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大蛇  作者: ひろぽんすけmarkⅡ
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蒼炎


今、俺の内には様々な感情が入り交じっている。


殺意や憤怒を込めながらの「喧嘩」は数え切れない程やったが、純粋に技量や力量を比べ会う、スポーツのような「決闘」をするのは初めてだ。


不安や緊張などのネガティブな感情を抱きつつ、高揚感や期待感も同時に感じる……格闘技の試合に挑む選手の気持ちが、少しだけ分かった気がする。


「…………いくぞッ!!!」


一足飛びに間合いを詰めてきたレンは、鋭い拳打を放ってきた。


しかし、軽量の女ゆえに拳に重さがない……俺は初撃を難なく防御すると間合いをとった。


だが、当たりどころが悪ければ一瞬で意識を刈り取るキレの良さはある……加えて拳の手数の速さも中々のものだ。


レンは休むことなく連続で拳をくりだしてきた。


「どうした木嶋ッ!…………防いでいるだけでは…………クッ!?」


狙いをつけたカウンター攻撃……レンの大振りな左ストレートに合わせた俺の右アッパーは紙一重で避けられた。


「やるな……これ以上ないタイミングだったんだが」


さすが桜花組の若頭と言うべきか……かなり実戦で鍛え上げられている。


「フン……アンタもタダの法螺吹き野郎じゃなかったようだね。アタシの連撃を捌くとは大したモンだよ。そこいらのチンピラ風情だったら、最初の一撃で沈んでいるからね」


レンは決して弱くはない……これほどの腕前があれば、たとえ数人の男達に喧嘩を吹っ掛けられても、一人で全員を倒せるだろう。


だが、あの「野獣」や「神田 仁」と比べると「速さ」や「威圧感」において見劣りする事はたしかだ。


俺は攻撃を仕掛けてきたレンの間合いを潰し、低い体勢から右肘を正中線にある鳩尾(みぞおち)に叩き込んだ。


「…………ぐはッ!」


レンは両手で鳩尾(みぞおち)をおさえながら膝を地面につけた。


「……七代目、これで勝負ありだと思いますが?」


腕組みをしながら決闘を見守る七代目に問いかけたが、無言で返される……まだ、終わってないと言うことなのか?


「フッ……やるねぇ……アンタ……気に入ったよッ!!!」


突然、山吹色の光がレンの全身を包んだ……一体これは!?


「親父ッ!これから全力でいかせてもらいますッ!チト庭が荒れますが、構いませんねッ!」


「……お前の好きなようにしろ」


レンは全身に光を纏ったまま常人とは思えないほどの跳躍を見せて突っ込んでくる。

攻撃を捌く事は出来そうだったが、受け流すのは危険だと感じて回避を選択した。


直後、俺は爆風でふっ飛ばされる。


レンの拳が地面に当たった瞬間、地面が割けて爆風が巻き起こったからだ。


「チィッ!……外れたか。流石に馬鹿正直に受けてはくれないようだねぇ」


「何だ?その力は…………魔法ってやつか?」


纏っている光の色は違うが「野獣」と戦った時に俺の腕に宿った「あの力」に似ている。


レンも同じような力を持っているのだろうか?


「魔法……?そんな洒落たモンじゃないよ。これは「闘技」と呼ばれている技法だ。名付けて「龍勁硬体」……全身の闘気を圧縮させ、打撃を打ち込む一点に闘気を爆発させる必刹拳。アタシが「桜花の鉄拳」と呼ばれる所以さ」


闘技……格闘漫画とかで出てくる「気」とかいうモノを利用した技という事か。



「さあ、いつまで避けれるのか見物だね。そらそらぁッ!!!」



空振りの風圧だけでも足がすくみそうになる。


拳が硬いとか重いとか、そんな次元の話ではない。


威力が桁違いだ……まともに防御したら腕が千切れ飛んでもおかしくはない。


「……甘いッ!」


突然、目の前に白い煙が巻き起こった。



何ッ!……目潰し!?


レンは庭の砂利を蹴り上げて視界を奪ってきた。


完全に両腕に意識がいっていた俺の意表を突く戦法。



……俺は避けられたはずの拳打をマトモに喰らってしまった。



かろうじて右腕で防御はしたが、その威力に耐えきれずに地面へと薙ぎ倒された……どうやら骨ごと神経を潰されて痛覚が麻痺しているようだ。


俺の右腕は、あらぬ方向へと折れ曲がっていたが……まったく痛みを感じていなかった。



「どうやら幕のようだね……なかなか頑張った方じゃないか。今までアタシが出会ってきた偽物の中ではね」



……クソッ!このままでは確実に殺られる。



死を覚悟したその時、俺の右腕から「蒼い炎」が吹き出した。


炎と同時に、酷く折れ曲がっていた右腕は完全に治癒し、今まで以上に力が沸いてくる。


「それは……闘技か? なるほど……そうこなくては面白くない。アタシの力か、お前の力が上か……いざ勝負ッ!」


互いに走りだし、拳と拳がぶつかりあう瞬間……



俺達の腕は何者かに止められた。



「勝負ありだッ!……レン、オメェの負けだ」



拳を止めたのは立会人である七代目だった。




バトルは書いてて楽しい


次回は会話がメインです

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