感情が無になるのはなぜだろうか……。
それに、妹に謎の攻めを受けて普通萌えるはずなのに……萌えない。
妹キャラはそれなりに需要あるのだがーー実の妹は別のようだ。
「ーーむう!」
「……」
「ーーあっれえ! 林檎何してるのお!」
頬を膨らませた林檎を、まるで可哀想な奴を見る目で見下ろしていると、進行方向から短い黒髪を片耳掛けたスポーツ系少女が走ってくる。
俺から離れると、林檎は自分と良く似た身長の彼女に飛びついた。
そして胸に顔を埋め、子犬が甘えるが如くーー喉から声を出す。
「ええ……。あ、初めまして! 林檎の親友、明坂未央です!」
「あ、どうも。兄の茅野和樹です」
「林檎から話を聞いていましたけど、全然普通ですねっ! アッハハ! もっと影薄い感じとイメージがあったので、普通で安心しました」
「は、はあ……?」
そう言えばーー
如月と言い、林檎の親友と名乗る明坂未央ちゃんと言い、家族以外に俺を認識できる人物が、急に現れだした気がする。
担任は別としてーー
クラスメイトは愚か全校生徒から認識を受けたことのない俺だったはずである。
もしや今がーー人生の転機であるのだろうか?
「まあ、よろしく。林檎共々」
「いやあ! こちらこそですよ」
「……うん、そうかもな」
何というかーー感情豊かでむしろ俺がよろしくしてあげることになりそうだ。
未央ちゃんは照れくさそうに笑いながら、頭に手を当てている。
そして林檎は相変わらず胸に顔を埋めている。
「ーーねえ、和樹」
「近づくな! このイーターめ!」
「私、いつ神を喰らったっけ?」
「喰らうな、過去形でも未来形でも。お前は何になるつもりだよ……」
俺の横に並んだ如月は首を傾げたので突っ込んだ。
ーー林檎も林檎だ。
如月が俺に声を掛けただけで過剰に反応するから、みんなが困ってしまった。
「僕と契約してーー」
「おーい。オタクもいい加減にしろ」
「きゅっぷい」
「撃ち殺す!!」
「お前も半分オタク混ざってるからって反応すんなっ!! 全く……お前らは仲良くできるだろうに」
やれやれと、ため息を吐いて俺は林檎を未央ちゃんから引き離しにいく。
ふてくされる林檎を背後から、脇に腕を通してホールドして引き離す。
すると、手の先が未央ちゃんの胸に当たってしまった。
特に何も思わなかったーーちょっと柔らかい程度しか。
だが、やはり女子にとっては胸に手が当たっただけで、理由は出来上がるらしい。
頬を赤くし、ふらっと数歩後方に下がる。
謝るべきか迷っていると……思った以上に未央ちゃんは下がり続けていきーー
十メートルほど先の十字路へ侵入してしまう。
すると、その奥から車が十字路へ向かって突っ込んできている。
目が良い俺は、車の運転手がスマホをしていることに気づき飛び出す。
「ーー未央ちゃん危ない!!」
全速力で十字路へ飛び込み、未央ちゃんの手を引いて左へ転がる。
すると、運転手はスマホから目を離すと転がる俺達に驚いて右に急ハンドルを切り、轢いていないことを確認すると謝らずに走り去って行った。
腹立つ野郎だな……あいつ!
「大丈夫!?」
「は、はい……お兄、さん……」
「良かった…………ん?」
「そのう……胸から、手だけ退けていただけたら…………もっと、大丈夫……になり……ます」
目をゆっくりと、未央ちゃんの胸部に移すとーー
あれまあ……と、思う状況に冷静に平常心のまま俺は手を退ける。
右胸を左手で揉んでしまっていたが、これは仕方ない。
事故だからーーと。
だが、仕方ないで済ませてくれない、何故そこまで俺に纏わり付くのか馬鹿二人に背中を蹴られる。
「妹の親友の胸を揉んで、平常心のままいる件について、ゆっくりと話を聞こうか?」
「お兄ちゃん、流石にそれないと思うなあ。何で私じゃないのかなあ? 何で未央なのかなあ?」
「……まあ、人生……何が起こるか分からんってことで……」
苦笑しながら親指を立てた俺は、もちろんこの後二人の監視員に両サイドから常に行動を見られ制御されることに。
しかし、二人が高校の校門前で喧嘩を始めると、未央ちゃんが髪を弄りながら寄ってきた。
首を傾げると、スマホを取り出して、
「連絡先……良い、ですか?」
「え? ああ……うん、まあ」
林檎のこともあるしーーとか、そんな程度の理由でSMSで友達追加を互いにして繋がった。
だが引っ掛かる点が一つあるーー
自分の胸を二回も触った親友の兄の、連絡先を欲しいと思うだろうか?
俺には、三次元の女心は一切分からないことが判明した。
まあ……前からだけど。
♡
「お前も連絡先を?」
「う、うん……。だって、これからお世話になりそうだから」
「良いんだけどさ、何でお前……焦ってるんだよ」
「ーーそれはっ!! 知らない方が良いと思う、組織が関わっている……」
いや、もう組織が関わっていることを明かしているんだが……。
ガチオタの末の思考であるのか、はたまた中二病を拗らせた末の思考であるのか、俺には分からない。
ただーーやはり如月が馬鹿であることだけは、分かる。
屋上で昼飯を食べながら、連絡先を交換した俺達は空を見上げる。
太陽が真っ赤な林檎に見える(食べる方)。
「昨日ゲームできなかった……」
「私も」
「林檎もいっそ、未央ちゃんと付き合えば良いのに。兄としても安心できるし」
「……百合展開ご希望の兄の姿なんて、最悪でしょう?」
「……それを言うなって……」
ため息が自然と出る。
すると、勢い良くドアが開き激しい金属音と共にチャラい男が現れた。
攻撃もしくは逃げるの二択である。
俺はーー戦うを選択し、立ち上がった。
「何ですか先輩。今度はやり合う気ですか?」
「……君、名前を教えてくれ」
「和樹です」
名乗ると、貴公子こと雅人先輩はーー
ーー土下座した。
「ーー和樹先生ええええ!! 俺を強くしてください頼みますっ!!」
また面倒事が、舞い込んできた。
面白い! 主人公鈍感系好き! ヒロインの性格地味に歪んでるの良いね! などなど、思っていただけましたら是非評価よろしくお願い致します!!
感想もお待ちしております。
私のモチベーションに繋がり、頑張ってイラストそっちのけ気味で書かせていただきます!←(おい!