Act.0036.5:私、壊れちゃいますよ!
「ところで。旦那様、大興奮ですね……」
ミーシャが、大きなため息と共に長門を見た。
その横で、美月が苦笑する。
「そうね。若返っちゃってるわね。今夜、本当に久々にくるわよ。がんばりなさい」
「美月様! あの状態の旦那様、私一人では……」
「大丈夫よ。もうさすがに歳なんだし。それにあなただって、子供を欲しがっていたじゃない。最後のチャンスかもしれないわよ」
「そ、そうかもしれませんが……」
そう言いながら、ミーシャは長門を一瞥する。
長門は、ここ数年で見たこともない笑顔を見せて、はしゃぐように世代と話していた。
それは、まるで世代から若さをわけてもらっているかのようだった。
「やっぱり、無理です! 私、壊れちゃいますよ! 美月様、手伝ってくさい!」
「もう。仕方ないわ……あっ!」
ミーシャと美月の前で、3人の純真な若い娘たちが顔から湯気を出しながら立っていた。
「ご、ごめんなさい……」
「い、いえ……」
「……でもね、あなたたちも早めにしなさい」
美月が、斜め上を遠い目で見つめる。
「この年になるとね、重労働と変わらないのよ……」
「……お、重みのある忠告、ありがとうございます」
経験する前に、夢を壊さないで欲しいと思う、乙女ないちずであった。




