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プラチナ級ミッション・チケット

 ◆


 オンラインゲームで、プレイヤーのリアルに関しあれこれ詮索せんさくするのはタブーだ。相手にとっても自分にとっても大抵ロクな事にならない。

 しかしこの状況では、さすがに俺は考えてしまう。一体、この女は何者なのだ? 俺が彼女について知っている情報は多くない。日本人の女で歳は俺とそんなに変わらない。半年の間、彼女のインストラクターをやっていたが、確実な情報はそれだけだ。


 プラチナ級のミッションチケットは特定の重要顧客向けで一般に出回ることはほぼ無い。普通のプレイヤーが普通の手段で入手できる代物では絶対に無い。


「どう、ヴァイパー? 後悔すると言ったけど、本当だったでしょ?」


 アミュレットは俺の手にあったチケットを取り返し、目の前で振って見せた。


「スーパーレアのミッション参加チケット。手に入れるのにとても苦労したわ」


「どこでそれを見つけた? どうやって手に入れた? いくら払った?」


「内緒。もしあなたがあと半年、いやもう1年ね。2年とは言わないわ。もう1年インストラクターを引き受けてくれるならこれをあげてもいい」


 俺はつばをゴクリと飲み込んだ。が、頭の隅で警報が鳴る。話がうますぎる。


「どうしてそこまでして俺に執着する? それを使えばどんな奴でもよりどりみどりだ。俺に固執する意味が無い」


 アミュレットは腕を組んで考え込むフリをする。

「そうねえ。あなたをとても愛してるとか?」


「それはあり得ない。あんたは俺に惚れてはいない」


「女心は複雑なのよ。そう思い込むのはあなたの傲慢だと指摘させていただくわ。そうそう、1年インストラクターを引き受けてもらう以外にもう一つだけ条件がある」


「なんだ?」


「ミッションを攻略するときは、私も連れて行くこと。それが駄目ならこの話は無しの方向で。言っておくけど交渉の余地は全く無し」


 プラチナ級チケットは金をばらまくのが目的だが、難易度もそこそこ高い。本来の客であるVIPプレイヤーはそれなりの装備は持っているはずで、簡単すぎては興ざめだからだ。

 アミュレットの腕はそれほど悪く無いが、万が一を考えればベストメンバーで挑みたかった。そして残念ながら彼女は俺の想定する“ベスト”では無い。しかし断る選択肢は無さそうだった。


「最後に一つ質問がある」俺は言った。


「いいわよ」


「あんた一体何者だ?」


「う~ん……その質問に答えるのは難しいわ。そうねえ。正義の味方とか?」


「真面目に答える気が無いのなら、この話は無しだ。いくらなんでも怪しすぎるからな。確かに俺はハイエナ呼ばわりされる男だが、札束で顔をはたけば何でも言う事を聞くと思ってるなら大間違いだ。無理矢理に口にねじ込まれた毒は、俺だって吐き出すぜ」


「そんなこと思ってないし、私は真面目に答えたんですけど。でもあなたの心配は理解出来るわ。安心して。このチケットは不正に入手したものじゃないし、あなたに迷惑はかからない。そして、私の正体は……このミッションをクリア出来たら教えてあげる。誓うわ。その時、あなたは何故自分が選ばれたか分かるはず」


「言ってる事が真実で、あんたが約束を守ると言う保証は?」


「無いわね。信じて貰うしか」


 怪しい匂いがぷんぷんする。だが今まで半年付き合ってきて、彼女が悪人とは俺には思えなかった。

 そして俺には金が必要だった。プラチナミッションの報奨金は、喉から手が出るくらいに魅力的だ。

 そして俺はこの世の真実を知っている。リスクを取らなければ大金は得られない。特に俺のような男にとっては。


「……いいだろう。提案に乗ってやる。但し、あんた以外の攻略メンバーは俺が選ぶ。それが条件だ」


「いいわよ、それで」アミュレットはにっこり微笑む。「これで商談成立。あなたはもう1年、私のインストラクターよ。じゃあはい。これであなたは私のもの」


 俺は引ったくるようにチケットを受け取ると券面をのぞき込む。印字されている電子透かしは確かに本物だ。間違いなくこのチケットはワールド・ウォー・オンライン社が発行している正規品だ。

 ミッション題名は“未知からの防衛戦~日本国編~パート1”。そして俺はチケット有効期限を確認した。

 ……ちょっと待て、なんだこれは。


「おいっ! なんだこの日付? 有効期間、明日までじゃないか!」


「何か問題でも? さっそく打ち合わせしよ。街に戻りましょうよ!」


 俺はため息をついた。別に有効期限が一日しかないと言ってもチケットの価値が失われるわけでは無いが、いかにもアミュレトらしい話だ。

 今夜のアルバイトはキャンセルだ。睡眠ともおさらばだ。ミッション準備で徹夜になるだろう。とりあえず参加メンバーを大慌てで集める必要がある。


 ◆


 このゲームの企画・運営をしているワールド・ウォー・オンライン社は、東欧の小国ロトヴァリアに本社を置く。

 このロトヴァリアと言う国には、いつも怪しい噂がつきまとう。

 人口2000万程度の小国で、ゲーム産業が経済の大部分を占めている。提供されてるゲームにはヤバいものも多い。俺がプレイしているこの戦争ゲームは、ロトヴァリアの会社が提供している割りにまともな方だ。


 ヤバい方の代表各としては、ならず者国家の資金洗浄に使われてると噂のあるVRMMOカジノやら、倫理コードをガン無視したアダルト系VRMMOとか、まあそんな感じだ。噂によるともっと酷いゲーム、常人ならトラウマレベルのゲームもあるらしい。その類いの明らかにアウトなやつは、主に西側の“良識派”の抗議のせいで大部分は消えた。ゲーム潰しには各国の捜査機関も動いたと聞く。だがロトヴァリアはロシアとの結びつきも強く、そうそう簡単に西側のいいなりで儲け口を潰すような真似はしない。怪しいゲームたちは裏に潜って、高い参加費をとる会員ビジネスと化し今も生き残ってるって話だ。


 そしてアミュレットが手に入れたようなプラチナ・チケットは、そこの怪しい会員たちと関係しているらしい。もっとも運営が通常のプロモーションの一環として使うケースもあるにはあるようだから、全てが犯罪絡みとすぐに断定は出来ない。

 だがいずれにしろ、俺たち一般人とは関係の無い話の筈だった。


 だが一生関係無いと思っていたプラチナ・チケットが、いまや俺の手の中にある。

 報酬を確認したところ、このチケットはプラチナの中でも上位レベルだということが分かった。ポイント総額は円に換算すれば7千万円を超える。目のくらむような大金だ。正直、現実感があまり無い。


「俺が誘われるとはな」スキニーが言う


 ここは常設都市のダウンタウンにある安ホテルの一室だ。

 狭いテーブルに置かれているのは例のプラチナチケット。それをのぞき込んでいるのはさっき会ったばかりの元自衛官のスキニーだ。この男を攻略メンバーに誘ったのは、単純にこの男の技術が優れているからだ。スキニーの腕は俺の想定する“ベスト”の範囲内にある。以前の対戦でそれは分かっている。


「感謝してくれていいぜ? いくら今は和菓子屋の主人でも、金に興味が無いわけじゃあるまい。電子透かしを確認してみるといい。正真正銘、ワールド・ウォー・オンライン社の発行する正規のチケットだ」


「いや。偽物かどうか疑ってるわけじゃない。しかし本当に参加させてもらっていいのか?」


「もちろんだ。しかし報酬の方は成功報酬で頼む。そうだな……ミッションが達成出来れば100万円を保証する」


 この男を誘った二つ目の理由は金だ。

 獲得賞金はチケットオーナの俺が一括で支払いを受け参加者に分配する。一人当たりの金額はもっと大きくできるが、スキニーのようなプレイヤーには、これくらいに言っておくのが無難だろう。大きすぎる金額はかえって怪しまれる。第一、奴にとってこのゲームは単なる趣味なのだ。だが俺は生活がかかっている。浮いた金は俺がもらう。


 スキニーは言う。

「もちろん成功報酬で構わない。ところで他の参加者は決まってるのか?」


「知ってるロシア人に声をかけてある。残りはこれからさ」


 アミュレットが心配そうに言う。

「ハニービーさんや、グラスホッパーさんを呼ばないの?」


「あいつらは後回しだ。腕前も所持機体も把握している。俺の方で役割は割り振れる」


「急に呼ばれても来れないかも」


「大丈夫。あいつらは金の匂いに敏感だ。全てを放り投げても必ず来る」


 同業者をはじめの段階で呼びたくない。下手に時間を与えれば報酬面で必ずもめる。あいつらはプラチナチケットの価値をよく知っているからなおさらだ。


 スキニーが俺をせかす。

「ミッション内容を教えてくれ。実を言えば金より中身に興味がある。この手のミッションを受けるのは初めてなんだ」


「ちょっと待ってくれ。今、見せる。それと攻略用のストライクパッケージを組んでみた。意見があれば教えて欲しい」


「いいとも。こういう作戦会議は大好きだ。現役時代を思い出す。わくわくするな」


「あんた元自衛官だろう。そう言う不謹慎な発言は聞かなかったことにしておく」


 俺は自分の仮想コンソールを呼び出し、ミッション概要を投影した。

 リアル志向のワールド・ウォー・オンラインには珍しく、SF仕立ての内容だ。


 未知からの防衛~日本編 Part1~

 ====================

 房総半島の東、2000キロ先の太平洋上に突然九州くらいの大きさの島が出現した。住人たちは自分たちを“正統なる日本国の末裔”と名乗る。

 彼らは我々を、日本の国土を奪った略奪者の子孫であると糾弾し、そして一方的に宣戦布告を宣言した。

 目的は占領支配。彼らの言葉によれば“聖なる地の奪還”だ。


 貴官は、航空自衛隊の指揮官として下記任務を命じられた。

 なお現在、米国との安全保障条約は発動していない。敵は米国への核報復を仄めかし、我が国の孤立化に成功している。


 失敗は許されない。敵は我々の降伏を受け入ることはないだろう。


 勝利条件

 主目標:敵航空基地“α”の破壊

 副目標:未確認施設“β”“γ”の破壊  

 トータルスコア70以上でミッションクリア


 敵戦力:早期分析情報を参照。

 なお、敵の航空機は我々の世界の第四世代機に相当する能力を持つと推測される。


 ※味方損失一機ごとにマイナス5点(AWACSはマイナス15点)

 ====================


「おいおい。ずいぶん荒唐無稽こうとうむけいな設定だな」スキニーが呆れたように言う。


「設定なんて雰囲気づくりの単なるフレイバーだ。気にすんな。要は基地と施設を壊せばいいだけだ」


「敵の戦力は?」


「情報収集衛星と高高度偵察機を使った早期分析情報がこれだ」


「高高度偵察機なんて日本じゃ米軍にしかないぜ。安保は発動してないんだろう?」


「俺の知ったことか。米軍も何もしないのは良心が咎めたんじゃないか?」


 地図にオーバーラップして、主目標である航空基地の位置と2つの副目標が表示される。

 基地の周囲には5つのSAM基地と対空車両が配備されている。


「こちらの機体は全てプレイヤーの持ち込みになる。敵戦闘機は異世界製って言う設定だが、こっちの世界で言えば第四世代レベルに相当する。プレイヤーも使えるのは第四世代までだ。純ステルス機は使えない」


「それは第四世代以下であれば、本物の自衛隊に無くても使えるってことか?」


「そのとおり。それと、これが俺が組んだストライクパッケージ案だ」


 俺はプランをスクリーンに表示した。


 ====

 日本国自衛隊プレイヤーサイド


 AWACS(コールサイン:ブルーホエール)

 パイロット未定、機種未定

 *長距離を探索可能な大型全周囲レーダーを持ち、敵の捜索と追尾、味方の指揮官制を行う。


 ECM隊(コールサイン:ジェリーフィッシュ)

 パイロット:ハニービー 機種: EA-18G グロウラーx1

 *後続隊の為にレーダーに探知されない侵入経路を造り出し、同時にSEAD隊の為に敵レーダー施設を発見する。電子妨害機から成る。


 SEAD隊(コールサイン:ソードフィッシュ)

 編隊長:ヴァイパー、僚機:グラスホッパー、副編隊長:スキニー、僚機:アミュレット 機種:F-16 ファルコンx2、F-15 イーグルx2

 *敵防空網の制圧を行う。SAMレーダー(地対空ミサイル用レーダー)を破壊し敵の対空能力を奪う。


 護衛隊(コールサイン:バラクーダ)

 編隊長:ミーシャ 機種Su-27 スーシュカ(NATO名:フランカー)x4

 *各隊を敵の戦闘機から守る護衛用の戦闘機部隊。


 攻撃隊(コールサイン:スーパードルフィン)

 編隊長:未定、機種:未定 攻撃機x8

 *目標施設α、β、γの破壊を行う。攻撃機から成る。


「敵の規模の割りに、戦力が足りなく無いか?」 スキニーが俺の組んだパッケージに目を走らせながら言う。


「プレイヤーの持ち込める機数に制限があるんだ。ルールを転送する」

 スキニーは俺の送った情報を熱心に読み始めた。


「ねえねえ。私はSEAD隊なのね。ヴァイパーの僚機ウィングマン?」


「あんたはスキニーのウィングマンだ。俺の僚機はグラスホッパーにさせる。諸般の事情だ」


 アミュレットは不満そうだ。


「私はあなたのウィングマンをクビってわけ?」


「そうなるな」


「いいわよ、いいわよ。どうせ私はお荷物よ」


「その自覚があるなら有り難い。俺としては観客席で見てて貰う方がもっと有り難いんだが」


 アミュレットはまるで子供のように舌を突き出して、あかんべぇ~をした。

 俺は肩をすくめた。こんなとこだけ少女っぽく振る舞っても騙されるものか。


 スキニーが顔をあげた。

「だいたい目は通した。一番の突っ込みどころはなんで自衛隊にスホイがいるんだ……ってとこだと思うが、まあそれは言うまい」


「知り合いの乗機がSuスホイ-27なんだ。腕は立つから安心してくれ。ある意味、あんたの同類かも知れない。そいつはロシア空軍のパイロットだ。しかも現役だ」


「ロシア軍のパイロット……いい加減な奴だな。現役パイロットがこのゲームで遊ぶのは感心しない」


「ゲームで遊ぶくらい、個人の自由だろ」


「そうじゃない。このゲームのシミュレーション精度は高い。そして仮想現実テクノロジーにより、プレイヤーはまるで実際に操縦しているように感じる……だがそれがかえって危険なんだ。いくら精密なシミュレーションでもゲームと現実では操作感が微妙に異なる。フィードバックされるGも違うからな。その感覚を現実に持ち込むのは危険すぎる」


 ギリギリの機動ではパイロットは自分の限界を感覚で判断している。仮想世界で微妙に狂わされた操縦感覚で、判断を誤れば致命的な結果をもたらしかねない。最悪、予想外のGを喰らって失神、そのまま墜落だ。


「まあそう言うな。ロシア軍パイロットも生活は楽じゃ無いのさ。このゲームでは、奴らの大好きなUSドルを手に入れることが出来る。アメリカの対露制裁が強化されたのは知ってるだろ? もちろん軍はプレイを禁止してるが、家族の為に副収入を得たいって思うのはそんなに悪いことか?」


「……しかしだな」


「いずれにしろ、俺達が気にすべきことじゃあるまい。それに、ミーシャが任務遂行中に事故を起こすようなことがあれば、あんたの元同僚は喜ぶんじゃないか。なんせ、ロシアは仮想敵の一つだ。兵士の数が減ればそれにこしたことはない」


 スキニーは不機嫌そうに黙った。この男は、明らかにそういうやり方が嫌いなのだ。少人数で戦う戦闘機乗りは、中世の騎士と考え方が似ているという。もしかしたら戦闘の始まりに名乗りでもあげたいタイプなのかも知れない。


「気にさわったら許してくれ。俺の言いたいのは、あいつらのもうけ口を潰すような真似はしないでやってくれってことさ。あんたの指摘はミーシャも分かってる。危険は承知の上だろう」


「……言いたいことは色々あるが、俺がこれ以上ここで言ってもしょうがあるまい。話を元に戻そう。ストライクパッケージに関してはこれでいいと思う。強いて言うならSu-27がいるなら、ロシアご自慢の疑似AWACS機能を使うことは考えたか? 本物には劣るが、スホイでAWACSの代替が出来れば前面の戦闘能力はあがる」


「そいつは俺も考えた。だがこのシナリオだと敵機の不意打ちがあり得る。Suスホイのそばに敵が必ず湧くとは限らんし、やはり本物のAWACSは必要だと思う……だがそれに関して、ちょっとした問題がある」


「なんだ?」


「その案を見て貰えば分かると思うが、AWACSと攻撃隊のパイロットが決まっていない。俺はほとんどソロ活動がメインで、知り合いが少ないからな……スキニー、あんた、すぐに来られそうな奴を知らないか? もちろん腕が立つ奴前提だ」


「知り合い?……何言ってんだ。いるじゃないか?」


「いねえよ。知ってる奴には全員声をかけた」


「いるだろ。彼女だよ。クリスナイフ」


 俺は顔をしかめた。

 クリスナイフ……あの女は俺の天敵だ。さっきミーティングの席上で、あいつはスキニーと一緒に俺の弁護をしたが、あれは自分の誇りの為にやっただけであって俺の為って訳じゃ無い。あの女はいつも因縁をつけて俺に絡んでくる。俺のことが、よほど気に食わないらしい。向こうは育ちのいいお嬢さんだから貧乏人は嫌いなんだろう。


「彼女はAWACS乗りだし、AWACSはおさえられる。彼女の父親が経営している会社には、このゲームのプレイヤーが大勢いるそうだ。ツテを使えば攻撃隊も何とかなるだろう」


「あの高慢ちきな女が、俺に呼ばれて来るわけ無いだろう」


「いいから。声かけてみろ」


「だいたいあいつは金に困ってない。俺に協力する理由も無い。大笑いされておしまいだ」


「……お前絶対に勘違いしてるぞ」


「勘違い?」


「クリスナイフはお前の誘いを断らない。賭けてもいい」


 その時、部屋のチャイムが鳴った。


「誰かしら?」 アミュレットが言う。 


 インターフォンの通話スイッチを押し、話しかけると来訪者が答えた。

「俺だ。ミーシャだ」スピーカーから聞き覚えのある男の低い声。


「噂をすれば影だな。さっき話したロシア人のパイロットさ」


 アミュレットが迎えに立つ。

 彼女がドアを開けると、ニコリともしない殺し屋のような外見のアバターが見えた。


「ミーシャさん?」


「そうだ。ヴァイパーに呼ばれて来た」 


 俺は奥から手を上げて、奴を迎え入れた。


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