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第六十六話 気持ちの悪い夢 その2

今回は普段と違う雰囲気の話になっているため、苦手な方はお気をつけください。

自分の部屋に戻り、ベッドに入ると俺はそのまま眠ってしまった。

そして、あの夢の続きを見た。


男騎士と女魔法使いが崖の上に作られた墓の前にいる。

「どうして、どうしてこんな事に……」

「私達、二人しか残っていないのね……」


どうやら墓は女騎士と武闘家のものらしい。

女騎士は行方知れず、だがあの様子から生きている事はないだろう。

武闘家は兵士に喉を刺されて、そのまま死んだみたいだ。

「あの国はもうダメだ。一体何が起こってるのかもわからない。」

「王が死んだのに、みんな普通に……普通じゃなかったわね。」


二人が国の方角を見ると、映像が浮かんできた。

住民の目が死んでいる。

生気もなく、体も痩せ細っている。

誰も言葉を交わさず、何も食べず、飲まず、普段の仕事をやるだけ。

人が来ないのに店に突っ立っている姿は滑稽ですらある。


「国が死んだようになったのは何時からだったか……」

「覚えていないわ。気が付いたらもう……早く   のところに

行きましょう。」

「……そうだな。」

悲愴な面持ちで山を降り、魔物と戦っている最前線を目指す二人。


「雨だ……」

しばらくすると雨が降ってきた。

「どこかで雨宿りしましょう。」

周辺を探すと手ごろな洞窟があったので、その中で雨をやり過ごす。


「ねぇ……」

「どうした?」

「最近、変な感覚に襲われることはない?」

「……」

どうやら女魔法使いは調子が悪いらしい。


「何て言うか、黒いものに呼ばれているような気がするのよ。」

「気のせいだろ。」

男騎士は急ぐように話題を打ち切る。


中々止まない雨に今夜はここで寝ることを決める二人。

「じゃあ、明日の朝早くに出発する事にしよう。」

「そうね。」



ぐっ……

「ん……?」

ぐ……う……

「エーディ?」


そう遠くないところで寝ていたはずの男騎士――エーディがいない。

「どこですか?」


ぐあっ……!

洞窟の奥からうめき声が聞こえてくる。

「エーディ?」

同じように声を掛けるが返事はない。


「怪我でもしていたんですか?言ってくれれば治療をしたのに。」

明かりを持ち、声をかけつつ奥に進む。

思ったよりも洞窟は深く、エーディは見つからない。


うう……!

「大丈夫ですか?エーディ?エーディ!」

返事が返ってこないのに不安と苛立ちを覚えて怒鳴るように

声を出している。


洞窟の最奥と思われる場所に人影が見えた。

「エーディ、大丈「見ないでくれ……サベル……」」

今にも泣き出しそうな声だった。


「ヒッ!」

エーディの顔中をうじ虫が這いずり回っていた。

皮膚は溶け、肉は脈打ち、耳と鼻と唇は千切れかけ、右目は垂れ下がり、

歯は数本抜け落ちていた。

顔だけではない、身体も形を保っていなかった。


「痛みが酷いんだ……それなのに意識はハッキリしてる……

分かるんだよ、俺は人間じゃなくなるんだ……」

少し前まで人間の姿をしていたエーディの変わり様に、

言葉を失う女魔法使い――サベル。


「殺してくれ……このまま別の何かになるのが怖いんだ……」

「いや、いやぁあぁぁぁ!」

その場に泣き崩れるサベル。



「クソッ……」

今のは昔あった出来事を夢で見せられてるんだろうな。

名前も一致していたし、妙にリアルだった。


「どうしたである?」

俺より早く起きてたサーシャが声を掛けてきた。

「……なんでもない。」


誰の仕業か知らないが止めて欲しいもんだ。

朝っぱらから胸糞悪くなる。

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