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ボクが魔女っ子しちゃダメですか?  作者: のるん・くりすとふあ
第一章 この世ならざる法則
3/6

2 転入生は可愛くないとダメですか?

前書きと後書きがよくわかっていない私。この部分は未完成です。ヘンテコなところや、ここつまんねーな!ってところを言ってくれる親切な方がいると悶えるほど嬉しいです。

                  ――◇◆――


 今から人前に出て挨拶するんだよね。さっき鏡で見て身だしなみも確認したし、おかしくない筈。だぶん。

 出て行く前にリードは平気だって言っていたけど、彼の普段着ている格好を考えると不安しか沸かない。それに、いま悩んでいてもしょうがないし。うん。

 自己紹介の内容を反芻する。

「私の名前はシャロン・ブリアントです。よろしくお願いします」

 よし。完璧だ。

 発音はおかしくないはず。

 もう少し、何か話したほうがいいかしら?

 でも、下手に余計なことを話しても仕方ないしこれでいいよね。

 扉の向こう側では、羽村はねむら先生が話している。たぶん連絡事項とかだと思う。彼が入っていいよって言われたら入るんだよね。上を見上げると白いプレートに2-2と書かれている。これから私が通うことになるクラスというものみたい。こういうところ通ったこと無いから、変なボロを出さないように気をつけなきゃ。

「……-い。もう、入ってきて良いよー。あ、あれ?いや皆、本当に来ているんだって。うそじゃないって!ブラフとか釣りとかじゃないって!転入生来るよ来るよ詐欺じゃなから!!先生やることはきちんとやっているから!真面目に生きているから!ぜ……税金泥棒とかそんなんじゃないんだからね!!」

 いつの間にか呼ばれてたみたい。それと先生が何か大変なことになっているし、急がなきゃ。

 慌てたせいか、勢い良く扉を開けてしまった。


 ガラッ!バシーン!


 開けた私はもちろんだけど、クラスに居る人たちも当然びっくりしてしまった。

(力加減間違えちゃった……)

 そんな反省をする間も無く。教室全体の一対の視線が、私を捉える。同時にたくさんの人に見つめられて、驚いてしまった。

 そして、情けないことに。

 数日前から考えていたシミュレーションが頭の中から吹っ飛んでしまった。


                  ――◆◇――


 先生の呼びかけと共に、扉の方から激しい音がして、慌てて振り向く。

 音にびっくりしたのはもちろんだけれども、そんなことが気にならなくなるくらいボクはびっくりした。

 振り向いた先にいたのは、女の子。

 真っ先に目を惹いたのは、銀髪。両サイドをボリュームのある結い方をしている。

 綺麗な顔立ちに、やや幼き愛らしさが滲まれている。

 小柄な身長で、普段見かけている制服も、着崩れが無くて新しい感じがする。

 いろいろ上げていてはきりが無いのだけれども、まとめてしまえば、

 凄かった。

 ボクの拙い言葉じゃ表現するのは難しいくらい凄いんだよ。

 ボク以外のクラスメートも彼女に釘付けだ。

 その理由は容姿に見惚れた。

 ではなく。

 彼女の顔が、とんでもなく強張っていたことだった。

 プルプルプル!激しいくらいに小刻みに振動するほどに!

(めちゃくちゃ緊張している!!)

 いや、転校先の挨拶ってとても緊張するのはわかる気がするよ!?するけども!

 イメージ図でこんな風に微笑んだら可愛らしいはずの顔立ちも、困ったような険しい顔で、残念な表情になってしまっている。

 ああ、歩く姿が処理速度の遅くなったコマ送りの映像みたいに、カクカクしながら動いている。ぎこちなさの塊みたいな行進を終えて、教壇の近くまで何とか辿り着く。それを見届けて、自分のことではないのに、何故だか安堵してしまう。

「ほら、ちゃんと居ただろ?先生、嘘あんまりつかない方の人間だからね。というわけで、自己紹介お願いね」

 さっきまでオロオロしていた先生はそんなことはお構いなく、転入生の女の子に自己紹介を促す。自分が間違ったことをしていなければ、良くも悪くも大抵のことは気にしない。それが羽村先生である。

 ガチガチに強張らせた表情で、彼女は何とか頷いて。

「みなさんこんにちわ。私はシャロン・ブリアントです。よろしくお願いします」

 何とか言い終え、カクリと垂直に近い角度のお辞儀をする。

「これで、ホームルームは終わりにするけど問題とか起こさないようにね。先生がとりあえずみんなにお願いするのはそれくらいだから。先生違うクラスで授業だから、また放課後ね」

 シュタッっと手を上げて、羽村先生が出て行く。

 

                  ――◇◆――


 先生が出て行くと同時に、いっせいに私の元へクラスメイトが集まってきた。

 え?え?どういうこと。先程の自己紹介で力を使い果たしてしまった私には、展開について行けなかった。そもそも私はこのあと何処に向かえばいいの?そんな私を他所に、元気のよさそうな頭の天辺にお下げがにょきりと生えたような女の子が話しかけてくる。

「○●。○え。その髪■敵だ■ね。あ%□□■もいい■□□××よ××。あ××私の名△▲▲う○●忘れ****。私**みつヤ***の。シャロン****、******を見て*************」

 どうしよう。この国の言葉は覚えてきたけれども、こんなにスピードが速いと処理できない。言葉自体は聞こえているけれども、理解する前に次の言葉が入ってきて分からなくなる。

 今、喋った彼女がこちらを見ている。今のは何か質問をされたのかな?

 迂闊だった。

 質問かどうかすら気づけなかったなんて。

 駄目だ。早く何か答えなきゃ。でも、何て答えたらいいのかわからない。

「あ……えっと…………………………………………」

 周りの子達も私がどう答えるか気にしている。たぶん、私が普通に喋れると思っている。今、話しかけてきた女の子もそうだと思う。けど、さっきしゃべれたのは何回も練習したからなんだよ。あんな短いのでも。

 いきなりこんな長い言葉、解らないよ。

「****、*******」

 あまり答えないものだから、変に思ってしまったのかもしれない。自分が何かおかしなことを言ってしまったという表情で、私に気にかけるような言葉を言っている気がする。動揺してしまったせいか、今は何一つ聞き取れない。頭に血が上ってしまい、思考がぐにゃぐにゃと濁ってしまっている。

 今まで大抵のことは自分で解決出来た。どうしようもない事だって何回かやり過ごしてきた。世の中、わからないわからないと言い続けているだけでは道が開けないのは身にしみてわかっている。けれども、けれども、今だけは思う。


 誰かに助けて欲しいと。


                  ――◆◇――


 転入生とか来たら、やっぱりこんな感じなんだろう。

 1限の授業の準備をしながら、教室の前の方の人だかりを眺める。

 いっぱい女の子たちが集まっている。新しいもの好きな彼女たちは、率先して魚雷の如く突っ込んでいく。

 反対に男子はちょっと照れくささがあるせいか、やや遠巻きの様子で見ている。 

 まあ、ボクもそんな一人なんだけれども。

 本音を言ってしまえば、あの輪の中に入って話しかけたい。

 たぶん、こういったときに声をかけられなければ、ずっとこのままになってしまうんではないだろうか。

 ちょっと自分が女々しい。

 行動を起さず悩んでいる自分が嫌だ。

 ふと、みると様子がおかしい。あんなに女子がいるのに静かなんだ。もっと騒がしいはずなのに。それと彼女は何時席に着くんだ?

 ボクは……

(慣れないことだって分かっている)

「おうおう。女子たちは元気がいいね~。んお?見識どした?」

 成り行きに任せればどうにかなるって。

 このときボクは、少しでも早くどうにかしてあげたいって思い。

 静かに席を立った。



「どうしよう」

 近くにいったら、そんな呟きが聞こえた。

「どうしたの?」

 訊ねると同時に、三津屋さんが困った顔で振り返る。

「るりちゃんるりちゃん、どうしようどうしよう。シャロンちゃんとお話しようと思ったんだけれども。シャロンちゃん何もしゃべってくれなくってね。私、何か気に触ることいっちゃったのかな?どうしよう。そんなつもりなかったのに」

 他のみんなは、三津屋さんとのやり取りを見て動けなくなっている。話しかけたとしても応えてくれないのを見て、同じ轍を踏む者はいないだろう。当然の判断だ。当然の判断だし尻込みしてしまうみんなの気持ちもわかる。わかるんだ。


 けれども。

 けれども、それでは彼女が余りにも気の毒過ぎるじゃないか。


 シャロンさんを見ると、やはり彼女の目は不安な色を帯びている。

 ボクがやろうとしていることは、ひょっとしたら勘違いだったり、おせっかいかもしれない。ボランティア精神に絆され、自分は博愛精神があるんだと誇示しているかのように映るかもしれない。

 そうじゃない。違うんだ。

 ただ、ボクは、純粋に彼女が悲しむ姿を見たくない。

 ただそれだけなんだ。

「シャロンさん」

 ボクは、ゆっくりと話しかけることにした。

 話しかける。たぶんだけれども、聞き取れているけど話と知識が整理できてない気がした。

 ドキドキする。よく考えたら、自分から積極的に女の子に話しかけるのってこれが初めてじゃないだろうか?

 少し遅めのテンポで、彼女が溶け込めるように一生懸命。

 ただ、ボクの勝手な勘違いだったらどうしよう。

 しゃべりながらも、不安な気持ちは拭えない。

「ボクは見識瑠璃」

 左手で自分を指差し。

「よろしくね」

 右手で握手を求めた。

 ボク自身ちょっとどころかかなり緊張している。自分の手が汗ばんでいるとか気にしている余裕はなかった。

 きょとんと驚いた感じの彼女だったけれど、ボクの手を取ってくれた。

 よかった。

「それと席はあっちだよ」

 シャロンさんに新藤さんの前の席を指差す。

 そしてそのまま手を引っ張って誘導する。

 このときクラス中の好奇心の目に集中砲火されているとか、慣れない事して身体が小刻みに震えているとかを考えてはいけない。

 この震えがシャロンさんにあまりばれていない事を祈ろう。

 無事に座らせボクは、それじゃと言って自分の席に戻る。

「あ……と……」

 何か言われた気がしたけども。振り返るような余裕はボクには無かった。

 傍から見れば対したことでは無いはずだけど、ボク自身から考えたならかなりの大立ち回りをした気がする。

 席に戻ると月岡が迎えてくれた。

「ほーう。頑張るじゃねえか。耳まで真っ赤にしてな」

「わかっているわかっているよ。自分らしくない~とか、変だった~とか。何で握手求める必要があったんだよ。不自然すぎるよううううううぅぅぅぅぅ」

 ついさっきまでの行動を思い返してしまうと、悶えてしまうような恥ずかしさで一杯だった。

「でもまぁ。向こうさんにとってはよかったんじゃないのかって俺には見えるぜ」


                  ――◇◆――


 キンコンカンコンと、チャイムというのが鳴り響く。コレは予鈴というので、始めの授業の準備を告げるものらしい。大抵の生徒はこれを聞いてから授業の準備を始めるみたい。私も事前に貰ったテキストを用意しなければならないのだけれども……

(ミシキルリ)

 えっと……男の子でいいんだよね?制服は男の子の服着ているし。

 さっきは本当に困ってたから助かった。

 彼は何故か机に突っ伏してうねうねしている。

(お礼言いそびれちゃったな)

 なるべく早く言おう。うん。

 ここにいられるのもそんなには……

「気になりますか?シャロンさん」

「――――――っ!?」

 後ろから声がかかり、驚いて振り向く。

 あまりに素早く動いたので、声をかけた相手は驚いたように目をぱちくりしていた。

 ただ、それは一瞬のことで目の前の彼女は元の表情に戻る。

「私は新藤八重しんどうやえと申します」

 眼鏡をかけた真面目そうな少女は、丁寧にゆっくりと自身を名乗った。

「先程は名乗り出るのが遅くなり申しわけございませんでした」

 切り揃えた前髪を揺らし、頭を下げて謝る。

「ううん。そんなことない……よ」

「それはよかった」

 柔らかくむ彼女。初めて会ったのだけど、そんな仕種をするのは少し意外に感じた。最初に真面目と感じたが、その中に礼儀正しさ、それと、硬いという印象を始めに持ったからである。

「本来なら先生に言われた私が率先してご案内するべきだったのですが……」

 彼女が視線を動かす。釣られて私も動かした先に、

「見識君に先を越されちゃいましたけれどね」

 再び彼が見える。

「ミシキ……くん」

 この時私は、見た目はかわいいけど男の子とそんな程度の感じだった。

 そして、始まりの号令がかかるのを新藤さんに指摘されるまで、ボーっと座っていたらしい。

 どうやらもう一度鳴ったチャイムにも気づいてなかったとか。

 再度私は自己嫌悪に陥ってしまうのでこれ以上は思い出したくない。


                  ――◇◇◆――


 目の前の異国の少女が銀髪を揺らし、慌しく授業の用意をし出すのを微笑ましく見送りながらも、自分もまだ筆記用具一つ出していないことに苦笑した。

 ただこれも年相応。

 一つイベント事が起きて浮き足一つも立たなくては女子ではない。

 こんな考えを父が知ったらどう思うか?笑うか?嗜めるか?それともはたまた……夕餉の時間が楽しみです。

 面白い娯楽でも思いついたかのように笑む。

 それにしても。

 意外だったのは見識君ですね。正直こういったことには積極的に動かない人だと思っていましたけれども。

 ちらり。

 目線の先の彼は、今の授業で黒板に書かれたことをひたすら写している。あまり要領がいいとは言えないが、間違ってもいない。

 黒板の方に目線を移し、書かれたものと教科書を見直す。

(分かり難いのはこことここかしら)

 其処だけ教科書にいくつか注意書きをする。後で調べ直すためだ。黒板に書かれている内容は、私にはイメージしずらい。講釈の部分というか教科書の内容をほぼ丸写しで書いているだけなので、それをノートに書き直すのもどうかと思う。(特に文章の部分など)

 普段なら、それでも自分で推測して勝手に問題を解き始めるところだけど。

 思案に耽ることにする。

「ふむ」

 クルクルクルクル――。

 シャロンさんの案内等は本来クラス委員が行うものですけれども、羽村先生は転入生が来る前日にそう言ったことに気づいた。

 クルクルクルクル――。

 その時、クラスに残っていたのは私と三津屋さんだけでしたので、面倒を見るようにと頼まれました。二人で承諾はしましたけど、三津屋さんは良く分からずに返事をしてた感じでしたっけ。(先程は彼女なりにも努めていましたけれども)

 クルクルクルクル――。

 クラス委員のお二方でしたら頼めばやってくれるとは思いますが、前の席にいる彼女の様子を見た限りですと、こちらのクラス委員さんには荷が重そうですね。

 それだったら私がする方がまだいい。

 ただ、しいて言うのであれば……。

 クルクルクルクル……パシッ!

 中指の先で回し続けていたシャープペンを掴み取るように握り戻す。

 考えた案が整った。

 まずは……。

「シャロンさんシャロンさん」

 彼女に再び呼びかけ。

「放課後ご予定はございますか?」


ここに書き込むとどう表記されるんだろう?どきどきです。編集できなかったらどうしようとか、どきどきです。

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