第八十四話 船長との会話
クラーケンを倒した後、船に戻ると微妙な顔で出迎えられた。
「あ~……なんだ、ありがとうよ。」
「船に沈まれたら、こっちも困るからな。」
船長から横に目をやると、セイレーン達がいた。
「で、なんでお前らがここにいる?」
「えっと、その~……」
もごもごと何かを言いづらそうにしている。
「さっさと喋れ。」
「は、はい!あの、その、海底にいたクラーケンにイタズラして遊んでたら
怒っちゃって……このままだとマズいと思って助けてもらいに来ちゃった。
テへ♪」
「どうりで。クラーケンがこんな海面近くまで来るなんて珍しいと思ったわ。」
コイツら……
「でも良かった!みんな怪我もないみたいだし、ありがとね。
それじゃ私達はこれで!」
「待て。」
「な、何か用かしら?」
「このまま何事もなく帰れると思うのか?」
セイレーン達が怯えている。が、まぁ自業自得だ。
「ごめんなさい!助けて!!」「反省しますから!」「ウロコが!食べられる!」
「痛い痛い痛い!突っつかないで!」
サーシャの薬は万能だな。虫だけじゃなくて鳥まで呼び寄せられるとは。
「あれ見ると何か思い出しそうなんだけど。」
「忘れたままの方がいいと思いますよ。」
このまま二時間くらいは放置でいいか。
「どっかの国に鳥葬ってあるのを思い出したぜ。」
「アイツらの事は気にするな。それより聞きたい事がある。」
「なんだ?」
「ウルム王に言われて魔石を集めてたのか?」
反応を見るため直球で話を振ったが、
「なんだ、バレてたのか。」
思ったよりも素直な返事が返ってきた。
「どうしてまた海賊なんぞの真似をしてるんだ?」
「俺達が捕まっても海賊なら国とは無関係って言い張れるからな。」
「危ない橋でも渡ってるのか?」
「そういう訳でもないはずなんだが……王があまり大っぴらにしたくないんだとよ。だから、隠せるなら隠して無理なら正体をバラしてもいいとさ。」
アイツの考えてる事はよく分からん。どうせ何かを企んでるんだろうが……
「んで、あんた達の素性もある程度は聞いてたからな。
でもまさか船をぶつけてくるとは思わんかったがな。」
「俺も同感だ。」
あの魚どもが何もしなけりゃ面倒な事態は避けられたはずなんだがな。
「そういや海賊の真似事だけなら、漁の中止を言った時に止めてくれても
良かったんじゃないか?」
「俺達が海で生きてるってのは嘘じゃないからな。意地があって尻尾巻いて
逃げれないのは本当の事さ。」
「生きづらい性格だな。」
「そうかい?」
話してみても敵ではない事が分かったし、これからどうするか。
事情を話したら、目的地近くの港町まで送ってくれる事になった。
船員達は海に浮かんでるクラーケンの破片を集めている。
今夜はイカ焼きだな。
「良かったですね。予定より早く着くかもしれません。」
「しかし、この国は村や町の位置が適当に変わるんだろ?その港町が
ある保証がないしな。」
「それでも2週間かかるのが縮まるなら問題ないであるよ。」
それもそうだな。
その港町……がある予定の場所まで船で3日ほどだそうだ。
魔石採掘を一旦、中止して今から向かってくれているらしい。
「それはそうとアレ、どうするの?」
「放っとけ。」
まだ騒ぐ元気があるから、逃がすと厄介だ。




