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(2)朝のニュースにて

日記はそこで終わっていた。ブラウザを戻して他の投稿を確認するが、それ以降の投稿はない。僕はそっとパソコンを閉じた。


僕こと戸崎健吾は、地方の私立大に通う大学一年生だ。この春から始めた一人暮らしにもだいぶ慣れ、最近ではこうしてネットで時間を潰す余裕も出てきた。特にお気に入りなのが小説投稿サイトで、色んな人の小説やエッセイなんかを読みあさっている。


この日記もそのサイトで見つけたものだ。投稿者は『みぽみん』という女性で、この春から社会人となり一人暮らしを始めたらしいのだが、その辺の状況が自分と重なったというのもあって、何となく閲覧するようになった。


が、4月下旬頃から妙な投稿が増え始めた。どうもストーカーにあっているようなのだ。そして、4月22日以降しばらく投稿がなく、4月26日の意味深な投稿を最後にここ5日ほど更新が途絶えていた。


「これ、ほんとだったらやばいよなぁ」

僕は呟く。


だが、ネットに書かれていることなので真偽の程は定かではない。そういう演出だということも考えられなくはないからだ。しかし、もしこの投稿者が本当にストーカーの被害に遭っているとしたら。ここ数日更新が途絶えてるのはどういうことなんだろうか……。


そう考えてから僕はいやいやと頭を振った。

「あまり悪い方に考えちゃだめだよな。今日は疲れたし、もう寝るか」


僕はベッドに横になった。



だが翌日、事態は大きく動いた。それはいつものように朝のニュース番組を見ているときだった。


「昨夜、埼玉県さいたま市に住む21歳の会社員の女性が、自宅で首をつっているのが発見されました。部屋には鍵がかかっていたことなどから警察は自殺とみて捜査を進めています。なお、女性の日記からストーカーの被害に遭っていたことが分かっており…………」


その瞬間、僕の背筋に冷たいものが走った。確か、『みぽみん』は埼玉在住だったはずだ。21歳の女性という点も一致している。


「いや、まさか……な」

「また、遺体の状態から死後4日から5日程度経っているとみられ」

「嘘だろ……」


『みぽみん』の投稿が途絶えたのがちょうど5日前、このニュースの内容とぴったり合っている。


「自殺したのか……!?」


おそらく原因はストーカーだろう。あの日記は演出などではなく、本当に恐怖を訴えていたのだ。あの時何らかの助言をしていれば、とか、そういったことは思わなかったが、あの日記を読んで自分自身と重ね合わせていただけに、少なからずショックはあった。


とはいえ、この時点ではまだ人ごとであり、

「女性の一人暮らしは大変だなぁ」

ぐらいに思っていた。


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