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第七十二話 霧の中で

「……俺には状態異常は効かないはずなんだがな。」

ステータス画面を見ても異常は見当たらない。

だが、ローブを被った老人が俺の目の前に立っている。

だとすると幻覚じゃない?だが【見識】には何も映っていない。


《少し話をしたい。》

まるで頭に直接話しかけてくるような声だった。


《お前は……勇者ではないのか?》

「さぁ?素質はあると言われたがな。」

《ずっと昔の勇者に似た感覚があるが、どういう事だ?》

「何の事だかさっぱり分からん。」

不思議な質問ばかりしてくる老人だ。


「あんたは何者で、俺に何を聞きたいんだ?」

《我は思念。人々の無残な思いが詰まった思念だ。お前が勇者なら

助けてくれ。》

いきなりの登場と願い。どうすればいいというのか。


「思念と言われてもな。つまり、あんたは人じゃないのか?」

《然り、我は勇者を待ち望む。》

「何をして欲しい?」

《魔王を……魔王を倒して欲しい。》

この世界で初めて魔王の情報が聞けそうだ。


「倒してやってもいいが、どこにいる。」

《分からぬ。ずっと昔にどこかへ閉じ込められたまま行方知れずだ。》

閉じ込められた?

「牢屋とかって事か?」

《違う。が、合っている。》

「どっちだ。」

《牢は牢でも魂の牢獄。混ざり終わる時を待っている。》

聞いても分からない事だらけだ。


「どうすればいいのか、まったく分からん。」

《じきに分かる。その時、魔王を倒すべきものがいなければいけない。

お前のような近い者が。》

「近い?何が?」

《魂が。会えばわかる。》

会えないから困ってるんだがな。


「魔王を倒せばいいんだな。」

《倒す……?壊す……?魔王は、アレは人?なんだったのか?》

さらに言ってる事が分からなくなってきた。


「おい。」

《魔王を倒してくれ。そして……エーディとサベルを、よろしくお願いします。》

老人だと思ったヤツは、夢に見たエルフの女騎士の姿になった。


「!……俺は殺してやるくらいしかできんぞ。」

《それで彼らは救われます。》

今度はライオンの武闘家の姿になり、言葉を交わすとそのまま消え去った。


「厄介な役目を引き受けたな。」

あの四人に起きた出来事を多少は知っているからな。少しくらいは

助けてやっても罰は当たらないだろう。

「それはともかくとして。」


「お父様、お母様、いい子にしますから結婚相手に変なの選ぶのやめて~……」

「ヴィヨル、17皿目~……」

「次は肩車して~……」


コイツらをなんとかしよう。


「う~……嫌な夢見た~……」

「そう?あたしは食べたりなかったけど。」

「わ、我が輩は一人でちゃんとしてる夢をみたである。」

感想バラバラだな。


「さて、さっさとパープだかを倒してくる。」

それだけ残して俺は森の奥に走り出した。

位置も分かっているし、そう遠くない。

すぐに見つけて手加減した攻撃をして、気絶させると霧が晴れた。


「これで問題はなくなったな。」

三人の下に戻って先に進む事にした。


「先に進むのはいいんですが……どうしましょう?」

脳筋が指差してる。

「まあ、いいんじゃない?どうでも。」

「でも、さすがに心配である。」


話し合いをして決めた結果、

「フハハ、あたしに勝てるヤツはかかってこい~……」「酒だ酒~……」

「ピクシーの中で一番可愛い?やだ~……」「太った……5g……」


幻覚の霧に巻き込まれたピクシーを木の上に置いて、サーシャに

魔物避けの薬を作って貰い、放っておいた。

敵はいないし、すぐに効果は切れるから問題ないだろ。

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