表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/122

Act.0035:今、愛を感じました!

 豪勢な食事の後、長門は本題を話し始めた。


世代(セダイ)君。これは年長者からの助言だが、ぜひ魔生機甲設計者(レムロイドビルダー)協会に登録しなさい」


 それは、魔生機甲設計者(レムロイドビルダー)の権利と保護を行うことが目的の団体だった。

 魔生機甲(レムロイド)は言うまでもなく、軍事兵器こそが本来の存在価値でもある。

 その魔生機甲(レムロイド)を運用するのに必要な要素は、3つ。


 まずは、もちろん魔生機甲設計書(ビルモア)

 これを生みだすのは魔導師たちであり、その技術はすでに確立されている。

 ある一定の魔導師ならば、誰でも生みだすことができ、工場のような場所もあって常に生産はされていた。

 ただし、素材が高額な上、製作時間がかかるため、1冊の値段は非常に高くなることになる。


 それから、その魔生機甲設計書(ビルモア)魔生機甲(レムロイド)を描きだす魔生機甲設計者(レムロイドビルダー)の存在。

 魔導師とは別の能力が必要で、強いイメージ力と発想力が必要とされる。

 また、それを具現化する意志の力も強くなければならない。

 こればかりは、あまりにも抽象的すぎて、技術として確立できていないのが現状なのだ。


 そして最後は、魔生機甲(レムロイド)を操作するパイロットの存在だ。

 パイロットになるには、絶対に魔力が必要となる。

 魔生機甲(レムロイド)を具現化する構成(ビルド)という儀式の力も、具現化したあとの魔生機甲(レムロイド)のエネルギーも、すべて魔力であった。

 ただこの世界の人間は、すべて魔力を生まれ持って必ず持っている。

 多い少ないはあるものの、世の中の半数近くの人間は、レベル5ぐらいの魔生機甲(レムロイド)を最低限なら動かすことができるのだ。


 ちなみに、いちずが調べたかぎり、世代(セダイ)には魔力が全くなかった。

 つまり、世代(セダイ)は本来、魔生機甲(レムロイド)を操作することができないはずなのである。


 ともかく、この3つの要素の内、一番難しいのが、魔生機甲設計者(レムロイドビルダー)だった。

 逆に言えば、軍事力としての魔生機甲(レムロイド)をそろえるには、いかに優秀な魔生機甲設計者(レムロイドビルダー)を抱えこむかがキーになってくるのだ。


 当然、権力者の中には強引に魔生機甲設計者(レムロイドビルダー)を引き抜いたり、質が悪いと誘拐したりする者もでてきた。


 そこで魔生機甲設計者(レムロイドビルダー)たちは自分たちの身を守るため、互いに協力し合う組織を作った。


 それが協会である。


 協会に逆らえば、会員の魔生機甲設計者(レムロイドビルダー)の協力が一切仰げなくなる上、協力関係にある、魔生機甲設計書(ビルモア)製作をしている大手魔導師団体や、よりよい魔生機甲(レムロイド)が欲しくて協力するパイロットたちまでも敵に回すことになる。

 これは実際、大きな抑止力となり、魔生機甲設計者(レムロイドビルダー)を狙う事件は激減していた。


 もちろん、いちずの父親も協会員だった。


世代(セダイ)君には才能がある……いや、ありすぎる。そのままでは危険だ」


 それは、いちずも同意だった。

 有名になればなるほど、世代(セダイ)の力を欲しがる者は多くでてくるだろう。

 今のうちに、手を打っておかなければならないとは思っていたところだった。


「わしは、協会の副会長をしている。わしの推薦ならば、何の問題もなく入会できるはずだよ」


 好好爺然とした笑顔で、長門が世代(セダイ)に話しかけた。


 ところが、世代(セダイ)は怪訝な顔をしている。


「……なぜ、ボクにかまうんですか?」


 世代(セダイ)の言葉は、どこか失礼さを含んでいた。

 それはたぶん、根本に疑念があったからだ。

 だが、いちずも実は、同じ疑問を持っていた。


「後進を育てるのは、老兵、ましてや三大名工と呼ばれた者ならば義務。特に才能がある若者ならば、なおさらだと思っている……」


 そうかもしれない、というか、それしかないと、いちずも思っていた。

 しかし反面、それにしては肩入れしすぎている気もしていたのだ。


「……というのは、立て前だよ。わしは純粋に見たいんだ」


 長門の笑顔の質が変わった。

 いちずは上手くその変化を言い表せなかったが、長門の顔が急に子供のように見えていた。

 鼻の穴が大きく開き、興奮気味にさえ見える笑顔だ。


世代(セダイ)君、わしは君が生みだす……君が自由に生みだしていく魔生機甲(レムロイド)を見ていきたいのだ! だから、デザインしたら必ずわしにも、いち早く見せて欲しい! それが紹介の条件だよ!」


「……フッ」


 世代(セダイ)が、長門を前に初めて破顔した。

 今まで無愛想な顔ばかりだったのに、口角をあげて双眸を輝かせ始めた。


「愛ですね……」


 ボソッとつぶやいた……かと思うと、世代(セダイ)はバンッと手をテーブルについて立ちあがる。


「今、愛を感じました! あなたのロボットに対する愛を! やっと見つけた! あなたはボクの同志ですね!」


 興奮しているのか、世代(セダイ)は「ロボット」という単語を使ったことにも気がつかず、言葉を続ける。


「その愛に偽りは感じられない! そしてロボットを愛する人に悪い人はいない! ええ、そのはずです! ……だから、納得しました!」


 そう言うと、世代(セダイ)は背筋をピンッと伸ばしてから、ゆっくりと長門にお辞儀をする。


「協会の件、よろしくお願いいたします」


 いち早くミカが反応して立ちあがり、主に従うように頭をさげる。

 いちずと双葉も、それにつられるように立ちあがって、長門へ頭をさげた。


「……ふふ……あははは! 本当に面白いな、君は!」


 長門は、すっかり上機嫌だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ